180 名前:1/4[sage] 投稿日:2011/05/27(金) 02:22:26.28 ID:8XS0EK+c0 [4/8]
  • 男ツンデレとショッピング

「ね、ね。カナタ君。この服なんてどうかなあ? 可愛くない?」
『ああ? 別にどれでもいいよ。お前の気に入ったの買えばいいだろ』
「それが決まんないから困ってんじゃん。だから、カナタ君連れて来たのに、さっきから
全然相談に乗ってくれないんだもん」
『だって、女の買い物なんてやたら長いし、すぐ目移りするしでめんどくせーんだもん。
ちょっと何か言やあ、十倍にして返って来るし。正直、うんざりもするぜ』
「むーっ!! だからって、服選びの時くらい、ちゃんと見てくれたっていいじゃない。
カナタ君だって、私が可愛い格好している方が嬉しいでしょう?」
『全然。別に、変な格好じゃなきゃどんな格好だって構いやしないって』
「何よ、それ。ちょっとくらい私に興味持ってくれたっていいじゃん。どうしていつも、
そうやってつれない態度取るの?」
『そりゃ、お前に興味が無いからだろ。人選間違ってんだよ、そもそも』
「私は、カナタ君に選んで欲しいのっ!!」
『そりゃ、無理な相談だろ。それとも、おざなりでいいなら褒めてやってもいいけど』
「もう、分かったわよっ!! 私一人で選ぶからいいもん。カナタ君はそこで待っててよね。フンだ」
『やれやれ。やっと自分で選ぶ気になったか。まさか、元がいいから、どれ着てもそれな
りに似合うなんて言えねーしなぁ……』


「ね、カナタ君。試着してみたんだけど、これ、どうかな?」
『だから、何で俺に聞くんだって――ゴフッ!!』
「ん? どーかしたのかな?」
『い……いやその……お前、ちょっとそれ、派手過ぎじゃね? キャバクラのねーちゃんかよ』
「失礼な。これでもすごい吟味したんだからね。ね? ちょっと色っぽくない」
『色っぽいっつーか、下品。胸元開きすぎだし、スカートも短すぎ』
「フフン♪ そんな事言って、ホントは私の体見て、欲情したりしてない? ね、ね。どうよ? こんな格好とか」


181 名前:2/4[sage] 投稿日:2011/05/27(金) 02:23:07.23 ID:8XS0EK+c0 [5/8]
『扇情的なポーズ取るのは止せって。大体、誰がお前の体ごときで欲情したりすっかよ。
全然エロくも何ともねーし……』
「ふーん。そういう事言うんだー。じゃあ、ちょっと試してみようかなー?」
『試すって、何をだよ』
「この格好で、街中を歩いてみるの。それで、どれだけの男の人が私の事見て色っぽいっ
て思ってくれるかなあって」
『バカ、止めろって。そんな事して変な奴に絡まれたりしたらどうすんだよ。危険な目に
遭っても知らねーぞ、俺は』
「危険な目って? どういう事なのそれ?」
『お前なあ。高校生にもなれば分かるだろ。下手に男を挑発すればどういう事になるかく
らい。仮にそうでなくたって、芸能事務所を名乗る怪しげな男にスカウトされたりとか、
危険は山ほどあんだからな。自重しとけ』
「カナタ君……もしかして、私の事心配してくれてるの?」
『なっ……!? だ、誰がお前の事なんて心配するかよ。あくまで一般論から忠告しただけだ』
「なんだ。私の事、心配してくれた訳じゃないんだ。だったら、やっぱりこの服にしよっかなー」
『お前な。人の忠告少しは聞けよ』
「だーって、私の事心配して言ってくれてる訳じゃないんでしょ? だったら、私だって
好きにするもん」
『バカ。お前に何かあってみろ。こっちはお前のおじさんおばさんに申し訳が立たないん
だよ。いろんな人に迷惑が掛かるんだから、ちっとは考えろ』
「やれやれ。まーったく、素直じゃないんだから」
『は? 素直じゃないって、何がだよ』
「いいよ、もう。それより服の事だけどさ。カナタ君が私に一番似合うっていう服を選ん
でくれるなら、この服買うの、止めてもいいよ」
『待てよ。何でそんな、お前の買い物に交換条件付けられなきゃなんないんだよ。意味分
かんないだろ』
「だって、カナタ君が止めろって言うからじゃん。だったら、私に似合う、素敵な服を選
ぶ義務があると思うんだけど? それとも、この服でいいのかな?」
『チッ…… 分かったよ。選ぶの、付き合ってやればいいんだろ?』


182 名前:3/4[sage] 投稿日:2011/05/27(金) 02:23:49.09 ID:8XS0EK+c0 [6/8]
「言っとくけど、ちゃんと選ばなきゃダメだよ? おざなりな決め方したら、さっきのよ
りもっとセクシーな服にするからね」
『フン。そんな服着て、街中歩けんのかよ? 口では強気な事言ってても、どーせいざと
なったら着れないんじゃねーのか?』
「カナタ君なら、私の性格よく知ってるよね? 煽られれば煽られるほど、闘志が湧いて
来るって。カナタ君がそういう態度なら、本気でやっちゃうよ?」
『お前ってそういうトコ、ホント強気なのな。全く……真面目にやればいいんだろ? こ
うなったら、徹底的に俺の好みで選ぶから、文句は言わせねーぞ』
「やたっ!! これで私もカナタ君好みの女の子に大変身だね」
『カッコだけな。中身が付いて来ないから、意味無いけど』
「むーっ!! 中身だって、絶対にカナタ君がドキッとするようないい女になってみせる
んだから、待ってなさいよね」


『やっと終わった…… 女の服選びって、マジでこんな体力使うとは思わなかったぜ……』
「おっまたせー」
『お前ってスゲーよな。あんだけ試着して、どうしてそんな元気なんだよ』
「だって、カナタ君が私の為に一番似合う服を選んでくれたんだよ? そりゃ、テンショ
ンも上がるって」
『別に、男子的な視点から見て、一番お前に合いそうな服を選んだってだけなのにか?』
「いーんだもん。カナタ君が私だけの為に、一生懸命選んだ服だもん。大切に着るからね」
『どーぞ、ご勝手に。それはそうと、ちょっと紙袋の中、見せてみ?』
「え? 何で? 女の子の持ち物漁るなんて、紳士のする事じゃないですよ?」
『バッグじゃなくて、今この店で買った紙袋だよ。別に、今買ったものを確認するだけな
んだから、失礼でも何でもないだろが』
「もしかしたら、下着も入ってるかも知れないのに? それとも、私がどんな下着買った
とか興味がおありで? それだったら、新品じゃなくて今着けてる生下着を見た方が良く
ないですか?」
『下着じゃねーよ。相変わらずの痴女っぷりは何とかしろ。そうじゃなくて、服だってば。
お前、約束破ってないか?』

183 名前:4/4[sage] 投稿日:2011/05/27(金) 02:24:51.98 ID:8XS0EK+c0 [7/8]
「は? 何のことでしょうかね。おねーさん、よく分かりませんが」
『とぼけるなよ。俺が真剣に服選んだら、さっき選んだ派手な服は止めるって言わなかったか?』
「ううん。止めてもいいよとは言ったけど、止めると断言はしてないよ」
『似たようなもんだろが。つか、元の場所に戻すフリして買ってたの、ちゃんと見てたん
だからな。全く……嵌められたぜ。金輪際、お前の言う事は信じないからな』
「安心して。買ったことは買ったけど、外では着ないから。それならいいでしょ?」
『まあ、確かに…… でも、外で着なかったらどうすんだよ。家で一人で着てニヤニヤすんのか?』
「私、そこまでナルシストじゃないもん。これは、カナタ君が家に遊びに来た時に着よう
かなって。さっき試着した時も、何だかんだ言いながら、しっかり鼻の下は伸びてたし。
こんな風に」
『伸びてねーよ。誰がお前の体で興奮するかっての』
「またそんな強気な態度取って。じゃあ、今からあたしんち行こ? カナタ君が本当に興
奮しないかどうか、確かめてあげるから」
『ふざけんな。俺はもう帰るぞ。疲れたんだからな』
「ダーメ。あたしんち来るの」
 ガシッ!!
『ちょっ!? 何、勝手に腕組んでんだよ。離せ。あと、胸も押し付けんな』
「やだよ。カナタ君がうちに来るまで、絶対離さないんだから」


終わり
最終更新:2011年05月29日 11:24