733 名前:3/1[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 22:47:44.25 0
「今日は、いい兄さんの日らしいので、いつも家事をやってくれている敬子の手伝いでもしよう」

「まずは洗濯をするか、このカゴに入ってる物が汚れ物で……洗剤はどこだ?」
『に、兄さん!! 何をしているんですか!』
「へ? いや、敬子の代わりに洗濯を――」
『しないで下さい! 兄さんなんかに洗われたら、綺麗になる物も綺麗になりませんから』
「いやいや、洗濯くらい俺でも出来るって」
『では、手に持ってる入浴剤で何をするつもりだったんですか?』
「おおうっ! こ、これは違うぞ! 洗剤を探して、たまたま手に取っただけで……」
「もう良いです。洗濯は私がしますので、兄さんはどこかに行って下さい、邪魔です」

『んん~♪ ふふん~♪』
「よし、今度こそ……敬子、洗うの手伝うぞ。そこのスポンジ取ってくれー」
『なっ――て、てて、手伝わなくても良いです! これくらいの量なら一人で出来ますから!』
「遠慮すんなって、いいからいいから」
『だから手伝わなくて良いですって――』ガシャーン!
「け、敬子! 怪我ないか!?」
『…………だ、大丈夫です』
「ほっ……そりゃ良かった」
『はい、皿が一つ割れた事以外は、ですが。兄さん、あっち行って下さい』
「……はい」

734 名前:3/2[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 22:48:55.09 0
「うーむ、手伝うつもりが裏目に出てるような……次は何を……」
『……ふぅ』
「おっ、敬子、お疲れさーん」
『別にあれくらいで疲れません、いつもしている事ですから――
 あっ、コーヒー淹れてくれたんですか、兄さんにしては気が利きますね』コクコク
「……すまん、お前の分は淹れてなかった」
『…………うくっ…………に、兄さん……何でコーヒーくらい用意してくれないんですか?』
「何でって言われても、思い至らなかったとしか」
『お皿を割ってしまったお詫びに、とかは考えないんですか? 本当に気が利きませんよね、兄さんは』
「だな! わっはっはー」
『何を笑ってるんですか、全く。……はぁ……もう良いので、お風呂でも入れてきて下さい。
 これくらいなら兄さんでも出来ますよね?』
「おうよ、任せろ! 完璧な風呂を用意してくるぜ!」
『普通ので、お願いします、余計な事はしないで下さい』

『…………はふぅー……』
「敬子ー、湯加減どうだー?」
『に、兄さん!? ぜっ、絶対に入って来ないで下さいよっ!!』
「え? 入るわけないって、大丈夫大丈夫」
『……何の用ですか? 用がないなら、さっさとどこかに行って下さい』
「湯が熱くなかったか聞きに来ただけだから、用はもうないんだよなぁ…………おっ、そうだ、敬子」
『何ですか?』
「背中流してやろうか?」
『…………へ?』
「ん?」
『…………』
「…………敬子?」
『はっ、はい!』
「……早く、そんなつまらない冗談言わないで下さいって言ってくれないと、俺が本物の変態認定されそうなんだが」
『…………そんなっ、つまらないっ、冗談っ、言わないで下さい!!』

735 名前:3/3[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 22:50:26.57 0
「よし、今日の反省をしよう。
 えーと……敬子に迷惑しかかけてないなぁ……いい兄さんになるのは難しい……来年は本気出す!」


『……はぁ……今日は疲れました……兄さんが私の下着を洗おうとしますし……
 並んで食器を洗おうとしてきたり……まるで夫婦みたいじゃないですか……手だって……握られるし……
 それに……兄さんの……飲みかけのコーヒーを飲んじゃいますし……
 あっ……背中流そうかって言われた時……お願いしたら……どうなってたのかな……
 ……はぁ……今日は本当に……どきどきして疲れました』
最終更新:2013年04月18日 15:17