564 名前:1/5[sage] 投稿日:2012/11/05(月) 21:06:31.93 0
- ツンデレにコスプレをしてってお願いしたら ~後編~
「いいなぁ。このクルッと回ってポーズ取るの。ほらほら。芽衣も見てごらん。すごく可
愛いからさ」
『……いえ……もう結構です…… 私もう、疲れ果てて何をする気にもなれませんから……』
「完全に抜け殻状態になってるな。お? これ、おまけ映像だ。芽衣。これも一緒に送っ
ちゃって構わないのか?」
『もう全部送っちゃって下さい…… 本当なら、一枚たりとも送らせたくありませんけど
……取り直す気力もありませんし…… あと、最後のメッセージだけは、絶対に外さない
で下さいね。あの人には一度、はっきりと申しておかなければなりませんから』
「全く、結子さんにあそこまで言えるのって、多分日本だと芽衣一人だと思うよ」
『もういいです……最後のアレで、全精力を使い果たしましたので…… お夕食の準備の
時間まで、少々休ませていただきたいです』
「お疲れのところ、悪いんだけどさ。もう一仕事だけ、こなして貰わないと」
『何のお話ですか……? 一色さんに対する報酬は、もう十分こなしたと思いますけど……?』
「ああ。彼女に対してはあれで満足してくれると思うよ。ただ、俺からの依頼をまだ果た
して貰っていないからね」
『タカシ様に……ですか? 私……タカシ様に対してするような義理は、何もないかと思
われますけど……』
「一つ、残ってるだろ? ほら。ハロウィーンの定番文句。せっかくコスプレまでしたん
だし、最後に一言、あれを言わないと締めにならないと思うんだけど」
『定番文句って…… トリックオアトリートですか? もう十分、私の方が辱めを受けた
気がしてしょうがないですけど……』
「でも、芽衣が命じてくれって言った事の中に、それもしっかり入れたからね。可愛らし
く、ステッキ振りかざしながらポーズ決めて言ってくれないか? そうしたら、後は今日
一日、その格好で過ごしてくれればOKだから」
『分かりました。それで本当に解放していただけるんですね。ここまでやらされたんです
から、もうついでです。とっととやって仕舞いにしてしまいます』
「お? ちょっと復活したか。いいね、そのやる気」
565 名前:2/5[sage] 投稿日:2012/11/05(月) 21:07:04.56 0
『バカバカしくていつまでもこんな事に付き合っていられないだけです。それじゃあ、言
いますからしっかり聞いて下さいね』
「ああ。心に響く一言を頼むぜ」
『では……コホン。トリック、オア、トリート!! お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞっ!!』
「おお~~~~っ!! 素晴らしい。期待以上の出来だよ、芽衣。もしかして、動画撮っ
たことで、何かスイッチ入っちゃった?」
『そんな訳ありませんっ!! あああああ……こんな恥ずかしい事、絶対やりたくなかっ
たのに…… もうっ!! 全部タカシ様が悪いんですからね!!』
「いや、でもホントに可愛かったから良かったよ。これもビデオで撮影しとけば良かった
なあ。もったいない」
『そんな事したら、今度はデジタルビデオごと破壊しますからねっ!! もう……とにか
く、これで全部終わりですよね? それじゃあ私は、部屋で少し休んできますから』
「それなんだけどさ。芽衣。一つ、謝らなくちゃいけないことがあって」
『はい? 何ですか、タカシ様。そんな、神妙な顔つきをして』
「ああ。本当はここで、芽衣にご褒美のお菓子を上げて、下がって貰おうと思ったんだけ
どさ。残念ながら、お菓子を用意するのを忘れてしまったんだ」
『そんな事ですか。私はいちいち気にしません。別に、タカシ様からお菓子なんて貰った
ところで、嬉しくもなんともありませんし』
「いや。でもやっぱり言われた事はちゃんとしないしね。と、いう訳で芽衣。今から俺に
いたずらをしてくれ」
『ほへ? いたずらって……って、ええええええっ!!』
「芽衣が自分で言ったんだからな。お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ、って」
『い、言いました。言いましたけど、そんな……メイドの身分で主人にいたずらなんて出
来る訳ないじゃないですかっ!! そんな事、無理に決まってます!!』
「うーん。でも、言った事はやっぱりちゃんと実行しないと。俺も芽衣にお菓子を上げら
れない以上は、いたずらされるべきだと思うし。だからさ、ほら。何でもいいから、思い
ついたいたずらを俺に仕掛けていいぞ」
『だから無理ですってば!! タカシ様にいたずらなんて出来ません。そんなの、身分に
余る命令です!!』
566 名前:3/5[sage] 投稿日:2012/11/05(月) 21:07:42.01 0
「俺がいいって言ってるんだから、大丈夫だって。それに、そんな深く考えないでいいよ。
軽いいたずらでさ。例えばくすぐるとかでもいいし」
『く、くすぐりですか? いえ、やはりそんな失礼な事は……』
「まあ、それに限らなくても。いつも俺がちょっかいだしては芽衣に怒られてるじゃん。
それの仕返し程度に考えてくれても。試しに何か、考えるだけでも考えてみなよ」
『考えるって……そんな……』
『あの、思いつかなかったので……それじゃあ、さっさと終わらせる為に、タカシ様の体
をくすぐらせていただきますね』
「ああ。それならそれでどうぞ。ほら」
『では、失礼して……』
コショコショ……
「うーん。あんま、くすぐったくないな」
『そうですか? タカシ様、足の裏ってあまり感じないのですか?』
「いや。人並みだと思うけど」
『じゃあ、今度は脇の下を……』
コショコショコショ……
「やっぱ、あんま感じないな。芽衣が下手くそなんじゃないか?」
『下手くそとか失礼な事言わないで下さい。タカシ様が不感症なんじゃないですか?』
「そんな事無いと思うけどな。自分でくすぐった方がむしろくすぐったいし」
『そんな訳ありません。自分でやってれば耐えられるはずです』
「試しに芽衣にやってみようか? ほら」
コショコショコショ……
『ひゃうううんっ!! ひゃあ、やあっ!! らめっ……やめ……れ……くらひゃいっ!!』
「芽衣は逆に感じやすいみたいだな。ここらへんとか?」
『ひんっ!! やはっ……!! ひゃっ!! やめ……ひっひっひっ……』
「ちょっと、芽衣。悶絶し過ぎだってば」
『らっれ……らっれ……タカヒひゃまが……ひゃあっ!!』
567 名前:4/5[sage] 投稿日:2012/11/05(月) 21:08:13.05 0
「くすぐったがるのはいいけど……そんなに足広げたら、中見えるぞ」
『!!!!! らめ……らめれふっ……みらいれ……』
「でも、くすぐるほど、足広げて……腰も浮かしてるし」
『しょ……しょれはあっ……タカヒひゃまがくふぐっふぁいほこふぁかり……ふぇっ!?』
「……もしかして、ここもくすぐって貰いたいとか?」
『ちが……ちがいまふ……そんなんら……らめっ!? しょこはああ……』
「やっぱり、いっぱい感じてる。一緒に脇もくすぐったら……どうなるかな?」
『ひっ……やっ……やあっ……そこ脇ちが……胸っ……』
「ゴメン。もう止まらなくなっちゃった。芽衣にはこうなったら、たっぷり感じてもらうからね」
『たかひひゃま……らめ……らめえ……』
「芽衣。芽衣?」
『へっ!? え、あっ……』
「どうしたんだ、一体? 考えてるうちに、どんどん顔真っ赤になって来てるぞ。難しく
考え過ぎて知恵熱でも出たのか?」
『い……いいいいいいいえええ!! ちがっ……ちがっ……違いますっ!!』
「芽衣は何でも真面目に考え過ぎるからなあ。もうちょっとくだけて考えてもいいのに。
遊びだと思ってさ」
『いえ、あのその……』
「うん? どうしたんだ本当に。何かちょっとおかしいぞ? 芽衣ならここで、遊びでな
んて出来ませんとか何とか、文句付けて来そうなのに」
『それは、その……無理ですけど……あの、タカシ様っ!!』
「何? そんな大声で呼ばなくても、ちゃんと聞こえてるよ」
『そ……それはその……申し訳ありません…… えっとその……一つ、聞いていいですか?』
「ああ。別に一つと言わず、質問はいくつでもいいけど」
568 名前:5/5[sage] 投稿日:2012/11/05(月) 21:11:12.61 0
『ではお言葉に甘えて…… その、いたずらのタイムリミットってありますか? いつい
つまでにやらなくちゃならないとか』
「うーん。そうだな。まあ、ハロウィーンのイベントだし、日付が変わるまで、じゃない
か?」
『なら、ちょっと自分の部屋で考えさせてください。タカシ様の目の前じゃ、その……視
線が気になりすぎて、考えがまとまりませんから』
「まあ、それは自由にしていいよ。むしろその方が面白いかもな。芽衣がいつ、いたずら
を仕掛けて来るか分からないし」
『で、ではその……お言葉に甘えて、失礼致しますっ!!』
パタパタパタ……バタンッ!!
「何をそんなに慌てる必要あったのかなぁ……? トイレって訳でも無さそうだし。芽衣
との暮らしは長いけど、時々理解の出来ない態度取るんだよなぁ……」
『ハア……ハア……ハアッ…… 私……何やってるんだろう。よりにもよって、タカシ様
の目の前で、あんな破廉恥な妄想して……顔赤らめて…… 傍から見たら誰だっておかし
い事をしちゃうなんて……最悪……』
『たかが、例としてくすぐりを挙げただけなのに……あんなエッチな事を…… この服装
が、大胆過ぎるから悪いんじゃ…… それとも、私自身がそんな……ううん。違う。私は
あんな事…… でも、もしかして本当はああなりたいって望んでるから……あんな事考え
ちゃったんじゃ……』
『ダメ!! 絶対にダメ!! 私は、タカシ様にメイドとして……専属の使用人として、
終生お仕えして、タカシ様の幸せな人生を影からしっかり支えなくちゃならないのだから……
そんな事、考えちゃ絶対にダメ……なんだから……』
結局、芽衣さんの仕掛けたいたずらは、夕食のメニュー全部をかぼちゃづくしにしたとか。
終わり。
最終更新:2013年04月18日 15:02