61 名前:山×友 1/5[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 23:05:10.72 0
山「・・・ううう」
風邪ひいた。
やっぱ、雨に降られたのがいけなかったのかな・・・
ちょっと調子悪かったしなあ。
山「・・・へ、へっくしっ!!」
あー・・・ティッシュ無くなってきた。やっばいなあ・・・
      • うん、寝よ。寝るのが一番だよね。

山「・・・んぁ・・んんっ」
      • 寝てたのか。
山「・・・ん・・・」
明るさは、そんなに変わらない感じがするけど・・・
今何時だろ。携帯、携帯っと・・・
      • んっ?
なんか、手に当たったよーな。
      • ああ、友ちゃんか。

ん?
なんで友ちゃん・・・?

山「ええっ、とっ、友ちゃんっ」
いやいやいや、何でこんなところで寝てるわけ?
また窓から不法侵入したの!?

62 名前:山×友 2/5[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 23:06:21.29 0
山「ちょっと、友ちゃん、起きてよっ」ゆさゆさ
友「ん・・・?・・・ああ、山田、起きてたのね・・・ふあぁ」
山「いやいやいやいや」
友「・・・あによ。あたしがいるのがそんなに変?」
そりゃもう。
友「大丈夫、今回は玄関から堂々と入ったから」
そうなのか、それなら・・・
山「・・・よかった、忍び込んだわけじゃないんだね。」
友「なによ、とーぜんでしょっ。そうそう、持ってきたのよ、これこれ」
じゃーん、という擬音でも付きそうな感じで友ちゃんが出してきたのは。
山「桃缶だね」
友「・・・あんたねえ、もーちょっとイイ反応出来ないわけ?せっかく持ってきてあげたのに」
ちょっと不機嫌になる友ちゃん。
ムスッ、っという擬音でも聞こえてきそうだ。
山「ああ、ごめんごめん」
友「・・・もう。今から用意するから、ちょっと待っててね」
      • 鼻唄を歌いながらキッチンに向かってる。
そんなに、看病が楽しみなのかな?

友「はーい、お待たせ~」
さっきの桃缶だ。
丁寧に、小さくカットされている。
普段皆からは大雑把だと思われてるけど、友ちゃんって案外気が利くんだよね。

63 名前:山×友 3/5[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 23:07:33.26 0
山「ありがと、友ちゃん」ニコッ
友「・・・!」
山「ん・・・友ちゃん?」
友「・・・あ、べっ、別になんでもないわよっ」プイッ
山「・・・?」
まただ。
最近は特に、こんなのが多い。
急に顔を赤くしたと思ったら、何でもない、とそっぽを向いてしまう。
この前は熱が出てるんじゃないかって、手を額に当てたら振り払われたっけ。

友ちゃんはコホン、と小さく咳払いをして、桃にフォークを刺した。
友「・・・とにかく、はい」
      • え。
友「ちょっと何よ、あたしの桃缶が食べられないわけ?」
      • いや、そうじゃなくて。
山「これって、あーん、ってやつ・・・だよね?」
友「・・・そ、そう言う人もいるわね」
大体の人はそう言うと思います。
友「あっ、あんたは一応病人なんだから、大人しくしてなきゃダメでしょ!?」
山「いや、別にこれくらいなら・・・」
友「う、うるさいわね、さっさと食えっ!」
山「んんぐっ」
      • 僕の口に無理矢理突っ込んできたよ、この人。
もう、フォーク刺さるところだったじゃんか。

64 名前:山×友 4/5[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 23:08:53.94 0
山「・・・んぐんぐ」
友「どっ、どう?まずくない?」
山「おいしいよ。っていうか缶詰なんだから、まずいも何も・・・」
友「そういうこと言わないの。・・・ほら、まだまだあるんだから、はい」
早速、次のひと切れを持ってくる。
なんか恥ずかしいけど・・・ま、いいか。
友ちゃんも好きでやってるみたいだし。
山「・・・あー・・・んっ、・・・・んぐんぐ」
友「はい」
山「・・・んぐんぐ・・・あー・・・んっ」
友「あははっ、山田おもしろーい」
      • やっぱり楽しそうだなあ。

そんなことをしていると、桃缶はなくなってしまった。
一人で食べてたら、多分残してただろうな、この量。
友「すごいわね、あの量を一気に食べちゃうなんて」
友ちゃんが押し付けたのもあるけどね。
山「さすがにもうお腹いっぱいだよ・・・ふう」
友「えー。まだまだあるのに・・・」
      • もう無理です、マジで。
そんな残念そうな顔しないでください。
山「大丈夫、後で食べるから」
友「はぁ・・・しょーがない、っか・・・一応、あんた病人だし」
山「じゃあ、もうこれで・・・」
友「・・・そうね。おやすみ」

65 名前:山×友 5/5[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 23:10:51.21 0
      • で、なんでベッドに不法侵入するんですか。
山「・・・ちょ、ちょっと・・・風邪移るって」
友「何よ、移す気なの?」
山「そういうことじゃなくて・・・」
友「いいから、あたしが暖かくしてあげてんだから」
山「うー・・・ん」
友「そう、それでいいの」

友「・・・すぅ・・・・すぅ」
山(・・・眠れない)
主に隣の人のせいですが。
何故僕を抱き枕にするんですか。
一応、当たってるんですよ?わずかながら。
吐息も耳元ですーすー言ってるし。
      • 僕、男なんだけど・・・
山「・・・・はぁ」
山(ま、いいか)
その後、僕はずっと、友ちゃんをなでなでしていた。
      • 髪の毛、サラサラだなあ。

後日。
案の定友ちゃんは風邪をひき、僕はその看病をする羽目になった。
その日のことは、ちょっと恥ずかしくて、人には言えそうにない。
最終更新:2013年04月18日 13:51