175 名前:ほんわか名無しさん[sage] 投稿日:2012/06/23(土) 09:10:46.98 0
「さーて、新刊のコーナーは――ん? あの立ち読みしてるのって……よーし、ふっふっふっ――」
『…………んなっ! な、何で急に真っ暗に!?』
「だーれだ?」
『……別府、5秒以内に離れないと叩きのめすわよ?』
「おぉ、正解ー。椎水、こんな所で会うなんて奇遇だな」
『休みの日にまで、その間抜け面を見るはめになるなんて、とっても不幸だわ』
「おー、相変わらずの冷たい御言葉。しかし意外だったなぁ、氷の女王とも呼ばれる椎水がねぇ」
『意外って何がよ?』
「いやぁ、ついに春が来たって事ですね、椎水さん」
『さっきから何、訳分かんない事言ってるのよ。そのニヤけた面、普通に捕まるわよ』
「うへへ、だってさ、椎水の持ってるその本のタイトルが、好きな人と両想いになる方法ベスト100ですし」
『――っ! こ、これは……間違えて手に取っちゃっただけよ! 読む気なんて少しも――』
「えー? でも俺が話しかけるまで、熱心に読みふけってたじゃないですかー?」
『うぐ……それは……よ、読んでないわよ!』
「いつも沈着冷静な椎水がこんなに動揺するなんてなぁ、はっはっはっ――」
『わ、笑うな!』バシーンッ!
「へぶしっ!」
「……クラスメイトに本でぶたれるは……そのせいで傷が付いた本を買わされるは……
そのせいでお金が足りなくて目当ての漫画が買えないなんて……」
『全部誰のせいだと思う?』
「……ええ、俺のせいですね、分かります。椎水、その本は俺の血税で成り立ってるんだから大事にしろよな?」
『しないわよ。あと読みもしないと思うわ、捨てる所がないから仕方なく持って帰るだけよ』
「さいですか……椎水、効果があるようなら俺にも貸してくれよな」
『…………たとえ効果があったとしても、別府には必要ないわよ』
「うーん、椎水はやっぱり冷たいねぇ」
最終更新:2012年09月10日 21:37