23 名前:2/1[] 投稿日:2012/05/27(日) 22:09:39.90 ID:fP++4DlD0 [3/5]
「部長ー、話したい事があるんだが……今良いか?」
『無理だ、後にしろ』
「えー……仮にも彼女なんだからさ、手を止めて彼氏の話くらい聞いてくれよ」
『約束を守らない奴は、そもそも私の彼氏かどうかも疑わしいと思うが?』
「……何か約束したっけ?」
『お前の出来の悪い頭では忘れるのも無理はないか。
 ならヒントを出してやる、私は部長でお前は部員だ。だが今、この部室には私達しかいない』
「んー? ……あぁ、なるほど。尊、話聞いて貰っても良いか?」
『ふむ、言ってみろ』
「……いつもの癖で、つい呼んじゃっただけなんだけど……尊は細かいなぁ」
『タカシが大雑把過ぎるだけだ――話は以上だな? 私は作業に戻らせて貰う』
「待て待て、まだ本題のほの字も喋ってねぇよ」
『では、さっさと話せ。いつまでもタカシの与太話に付き合う暇は、部長たる私にはないからな』
「……えーっと……俺と尊って付き合い始めて2ヶ月くらいになるだろ?」
『2ヶ月と7日だ、物事は正確に伝えろ』
「……おう、分かってる……まぁ……その……だな……そろそろ…………キスさせて欲しいんだよ!」
『駄目だ』
「よし来た! やっぱりそう来たか! この前のデートの時に良い雰囲気になったのに、
 急に国際情勢に付いて語り始めた時から、薄々気付いていたよ! 何故駄目なんですか!?」
『学生として不純異性交遊を認める訳ないだろうが』
「うへー……いやいや、先生の役目を取るなよ。そ、そうだ! ほっぺたにキスとかでも良いから!」
『断る』
「……そうですか…………はぁー……」
『ふんっ、落ち込んだ振りをしても無駄だからな』
「分かってるよ、もう諦めた…………はぁー……」
『溜息を吐くな。そもそもキスをしたいと言うのも、周りがしているからと言う、どうしようもない理由からなんだろ』
「うーん……それも少しはある。でも、それよりもさ……さっき尊が言ってただろ? 彼氏かどうかも疑わしいって。
 実際、俺もそう思っちゃうんだよな、付き合ってるって言っても尊の態度は前と変わらないし。
 ……あー……愚痴って悪かったな、尊」
『タカシ、こっちに来い』

24 名前:2/2[] 投稿日:2012/05/27(日) 22:10:17.28 ID:fP++4DlD0 [4/5]
「え? 何?」
『良いから、さっさと来い』
「えーっと……これってまさか――」
『耳をかせ』
「お、おう、目を瞑れば――え? 耳をかせ?」
『その難聴気味の耳をかせと言っているんだ、さっさとしろ』
「……俺は……てっきり……なんというぬか喜び……」
『何をボソボソ言ってる。話を聞く気がないなら聞かなくても、私は一向に構わないが?』
「いやいや、聞きますとも! ……何でしょうか?」
『………………』
「……尊?」
『……急かすんじゃない……こほんっ…………もし、キスでもしたらだな…………
 私の歯止めが効かなくなりそうなんだ……まだ学生なのに子供が出来てしまっては困るだろ? …………い、以上だ!』
「…………」
『な、何を突っ立っている! 話は終わりだ、さっさと自分の席に戻れ!』
「……真っ赤な顔して……あんな事を耳元で囁かれたら…………俺の歯止めも効く訳ないだろうがぁぁあああ!!!」
『――っ! か、勝手に抱きつくな! こ、こらっ、どこを触って――んんっ――』


「――で、尊の上着を脱がしかけた所で他の部員が来ちゃってさ。それでこの傷が出来ちゃった訳よ。
 まぁ、男にとっては勲章みたいなもんだからさ、心配しなくても大丈夫だぜ! 山田!」
「うん、化膿して氏ね」
最終更新:2012年06月08日 00:45