34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/22(日) 14:58:48.74 ID:ufRc0Kd/0 [2/3]
 男の休日なんてのは、意外につまらないものである。
 「毎週これをやっています」なんて趣味のある奴はまだいいが、特に予定の無い休みほど退屈なものは無い。
 せいぜい本を読むか、寝るか、ゲームやるかくらいしかない。掃除などしてやってもいいが、面倒くさい。

 しかし毎週これでは人としてどうかと思う。そこで男達が使うのが、自転車だ。
 目的などない。本屋があれば立ち読みし、ゲーセンがあれば適当に金を使う。パチンコ屋にはなるべく近寄らない。
 そんなあてのない小スケールの旅を繰り広げる日々。意外と、思い当たる人は多いのではないだろうか。

 俺もそんな暇人の一人だ。暇で天気も良かったので、財布ひとつ持って外へ繰り出した。
 山沿いの道をぐるぐる回り、春のにおいを嗅いで風流人を気取ったり。そうしている内に小腹が空き、俺は近くのコンビニで昼食を取った。
 いちごジャムパンとコーヒー牛乳である。近くに座れる所が無いので、車も少ない事だし、駐車場の敷石をひとつ借りて腰掛ける。

 そんな風にしばらくもぐもぐやっていると、ふと、コンビニから一人のお客が出てくるのが目に入った。
 Tシャツに下はジャージという手抜きの格好をした、同年代の少女である。でっかい眼鏡が印象的で、どこかで見たような……。

「…って、委員長?」

 委員長、という言葉に反応した委員長。くいとこちらに首を向けると、ぎょっとしたふうに目を見開いた。

「べっ、別府君っ!?」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/22(日) 14:59:44.05 ID:ufRc0Kd/0 [3/3]
「あれ、この辺に住んでたのか。奇遇だな」
「な、なんでこんな所に…」
「自転車適当に漕いでたら行き着いた。あ、それ昼飯?」
「勝手に人の買い物見ないで下さいっ!…ああもう、こんな所で別府君に会う事になるなんて…」
「しかし委員長、私服手抜きだねえ」
「余計なお世話ですっ!そもそも人に会うなんて思わなかったから…わ、私だっていつもはもっとこう、ちゃんとした服も持ってるんですからね?」
「あっはっは。まあ、これはこれで可愛いと思うけど?」
「うう、的外れなお世辞言わないで下さい…」
「いやいや、委員長は何かときっちりイメージあるからね。私服まできちっとしてるよりかは、ちょっと隙があったほうが可愛いって話だけど」
「なっ…て、適当な事言わないで下さい!そんな事言われたって…その、嬉しくなんてないですから…」カミノケイジイジ
「…説得力無いなあ」
「…っ! べ、別府君のクセに生意気ですっ! 大体貴方って人は───!」

 委員長と仲良くなれたような、そんな気のする休日でした。
最終更新:2011年05月26日 02:55