43 名前:1/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:53:08.37 ID:3OqwLecS0 [7/14]
  • ツンデレが日焼けで苦しんでいたら

「チィース。おお、椎水。物の見事に真っ黒だな」
『先輩。それ、言わないで下さい…… 気にしてるんですから……』
「いやあ。誰が見たって突っ込むと思うぞ。って、まだ椎水だけか」
『まだ、じゃなくてこれで打ち止め、かも知れませんけどね。ほんっと、ウチの部って出
席率悪いんだから……』
「まあ、文芸部なんてそもそも部員集まらないし、その上週一回の定例会以外は自由参加
だからなぁ。まあ、こんなもんだろ」
『最上級生からして、こーですからね。全く、やんなっちゃう……』
「ほお。学校まで休んで、3泊4日の沖縄旅行を満喫して来た奴がどの口でそういう事を言うか」
『そ、それは仕方ないじゃないですか。せっかくモールの抽選会で家族旅行が当たったん
だから、行かないと損だし。ちゃんと先生にも事情を説明して承諾して貰いましたもん。
ズルみたく言わないで下さい』
「まあまあ。わざと嫌味っぽく言ったからってそんなに怒るなよ。で、どうだった? 沖縄はさ」
『楽しかったですよ。海綺麗だし、食べるもの美味しいし、珍しい建物とかいっぱい観光
しましたし。なのに……最後にこんなお返しが来るなんて……』
「日焼けの件か? お前まさか、うっかり日焼け止め塗るの忘れたとかじゃないだろう
な? それだったら自業自得だぞ」
『塗りましたよっ!! 先輩みたいなうっかりさんじゃありませんから。ただ……灼熱の
沖縄の日差しを舐めてたと言うか……こんなもので大丈夫かなって思ったら……』
「何だ。薄く塗ったらあまり効果なかったってオチか。それってやっぱりうっかりさんじゃん」
『笑わないで下さいっ!! 女の子にとっては一大事なんですからっ!! あああ……
肌があああああ……』
「まあ、一回焼いたくらいで荒れるって事もないだろ。いい勉強したと思っておけばいいんじゃね?」
『他人事だと思って……大変なんですよ。皮はボロボロ剥けるし、肌は痒いしで。ほら、
見て下さいよ。この腕』
「ほお。見事に皮が剥けたな。あと、鼻の頭も剥けてるぞ。何か可愛いな」

44 名前:2/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:53:35.60 ID:3OqwLecS0 [8/14]
『かっ……顔は見ちゃダメですってば!! あと、今の可愛いって絶対からかって言って
るでしょ。さいっていです先輩!!』
「いや。からかってるつもりはないけど、見事に鼻の皮だけ剥けてるってのが何か面白くっ
てついつい突っ込まずにはいられなくてさ」
『ほらあっ!! やっぱりからかってるじゃないですか。ああ、もう……教室でも散々み
んなに言われたし、おまけにみんなして皮剥かせろとか、人をモルモット扱いにして。ホ
ント最悪ですよぉ…… あああ、背中も痒くて痒くて、でも掻いたら余計に皮膚傷つけちゃ
うから、制服の上から壁に擦り付けるとかしか出来なくって、ああもううっとうしい!!』
「かゆみ止め、持ってないのか? 何だったら保健室行って貰って来ればいいじゃん」
『だから、先輩ほどウカツじゃないから、ちゃんと持って来てますって。でも、背中って、
手が回らないんですよ。ほら』
「そんな事無いだろ。ちょっと無理すれば……ほれ、こうして」
『いたいいたいいたいいたいっ!! 先輩ギブギブギブギブ!!』
 バンバンバンバン!!
『いきなり何するんですかっ!! 私の関節外す気ですかっ!!』
「椎水って、女子のクセに体硬すぎじゃね? 俺でもほら。上下から手を回しても指が組
めるくらいには手が届くぞ」
『人の事を女子力0みたく言わないで下さいよっ!! いたたたた…… 途中、グキッて
鳴りましたよ、もう……』
「スマンスマン。ま、自分で塗れないなら、誰かに塗って貰うしかないんじゃね?」
『……そう思って部室来たのに、だーっれも来ないし。ほんと役立たずばっかなんだから、
みんな』
「お前な。手前の事情で人を悪し様に罵るなっての。そもそも自業自得なんだからな」
『分かってますよそんな事。ちょっと言ってみただけですってば。偉そうに先輩風吹かし
て説教するの、止めて下さい』
「偉そうに先輩風って、俺、一応お前の先輩なんだがな。それに別に間違った事も言って
ないと思うんだが」
『正論でも、日頃だらしない人に言われるとムカつくんです。この気持ち、分かりますよね?』
「いや。真正面からだらしないと非難されて同意もクソもないだろ。お前こそ少しは謙譲
という言葉を覚えたらどうなんだって思うけどな」

45 名前:3/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:53:59.82 ID:3OqwLecS0 [9/14]
『先輩相手にそんな言葉はクソ食らえですよ。日頃からキチンとしている部長みたいな人
には、私だってキチンと目上に人に対する礼儀を持って接しますから。敬語使っているだ
けでも、十分遠慮しているんですからね』
「やれやれ。これでも入部してきた時はもっとしおらしかったのになあ。何でこんな生意
気に育っちまったか」
『全部、おバカでエッチで役立たずで怠け者の先輩が招いた自業自得です。あああああ……
こんな時に限って他に誰も来ないし背中かゆうううううっ!!』
「……役立たずの俺でも、背中に薬塗ってやるくらいなら出来るけどな」
『――――えっ!?』
「え……?」
『あ、あの……今のって……?』
「え、あ、いやその……こ、言葉のアヤっていうかさ。あんまりにも椎水が役立たずとか
言うからつい言っちまっただけで、その……ほ、本気って訳じゃ……」
『そうですよね。じょ、冗談ですよね。先輩に薬塗ってもらうなんてそんな、アハハ……』
「そうそう。じょ、冗談だからさ。アハ、アハハハ……」
『……………………』
「……………………」
『……だ、誰も来ないですね。今日、私達だけ……なのかな……?』
「かもしれねーな。べ、別にそんなの、珍しいこっちゃないし……」
『そうですね。アハハハハ……』
「……………………」
『……な、何ですか先輩。黙っちゃって』
「え? い、いやその……さ。さっきの事……もし、椎水が嫌じゃないんだったら……」
『ふぇっ!? わ、わわわわ……私に振るんですかっ? それ……』
「いや。まあその……冗談のつもりだったけど……予想外に怒られなかったし、もし良け
ればって……も、もちろん無理強いするつもりなんてないけどさ」
『当たり前ですっ!! で、でもその……わ、私は……』
「うん?」

46 名前:4/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:54:21.42 ID:3OqwLecS0 [10/14]
『えっと、あの……嫌じゃないというか、いえその……先輩に触られるのはいい気分じゃ
ないですけど、痒いのはもっと辛いし、だからその……背に腹は変えられないと言うか……
だから……』
「……塗って、欲しい?」
『……………………は、はい……』コクン……
「マジで? ホントにいいのかよ。俺なんかが塗って」
『いっ……いちいち聞き返さないで下さいっ!! わ、私だってホントだったら先輩に背
中に薬を塗って貰うなんて、たっ……頼みたくない、ですけど…… でも、もう我慢出来
ないくらいなんですから!! とにかく、決心が鈍らないうちに早くやっちゃって下さい!!』
「分かった分かった。けど、一つだけ、確認いいか?」
『な、何ですか確認って。たかがその……ぬ、塗り薬塗るだけで何の確認が必要なんですかっ!!』
「いやその……もしかして、目隠しして塗れとかそういう事言われるかなって。服を着た
まま手を突っ込んで塗れとかならともかく、目隠しはちょっとキツイかなあって。何も見
えないと、さすがに手探り状態になっちゃうし」
『……べ、別に背中だけなんだから、そこまで言いませんよ。胸とかお尻とか晒す訳じゃ
ないし……水着着てる状態とほとんど変わんないじゃないですか』
「そっか。まあ、目隠ししても出来ない事ないけど、やっぱり見えた方がやり易いからな。
そう言ってもらえると助かる」
『そ、そんな事でいちいちお礼なんて言わないで下さい!! 何か、その……へ、変に気
持ち悪いですから』
「分かった分かった。それじゃあ塗り薬は……ああ、これか。じゃあ、さっさと終わらせちまうか」
『ちょ、ちょっと待ってください。あの……しばらく、向こう向いてて貰えませんか?』
「え? 何で?」
『いえその……ブ……し、下着着けたままはやっぱ嫌なので、取っちゃいますから、終わ
るまではこっち見ないで貰いたいなって』
「ああ。背中のブラ紐なんて、夏場とか透けて見えるけど、やっぱ直に見られるのは恥ず
かしいのか」
『恥ずかしいって言うか……みっともないですから…… そ、それに、そこが一番痒かっ
たりしますし……』
「ああ、そっか。まあ、それは分かるけど、でもさ。その……」

47 名前:5/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:54:49.97 ID:3OqwLecS0 [11/14]
『でもさって、何ですか?』
「い、いやその。やっぱいい。む、向こう向いてればいいんだろ?」
『は、はい。お願いします…… 絶対にこっち見ないで下さいね』
「わ、分かってるよ。何なら、手で目も押さえてようか?」
『そうして下さい。先輩って何かその……信用出来ないですから……』
「ちぇっ。自己申告してんだから、もう少し信用してくれよ」
『普段の行いの問題です。それじゃあ、私が声掛けるまで、こっち見ちゃダメですからね』
「了解。さっさとやっちゃってくれよ」
「(……つか、俺の前でノーブラになっていいのかって言おうと思ったけど、あいつ意固地
だし、口に出すと却って意識するだけになっちまいそうだからな。考えないようにしないと)」
『(先輩の前でブラ取っちゃうなんて…… ま、まあ、制服脱ぐ訳でも、前向く訳でもない
し、大丈夫よね。でも……もし、脇の方も塗った方がいいんじゃないとかって、先輩の手
が胸の方に回って来たら…… そ、そのまま、胸にまで薬をなんて…… わあああああ!!
も、妄想やめやめ!! こんな事考えてたら変な気分になっちゃう!!)』
「おーい。その……まだか?」
『わわわっ!? ま、まだですってば!! そんなに急かさないで下さい。結構時間掛か
るんですから……』
「そ、そうか。悪い……」
『(な、何だろ……? 余計に変な空気になった気が…… もう、早く外して着直さなきゃ……)』
『んしょ……と…… お、お待たせしました、先輩……』
「お、おう。もうそっち向いて良いか?」
『は、はい。どうぞ……』
「どれ……っと。おお、見事に赤剥けてるな」
『へ、変な感想言わないで下さいっ!! 机の上に塗り薬がありますから、早く塗っちゃっ
て下さい』
「ああ。けど、皮が剥けかけてボロボロになってるから、一度剥いて綺麗にした方がいい
ぞ、これ」
『そ、それって却って傷つけちゃったりしないですよね?』
「大丈夫大丈夫。完全に浮いてるとこだけしか剥かないから」
『何か妙に楽しそうですよね? もしかしたら、先輩単に皮を剥きたいだけなんじゃないですか?』

48 名前:6/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:55:13.94 ID:3OqwLecS0 [12/14]
「いやいやいや。ちゃんと椎水の為を思いやって言ってるんだって。ボロボロの皮の上か
ら薬塗って、すぐ剥けちゃったりしたらイヤだろ?」
『……何か、上手く丸め込まれてる気もしますけど、分かりました。剥くなら、さっさと
剥いちゃって下さい』
「よし。それじゃあお許しが出たところで……」
『ひゃんっ!!』
「うわっ!! へ、変な声出すなよお前」
『だ、だって先輩が敏感になってるところを引っ掻くから……』
「爪でちょっと触っただけじゃん。びっくりするから、出来れば声抑えててくれよ」
『うう~っ…… わ、分かりましたよ、もう……』
「ではあらためて……」
『んんっ!!』
 ペリッ……
「おお。剥ける剥ける」
『~~~~~~~~~っ!!』
「よし。見てみろ椎水。こんなでかいの剥けたぞ」
『い、いいですからそんなの自慢げに見せないでさっさと捨てて下さい』
「えー。何かもったいない気がすんなぁ。こんな見事にペロンと剥けたのにさ」
『一体どんなフェチなんですかっ!! 言っておきますけど、これ持ち帰ったりしたら、
先輩の事を永遠に軽蔑しますからね』
「いや、さすがに持ち帰りはしないけどさ。分かったよ。それじゃああと少し我慢してろ。
肩甲骨のところとか、少し綺麗にするからさ」
『うー…… 早くしてくださ――ひゃううっ!!』
「いや。だから変な声出すなって……」
『不意打ちは卑怯ですってば!! いくら早くしてって言っても、こっちが準備するまで
は待って下さいよ、もうっ!!』
「分かったから、そう怒鳴るな。続けていいか?」
『はい、どうぞ』
「よし。じゃあ始めるぞ」
『ん~~~~~っ!! っ!! っっ!! ~~~~~~っ!! ふぁっ!!』

49 名前:7/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:55:35.04 ID:3OqwLecS0 [13/14]
「終わったぞ。つかお前、悶絶し過ぎ」
『デ、デリケートなんだからしょうがないじゃないですかっ!! 変な感想言わなくてい
いから、早く薬塗って下さい!!』
「分かったよ。どの辺が痒い?」
『と、とりあえず真ん中らへんから……』
「ああ。この辺、赤くなってんな」
 ピトッ!!
『にゃあっ!! よ、予告なしは反則ですっ!!』
「わ、悪い悪い。つい何となく」
『何となくで驚かさないで下さいっ!! とりあえず今のところを全体に広げるように塗っ
て下さい』
「分かった。じゃあ、塗るぞ」
『は、はい…… ふぁっ!? やああっ……』
「断わっても結局声出すじゃん」
『そ、それはその……冷たくて、その……スーッとして気持ちが良かったから……だから、
大丈夫です。続けて下さい』
「よし。あと、どの辺重点的に塗ればいい?」
『えっとその……ブラで締めてたところを横にずーっと……』
「この辺?」
『みゃうううううっ!! ゆ、指でなぞらないで下さい!! 痒いのに余計にくすぐった
くなったじゃないですか!!』
「はいはい。それじゃ、塗るからな」
『き、来て下さい…… ふぁっ!? んんんんん~~~~~~っ!!』


[あれ? どうしたんですか部長。部室の前でしゃがみ込んだりして]
【どどど、どうしようどうしよう友ちゃん!! かなみちゃんと別府君が、中で不純な行
為を……】
[何ですと!? ちょ、ちょっと聞かせて下さい]

50 名前:8/8[] 投稿日:2012/06/10(日) 23:56:23.11 ID:3OqwLecS0 [14/14]
『ふああっ……せ、先輩、そこ、そこです……』
「この辺もか?」
『ふぁ……ふぁい……ひゃんっ!! そこ、気持ちいい……』

【でしょ? ど、どうすればいいと思う? まさか二人が部室でだなんて……やっぱいけ
ない事よね? 部長としてどう対処すればいいと思う?】
[それはもちろん、責任者としてキチンと追求しないと。その為にも証拠をちゃんと取っ
ておかないとね]
【証拠って……】
[お任せください。こんな事もあろうかと、この友子。ボイスレコーダーは常に持ち歩い
ております。これで音声をバッチリ撮っておけば、十分ネタに……いえ。証拠としてバッ
チリ押さえられるかと]
【で、でもでも、いいのかしら? そんな盗聴みたいな事……】
[正義の為だからいいんです♪ むふふ。かなみと別府先輩がねえ。前から怪しい怪しい
とは思ってたのよ。これで動かぬ証拠が押さえられるわぁ。フフフッ]
【友ちゃんの笑顔、何か怖い……】


終わり
最終更新:2012年06月17日 21:47