16 名前:1/6[sage] 投稿日:2013/01/26(土) 20:06:50.65 ID:LbFeVcZS0 [4/11]
「舞衣。またこたつで寝てんのかよ。ちゃんとベッドで寝ないと風邪引くぞ」
『んー…… だって気持ち良いんだもん』
「それは分かるけどさ。どこかで踏ん切り付けないと、また朝までこたつで寝っぱなしで
お母さんに怒られるぞ。もう何度目だよって」
『んー…… じゃああと10分……10分経ったら部屋戻るから……それまではほっといてよ……』
「ダメだって。お前、いつだってそう言うけどさ。起きた試しねーじゃん。ほら、起きた
起きた」
『あと10分って言ってるじゃん…… てゆーか、ダメ兄が偉そうに説教しないでよ……
超ムカつく……』
「ダメ兄って何だよ。俺はお前みたいにダラダラこたつで朝まで寝たりしてねーぞ」
『暇さえあればゲームばかりで全然勉強しないし、部屋片付けないし脱いだものクシャ
クシャのまま洗い物カゴに放り込むし、髪ボサボサだし口臭いし服装ダサいし。良いトコ
一つないじゃない。これでダメ兄でなくてなんなのよ……』
「勉強とか片付けは分かるにしても、最後の方はただの誹謗中傷じゃねーか。だからって、
お前がこたつで寝て良いって訳じゃないし。さっきの事にしたって、普段お前は散々俺に
偉そうに説教してるだろ? だったら俺だってお前のダメな所を注意する権利くらいあるだろ」
『私がここで朝まで寝たって、お兄ちゃんに迷惑掛かる訳じゃないでしょ? いいからほっ
といてってば』
「それで朝からお母さんと喧嘩すんだろ? そうなるとこっちにまで火の粉が降り懸かっ
て来るんだよ。ほら、もう10分経ったぞ。起きろ」
『嘘つき……まだ5分しか経ってないし…… それに、今の時間はお兄ちゃんと不快な会
話をしてたから、無効だもん……だから、あと10分したら起きるから……』
「ほら。勝手にノーカウントにしやがって。そんな事言ってグズグズした揚句に、結局朝
まで寝ちゃうんだろ? ダメダメ。さっさと起きてベッド行け」
『ちゃんと起きるって言ってるのに…… 妹の言うこと信じられないお兄ちゃんってサイテー』
「お前はこの件に関しちゃ前科有りすぎだからな。ほら、いい加減にしろ。でないと実力
行使に出るぞ」
『実力行使とか、妹相手に何考えてんのよ…… お兄ちゃんの変態。犯罪者』
17 名前:2/6[sage] 投稿日:2013/01/26(土) 20:07:41.57 ID:LbFeVcZS0 [5/11]
「は? むしろお前こそ何考えてんだよ。何で俺が、変態とか犯罪者呼ばわりされなくちゃ
ならんのだ」
『だって……実力行使って……エッチっぽい事するんじゃないの? 妹相手だなんて、犯罪
も良いトコじゃん……』
「アホか。お前相手にそんな事するかよ。まあ、ちょっとしたイタズラしようとは思って
たけど、世間様に顔向け出来なくなるような事じゃねーよ」
『どーだか。パソコンの中にエッチな画像やゲームをいっぱい持ってるくせに、そんなの
信じられる訳ないじゃん』
「だから人のパソコン勝手に使うなっていつも言ってるだろーが!! もう頭来た。絶対
お前をこたつから追い出したる」
『やれるもんならやってみなさいよ。絶対お兄ちゃんには屈しないんだから』
「よし、言ったな。ならばまずは小手調べに……こうだ」
プニプニ……プニプニ……
『うーっ…… 汚い指でほっぺつつかないでよ……うっとうしい……』
「まだまだこんなもんじゃ済まさないぞ。早く出た方が身の為だと思うけどな」
『お兄ちゃんがどんな卑劣な手段に訴えようとも、あたしは負けないもん……』
「よし。なら次はこうだ」
ムニーッ。
『ほっふぇふぁふふぇふぁふぁひへひぉあ……』
「何言ってるのかさっぱり分からんぞ……っと!!」
『もう!! 人のほっぺたおもちゃにしないでよ。これ以上イタズラしたら怒るからね』
「あ、こら。ガード固めようとこたつに潜るな。全く…… じゃあ次はこっちかな」
『ファッ!? さむっ!!』
「どーだ。反対側の布団捲くれば寒かろう。これで出る気になったか?」
『お兄ちゃんの鬼、悪魔、変態、ロリコン、覗き魔、スケベ野郎、最低のキモ男。早くこた
つ布団戻してよ。さーむーいーっ!! このバカー!!』
「そこまで罵っておいて言うこと聞くと思ってんのか? アホかお前は」
『何よ? じゃあ、褒めたら優しくしてくれんの? 見逃してもう少しこたつであったま
らしてくれる?』
18 名前:3/6[sage] 投稿日:2013/01/26(土) 20:08:33.17 ID:LbFeVcZS0 [6/11]
「うん。まあ無理だな。それじゃあ本末転倒だし。どんなに舞衣に毒舌吐かれようが、何と
しても舞衣をこたつから叩き出す」
『うわ、あったま来た。マジでムカつく。見逃してくれるなら、お世辞でも褒めてあげよ
うと思ったのに。こうなったらお兄ちゃんが諦めるまで、絶対こたつから出ないんだから』
「全く、お前ってホント、くだらない事に頑固だよな。大人しく部屋に戻れば、イタズラ
だってされなくて済むのに」
『お兄ちゃんこそ、睡眠時間削ってまであたしに構う事ないじゃん。寝不足になると仕事
に響くよ? 明日も朝からバイトなんでしょ?』
「それを気にするなら、さっさと寝に行け。ほーれほれ」
『ちょっと!! こたつ布団叩いて空気送り込まないでよ。寒いさむーい。風邪引いちゃ
うってば!!』
「だからさっさと出ろってさっきから言ってるだろ。いい加減言うこと聞け」
『だからヤダって何度も言ってるじゃん。ていうか、こたつ布団戻してよ。寒いんだから、
早く』
「足じたばたさせてもダメだって。大人しくしないとこうだぞ」
ガシッ!!
『ヤダ、ちょっと足掴まないでよ気持ち悪い。早く離してよね』
「お前が出るって言ったらな。でないと、次はこうだ」
コショコショコショコショ……
『ヒャアッ!? ヤハッ!! ちょっ……やめ……ヒウッ!! ヒャハハ……』
「どうだ? 久しぶりに味わった俺のくすぐりの刑は。最近はトンとご無沙汰だっただけ
に、効くだろ?」
『らめへっ、ひょこくひゅぐっら……ヒャハハハハハ、ひっそくひゃ……あうっ!?』
ゴツッ!!
「お、おい。大丈夫か? 今何かすごい音がしたぞ?」
『いったあああ……頭打った……お兄ちゃんがくすぐるから……』
「自業自得だ。頑固に寝に行かないから悪いんだぞ。しかし、本当に大丈夫かよ? 切れ
て血が出たりしてないだろうな?」
『へいき………… ううん。分かんない。頭のてっぺんだし、お兄ちゃん見てよ』
「しょうがないな。どれ? 頭見せてみろ」
19 名前:4/6[sage] 投稿日:2013/01/26(土) 20:09:36.60 ID:LbFeVcZS0 [7/11]
『はい。多分この辺だと思うけど……』
「ここか? 見た感じは大丈夫そうだけど、後からこぶになるかもだけどな」
『ホントに? イヤよそんなのみっともない。もし傷が残ったりしたらお兄ちゃんのせい
だからね』
「頭ぶつけたのは自分だろ? くすぐったのだってお前が頑としてこたつから出ようとし
ないからだし、人のせいにすんな」
『そんな事言ったって、実際に頭打ったのはお兄ちゃんがイタズラしたからなんだし、
ちゃんと責任持ってよ』
「そんなこと言われてもなあ…… 湿布でも貼っとくか?」
『ヤダそんなの。髪に引っ付いて取れなくなっちゃうじゃない。とにかく、もう一回ちゃ
んと見てよね』
「仕方ないな。どれ。髪で隠れてよく見えないけど、今んとこ、ふくれたりはしてないけど……」
『えい』
ギュッ……
「ん? 何やってんだ? いきなり人の手首掴んで」
『フフン。これでお兄ちゃんはここから動けません。ということは、もう反対側からあた
しにイタズラして追い出すことは出来ないって訳。考えたでしょ?』
「アホか。お前の手なんて簡単に降り解けるわ。それともむしろ、このままこたつから
引きずり出してやろうか?」
『足をこたつの足に絡めてるから無理だもーん。このまま引っ張ったらこたつグシャグシャ
になってそれこそお母さんに怒られるよ? それでもいいの?』
「うーん……ちくしょう。考えやがったな」
『ヘヘン。バカなお兄ちゃんに頭脳戦で負ける訳ないでしょ? 大人しくあたしをほっと
いてくれるんなら、手を離してあげる。でないと、お兄ちゃんも寝に行けないよ?』
「なら仕方ないな。出来ればこの手段はあまり使いたくなかったが……」
『何よ? 思わせぶりな事言ってるけど、どうせハッタリでしょ?』
「いいや。お前がイヤでしょうがなくて、絶対こたつから出たくなる方法が一つある。実行
する前に出るなら今のうちだぞ」
『うわ。わざとらしい。そんな言葉に引っ掛かる訳無いじゃん。何度も言ってるけど、
出ないったら出ないんだから』
20 名前:5/6[sage] 投稿日:2013/01/26(土) 20:11:17.65 ID:LbFeVcZS0 [8/11]
「なら、好きにしろって事でいいな? じゃあ……」
『ちょっ……ちょおおっ!? な、何でこたつに潜り込もうとしてんのよ!! ダメ、
ダメだってば!!』
「お前が好きにしていいって態度で示したろ? それに、片手掴んでたら、ロクにガード
も出来まい」
ゴソゴソ……
『だから入っちゃダメだってばあ。人の言うこと聞いてんの? ああ、もう!!』
「フッフッフ。どーだ。気持ち悪いだろ。大嫌いな兄貴が隣りに入ってたら。これでもう
出て行く気になったか?」
『ヤダヤダヤダ!! お兄ちゃんこそ早く出てよもうっ!!』
「あイテッ!! 蹴飛ばすな暴れるな。そもそもお前がしっかり手を握ってるから、身動き
が取りづらいんだよ。まずはその手を離せ」
『ダ……ダメよ。手を離したら、絶対お兄ちゃんイタズラするもん。そんな事させないん
だから』
「どっちにせよ、お前が部屋に戻るって言えばいいだけの話だろ? もう潔く降参しろ。
ほらほら」
『うーっ…… 勝ち誇った顔がすごいムカつく…… こ、こうなったら、あたしの覚悟を
見せてあげるんだから。え、えいっ!!』
ギュッ!!
「ちょっ!? おま、お前、何いきなり抱き着いて来てんだよ?」
『ど、毒をくらわば皿までだもん。どうせお兄ちゃんとくっつくなら、トコトンまでくっ
ついてやる』
「アホかお前は。大人しく出りゃいいだけなのに、何やってんだよ」
『それだけは絶対ヤダもん。だから、お兄ちゃんの上を行くにはこうするしかないってね』
「いやいやいや。何か絶対間違ってるって。と、とにかく離せ。効果がないのにこうして
てもしょうがないから、俺は出るぞ」
『…………』
ギュウウッ……
「何してんだよ。離せって言ってんのに、何で余計強く抱きしめてんだよ」
22 名前:6/6[] 投稿日:2013/01/26(土) 20:14:19.78 ID:LbFeVcZS0 [9/11]
『えっと、その……お兄ちゃんとくっついていると、意外と、暖かいなって…… だから、
このまま寝ちゃうのも悪くないかな……なんて』
「や、止めろバカ。俺まで巻き添えにすんな。俺はちゃんとベッドで寝るんだから離せってば!!」
『ダメダメ。こうなったのも全部お兄ちゃんのせいなんだから、自業自得でしょ? お兄
ちゃんはあたしのおこたなんだから、朝までこのまま離さないんだからね。エヘッ』
結局このまま朝まで寝てしまい、二人揃って母親のカミナリを食らったとか。
最終更新:2013年02月03日 00:53