343 名前:1/3[sage] 投稿日:2012/07/16(月) 13:32:43.67 0
お題作成機より:双子、同窓会、浴衣(後編)
【っと。委員長の麗しのナイト君がやってきたみたいだね】
『はい? ちょっと、何言ってんのよ律花。ナイトって……』
「あ、いたいた。律花、何やってんだよお前。一人でこんな所で……って委員長も一緒かよ」
【へへへー。委員長とね。二人でちょっと女の子同士でお話してたんだ。男子禁制だよ】
「ふーん。お前と委員長なんて珍しいよな。ま、いいけど。それより、みんなで記念に写
真撮るから呼びに来たんだよ」
『あ、こっちにも電話入って来たわ。もしもし? 智恵ちゃん。うん。今、律花と一緒に
いたから……』
【ホントに。うん、すぐ行く。けど、よくボクがここにいるって分かったね】
「お前、普段やかましい割りに、時々一人で静かになれる場所に行くからな。屋台は結構
回ったし、だからこの辺かなって」
『うん、別府君から聞いた。私もすぐ行くから。じゃあ……』
【エヘヘ。さすが孝史だね。何でもボクの事分かっちゃうなんて】
「……まあ、お前の行動パターンなんてそう複雑じゃないからな。ずっと一緒にいりゃあ、
大体は分かるし、お互い様だろ?」
【まあね。でも、やっぱり嬉しいよね。孝史にはボクの事分かって貰えてるんだなあって思えて】
「いや。意味わかんねーし。そんな嬉しいかなあ? むしろうっとうしくね?」
【そういう時もあるけど。でも基本的には嬉しいよ。孝史はそうじゃないの?】
『(やっぱり……入って行けないな……二人の中には私は……場違い過ぎるわよ……)』
「いや、どうなんだろうね。当たり前過ぎて意識してないだけかも」
【かもね。ま、とりあえずボクは先に行くよ。孝史は委員長エスコートして、後から来て
よ。少しゆっくりでもいいからさ】
『ちょ、ちょっと何言ってんのよ律花!! 私は別府君とだなんて……』
【いーからいーから。孝史。ちゃんと男らしく委員長の面倒見るんだよ。じゃ、また後で
ねー!! あイタッ!!】
ズザッ!!
「おいおい。こけてんじゃんかよ。大丈夫か?」
【むう…… だ、大丈夫。へーきだから。んじゃねー】
344 名前:2/3[sage] 投稿日:2012/07/16(月) 13:33:14.86 0
「……全くアイツは……どうせよと言うんじゃ……」
『さあね。よく分からないけど、私をエスコートすればいいんじゃないの? みんなの所まで』
「そっか…… じゃあ委員長。お手を拝借願えますかね。立ち上がるの、手伝うよ」
『結構よ。立ち上がるのに貴方の手なんて借りる必要も――きゃっ!!』
ズルッ!!
「おいおい。大丈夫かよ?」
『平気よ。まだ立ち上がる前だったから。結構足元、滑りやすいのね……』
「湿ってんのかな? やっぱり……手、貸そうか?」
『……………………』
「委員長?」
『……そ、そうね。こんな所で意地張って転んで、浴衣汚したくないし』
【そうだな。つか、律花の奴、浴衣は大丈夫だったのかな?】
『さあ? 本人が大丈夫だって言ってたんだし、大丈夫なんでしょ。それより手、貸して
くれるんじゃないの?』
「あ、ああ。はい」
ギュッ……
『(別府君の手……初めて握って貰えた……何かドキドキするわ……)』
「じゃ、引くよ。いい?」
『ええ。勢い余って、貴方まで転ぶなんてしないでよね。笑い話にもならないから』
「気を付けるよ。よっと」
『ん……っと。フゥ……』
「よし。一応、土手を上がるまで、手……握ってようか?」
『……何、言ってるのよ?』
「ああ、ゴメン。やっぱりもう必要なかったか?」
『ち、違うわよ。それこそ、何言ってるの、だわ』
「はい? 何言ってるのって……どういう事?」
『……律花から、私をエスコートするよう頼まれたんでしょ? だったら、ちゃんとみん
なの所までは、握っていてくれないと……いけないんじゃないの? でないと、怒られるわよ』
「い、いやでもその……委員長は、いいの?」
345 名前:3/3[sage] 投稿日:2012/07/16(月) 13:33:48.10 0
『人込み苦手だし、下手にはぐれたりするよりはマシよ。ちょっとの間だけなんだし、我
慢するわ。着いたら、すぐ外すけどね』
「そうか。じゃあ、しっかりエスコートさせて貰うとしますか。男の見せ場としてもな」
『別府君に男の見せ場なんてあると思えないけど、まあ今は貴方しかいないんだから、頼
りにしてるわよ』
「了解。しっかり務めさせていただきますよ」
『(……素直になれないのは変えられそうもないけど……律花のおかげで、少しは勇気が出
せそうだわ。ありがとう……)』
おしまいです
長々と失礼
最終更新:2012年09月10日 22:00