317 名前:ほんわか名無しさん[sage] 投稿日:2012/07/14(土) 12:04:37.34 0
「ちぇっ。山田の奴、ベタベタの甘々じゃねーか。うらやましーな」
『まー、友子もいっつもウチのことようからかう割には人の事言えへんやん。にしても、この暑いのにようやるわ』
「そんな呆れた風に言ってるけど、実はいずみもやってみたいとか思ってないか?」
『な……っ!? ア、アホな事言わんといてや!! 何であたしがそんな、アンタなんかと抱き合いたいなんて思わなあかんねん。冗談キツいわ』
「そうやってムキになるとこがまた怪しいな。実は体のこの辺とかウズウズしてたりして」
『なるかいドアホッ!! アンタなんかとこのクソ暑いのに抱き合うたりしたら、暑さと臭いで悶絶ししてまうわ。気持ち悪いし、近寄うてくんな。シッシッ!!』
「そんな、ハエとか蚊みたいな追い払い方しなくても……」
『アンタなんかハエや蚊と同列……いや、それ以下やもん。むしろ、ハエや蚊に失礼やわ』
「ハァ、そうですか……」
『なんや? 今日はいつにも増してエラく落ち込んだ雰囲気出しとるやん。いつもやったら、この程度で懲りへんのに』
「いや。何か向こうのイチャつきっぷり見てたら、その落差に愕然とするものがあってさ。まあ、いずみのせいじゃないよ。気にするな」
『しゃーないな、もう。ホンマ、イジけてからに』
「何? それじゃあ、ギュッとさせてくれるの?」
『するかいアホ!! アンタが落ち込んだくらいで、何であたしが体差し出さんとあかんねん』
「チェッ。一瞬、同情するような仕草見せたから、期待しちまったよ」
『別に同情なんてしとらんけんどな。ただまあ、落ち込んどるタカシは余計にウザい思うただけや』
「甘えようとしてもウザい。落ち込んでもウザい。俺はどうすればいいんだ……」
『まあええから、手ぇ出しや』
「手? こうか?」
『そうや。そのままジッとしとき』
「ちょっと待て」
『何や?』
「もしかして、期待させるような事しといて、手の平に“バカ”とか書くだけじゃないよな?」
『そんな事するかい!! 疑うんやったら、引っ込めてもええで』
「分かった。じゃあ、いずみを信用して出しとく」
『それでええねん。ほな……』
ギュッ……
「え?」
『だ、抱き合うのなんて堪忍やけどな。手ぇ握るだけやったら、ちょっとは我慢したるさかい。これで少しは気ぃ取り直しや』
最終更新:2012年09月10日 21:53