237 名前:ほんわか名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/04(木) 20:19:36.04 O
- ショーウィンドウに飾ってある純白のウェディングドレスを見つめるツンデレ <その2>
男「うぅ……俺の纏もいつかは誰かの嫁になっちまうんだよな……」シクシク
纏「誰が主の物か。気持ち悪いからさめざめと泣くでない。
それに、儂がこのどれすを着ることなぞ一生ないわい」
男「へ? なんでだよ、纏だっていずれは結婚するんだろ?」
纏「……我が家では女系が跡目になったら、入り婿を取って神前結婚するのが代々の習わしじゃからの」
男「いつの時代の話だよ。纏ん家が古い家柄なのは知ってるけど」
纏「由緒ある血筋を絶やさぬよう、必死という訳じゃな。じゃからちゃぺるの結婚式なぞ夢にも見ぬわ」
男「でもそれ、なんかおかしくね? いくらなんでももうちょい纏の意思も尊重していいだろうに」
纏「曾祖父が、儂の白無垢姿を見たいと言っていたのも、原因にはあるのぅ」
男「うーん……そっか。家長の発言は絶対ってことか」
纏「まぁ少なくとも、そこに儂の意思の介在する余地はないのじゃ。諦めよ」
男「……よし、決めた!! 纏、今から俺と駆け落ちしよう!!」
纏「ふぇ!? な、な、何を言うておるのじゃ!?」
男「纏にウェディングドレスを着させないような家に用はねぇ! 駆け落ちして俺と幸せな結婚式挙げようぜ!」
纏「なんという不純な動機なんじゃ! いっそ清々しささえ感じるぞえ!」
男「だってこのまま家に置いといて、纏を俺以外の嫁にやるの嫌なんだもん!!」キリッ
纏「言うておることはアホなのに、何故か格好よく見える!」
男「だから俺についてきてくれ!! そしてこのウェディングドレスを俺のために着てくれよ!!」
纏「た、タカシ……!!」キュンッ
纏「……ぬ、主の気持ちは嬉しいが、やはり駆け落ちというのは……些か気が進まぬというか……」モジモジ
男「なんでだよ! 俺を信用してくれ!」
纏「それに、駆け落ちというても、主に行く宛なぞあるのかえ?」
男「え……? そうだな、とりあえず当面は山田ん家に匿ってもらう、とか?」
纏「……それは駆け落ちでなく、単なる家出と言わぬか?」
男「うん、そーかもしれん」
纏「……主に一瞬でも期待した儂が馬鹿じゃった」ガクッ
最終更新:2013年04月18日 14:14