683 名前:ほんわか名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/18(日) 23:09:31.33 0
お題作成機より
「ふぁ~ぁ……もうこんな時間か。終電間に合わねーな、こりゃ」
ガチャ
『あら別府。まだ残業してたの?』
「あ、お疲れ様です。椎水さんこそ今帰りですか?」
『そうよ。営業先で気に入られちゃってね、こんな時間まで接待よ。嫌になるわ』
「ははは、御愁傷様です」
『笑い事じゃないわよ。大体あんたこそこんなに書類溜め込んで、普段からキチンと処理しないからよ』
「う……面目無いです」
『……ていうかなにこれ。この書類もこの報告書も……あんたの担当じゃなくない?』
「ああ……それは体良く押し付けられた奴とか、中途採用の新人のミスのフォローとか……まあ色々ですね」
『……ふーん…………ま、あたしにはカンケー無いけどね』
「ははは……くぁあ……」
『ちょっと、欠伸するなら口ぐらい塞ぎなさいよ』
「うわ、済みません。ちょっと眠くて……」
『まったく……もうあたしは帰るけど、あんたもキリの良いところで帰りなさいよね』
「はい、ありがとうございます」
『別にお礼言われるようなコトはなにもしてないけどね』
「いやいや、わざわざ事務所に寄ってもらえただけでも十分ですって」
『…………別にっ、明日の会議の資料取りにきただけだし』
「そういうことにしておきましょう」
『……部下のクセに生意気なのよっ』 ガチャ
パタン
「お疲れ様でーす……っと……はーっ、さってと! ちゃっちゃと片付けるか!」
684 名前:ほんわか名無しさん[] 投稿日:2012/11/18(日) 23:13:13.12 0
~~
「ん…………」 パチ
『…………』 カサ…
「……あれ、椎水さん……?」
『あら、ようやく起きたのね。寝坊助さん』
「済みません……いつの間にか寝ちゃってたみたいで……」 ゴシゴシ
『あっ、目こすっちゃダメ。腫れるわよ』
「はは、男なんですからそんなの気にしませんって」
『違うわよ。営業とか会議のときにみっともなく目を腫らしてたら舐められるでしょ。そういう細かい見た目って結構重要なんだから』
「ああ、なるほど……」
『まったく……』
「それで、椎水さんはなんで戻ってきたんですか?」
『今日の分の新聞読むの忘れててね。ウチ新聞とってないから、読みに戻ってきただけよ』
「へえ。新聞とってないんですか?」
『会社でも読めるものをわざわざお金払ってまで家に届けてもらうのなんて意味無いわ。配達員の人も大変だしね』
「でも、やっぱり家でくつろぎながら読むのが一番じゃないですか?」
685 名前:ほんわか名無しさん[] 投稿日:2012/11/18(日) 23:14:31.78 0
『そうかもね。でもこうして……っ』
「? なんですか?」
『……いや、なんでもないわ』
「んー……」
『なによ』
「いや、俺も、椎水さんと2人でゆっくりできるなら、いくら残業してもいいかなって」
『…………馬鹿なコト言ってんじゃないわよっ。そんなことよりほら、さっさと書類片付けなさいよね』
「あ、はい……ってあれ? なんか書類の山減ってません?」
『そうかしら。あたしが戻ってきた時にはそのくらいになってたわよ』
「そうですか?」
『寝ぼけてるんじゃない? そのコーヒーでも飲んでちゃんと目を覚ましなさい』
「はい……ってあれ? コーヒー淹れてくれたんですか?」
『知らない』
「コーヒー淹れたことまで忘れるほど疲れてんのかな、俺……」
『意識も朦朧とするまで仕事するなんて現代人のすることじゃないわ。キチンと休息を入れながらじゃないと、作業の効率も落ちるしね』
「それもそうですね……。ん……このコーヒー美味いですね。流石椎水さん」
『そんなことないわよ。給湯室にあったの適当に……あ』
「ありがとうございます」
『ちっ、違うわよ? あたしが淹れたわけじゃ……』
「ははは、わかってますって」
『なにがわかってんのよ。ニヤニヤするなっ』
「別にニヤニヤなんてしてませんって」
『してるわ。イヤラシイ顔してるもの』
「うわ、酷いですね。傷ついちゃいますよ」
『知らないわ、そんなこと』
「そうですか」
『そうよっ』
「……椎水さん?」
『…………なによ』
「ありがとうございます」
『…………別にっ』
最終更新:2013年04月18日 15:11