25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 20:25:23.93 ID:tQSVF62y0 [2/9]
じゃあそれまでの繋ぎに


進路志望をツンデレと同じ大学にしたら
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2732.txt

※男ツンデレです





  • 進路志望票にツンデレと同じ大学って書いたら

[おい、椎水。ちょっといいか?]
『ハァ? 何すか先生。別に俺、先生に呼び出されるような事、した覚えないすけど』
[いや。進路志望票の事で……ちょっとな]
『進路? 一応真面目に書いたつもりですけど。何か問題ありましたすかね?』
[いや。お前は問題ないんだが……とにかく、ちょっと来てくれ。頼む]
『はあ……』
『何なんだよ一体……?』


「あ!! 悪い人が来た!!」
『何なんだよ、孝美。その悪い人って?』
「だってカナタ君、職員室に呼ばれてたんでしょ? てことは絶対何か悪い事したに決まっ
てるもん。何なに? 何やったの? サボり? お酒飲んだのバレたの? それとも誰か
とケンカでもした?」
『ちげーよ。別に説教で呼ばれた訳じゃねー』
「うっそだあ。別に隠さなくたっていいじゃん。あたしなんてしょっちゅう呼ばれてるし」
『自分の恥を自慢げに語るな。それより孝美。頭出せ』
「え? 何で?」
『いいから、早くしろ』
「もう。何だか分からないけど、カナタ君強引なんだから。はい、頭。これでいい?」
『よし。そのまま暴れんなよ』
「ふぇっ!? ちょっと、何すんの?」
 ギュウウウウウッ!!
「いったいいたいいたいいたいっ!! ギブギブギブ!! ヒドいよカナタ君っ!! い
きなり何なの? こんなか弱い女の子にヘッドロック掛けるなんて悪魔の所業だよっ!!」
『やかましい。誰のせいで俺が無駄な時間使ったと思ってるんだ。人に文句言ってる暇が
あったら少しは自分の行いを反省しろっ!!』
「私何も悪い事なんてしてないもんっ!! ちょっと私にからかわれたからって暴力に訴
えるなんて、カナタ君心ちっちゃ過ぎだよ」
『ほう。そこまで自信満々に言い切るか。なら、これを見てみろ』
「へ? 何これ……って、私の進路志望票じゃん!! 何でカナタ君が持ってるの? プ
ライバシーの侵害だよ!! 個人情報保護違反だよ!!」
『やかましい。無駄に変な知識ばかり蓄えやがって。これは担任から渡されたんだよ。つ
べこべ言わずに、自分の進路を第一希望から読み上げてみろ』
「え……? そ、そんなぁ…… いくらカナタ君の頼みだって、ちょっと恥ずかし過ぎるよぉ……」
『何照れてしななんか作ってるんだこのバカ。こっちは真面目にやってるんだ。さっさと読め』
「う…… カナタ君がどーしてもって言うなら…… えーと、第一希望がカナタ君とおん
なじ大学でしょ。で、第二希望が、カナタ君と同じ大学で、第三希望がカナタ君と一緒の
大学。良かったねカナタ君っ!! 進学しても孝美とずっと一緒だよ!!」
『うるせえ。何だよこのふざけた回答は。自分の進路なんだぞ。もっと真面目に考えろ』
「考えてるもんっ!! だって私、どーしてもカナタ君と同じ大学行きたいんだもん!!
だけどカナタ君てば、いくら聞いても教えてくれないから、こう書くしかなかったんだもん!!」
『教えたらお前絶対そっくりそのまま同じ大学書くだろ。何にも考えずに』
「当たり前だよ。だってカナタ君と同じ大学行きたいんだもん」
『全く…… まずは物事全てを俺基準で考えるのを止めろ。担任にも言われただろ。もっ
と真面目に自分の将来について考えろって。言っても全然耳に入ってないみたいだから、
お前保護者として何とかしろって、俺に泣き付いて来られたんだぞ。こっちはいい迷惑だっての』
「だって、先生ってば自分の進路なんだからもっと真剣になれとかばっかでさー 私はちゃ
んと真面目に考えて書いてるのに、全然信じてくれないし。何でなんだろ?」
『そりゃ、誰が見たってふざけてるようにしか見えないからな。何なんだよ、俺と同じ大
学って。大学名を全部同じで書くならともかく、何処に行くかも分からないクセに同じと
か書くな』
「じゃあカナタ君の受ける大学教えてよ。そうしたらそこを書いて出し直すからさ」
『やなこった。万々が一にも同じ大学に行く事になったら、ベタベタされて欝陶しいから
な。今ですらウンザリなのに4年も追加されるなんて冗談じゃねーよ』
「欝陶しいとかヒドい!! 普通カナタ君くらいの年だったら女の子にくっつかれれば嬉
しいんじゃないの? あ、分かった。恥ずかしいもんだから照れてるんでしょう?」
『どうやらお前には一度本気で分からせる気があるようだな。体で』
「待って待って!! 何で拳なの? そこは例えば死ぬほど辱めを受けさせつつ、調教す
るとかじゃないの。縛り上げてローターとか」
『何でお前から要求してんだよ。つかエロい方向はよせっていつも言ってるだろうが』
「フエエエッ!! だから拳はダメェ!!」
[あら? どうしたの二人ともこんな遅くまで。あ……っ!! も、もしかして私、お邪
魔だったかしら?]
『んな訳ねー。むしろ邪魔どころか助かったくらいだぜ』
「フエエエエンッ!! 委員長、カナタ君がヒドいんだよおっ!!」
[あら? どうしたの、別府さん。一体椎水君が何をしたの? も……もしかして、高校
生にあるまじき不純な行為を迫られたりしちゃったとか……?]
『いや、無いから。ちっと進路の事でこのバカに諭してやっていただけだ』
[あら? そうだったの。それは残念だわ]
『何で残念がってんだよ!! 本気でガッカリすんなっ!! 全く、ウチのクラスの女子
は優等生まで脳みそピンクなんかっ!!』
[知識がなまじっかあるだけに耳年増になっちゃって…… 別府さん。進路の事だったら
良かったら相談に乗るわよ]
「ホントに? 委員長優しい。聞いて聞いて。カナタ君たらねー」
[ええ。はい……はい……]
「それでね。カナタ君と同じ大学だったらどこだっていい的な事言ったら……」
[ええ……ええ……]
「ってこういう事なの。カナタ君てばヒドいと思わない? 私がこんなにも想いをぶつけ
てるのにさー」
『コイツの凄いところは、自分が絶対正しいって思い込んでるから、普通おかしいと思う
ところもごまかしとか無いって事だよな……』
[分かったわ、別府さん。じゃ、まずはそこに座って]
「え……? あ、はい。それじゃあカナタ君はこっちね」
『何で俺まで話に参加しなくちゃなんねーんだよ。意味分かんねーぞ』
「だって、私の進路の話なんだよ。カナタ君にも重要じゃない。ちゃんと聞いておかないと」
『何が重要なんだよ。俺は全く関係無いってのに、勝手に巻き込むな』
[別府さん!!]
「は、はい!?」
[良い? 貴女が椎水君と一緒にいたいと言う気持ちはよく分かったわ。しかしそれにし
ては、貴女はね。思考が短絡過ぎなの]
「ほえ? それってどういう事?」
[いい? 貴女が今後ずっと椎水君と一緒にいたいと思うのならね。ただおんなじ大学に
進むだけじゃあ駄目なの。まずは女性として、キチンと自身を磨くところから始めないと。
一時の幸せがずっと続くなんて思ったら大間違いなの。分かる? そもそも端から見てい
ても別府さんは椎水君に甘え過ぎなの。もちろん、好きな人とくっ付いていたいっていう
のは気持ちとしては分かるわ。だけど、そんなふうに依存してばかりじゃあ却って鬱陶し
がられるばかりで、もしかしたら嫌われてしまうかも知れないじゃない。貴女は見ている
といつでも楽な方、楽な方へと進みたがるけど――]
『長くなりそうだし、帰るか。委員長に任せるのも……何かちょっと、不安だけどな』
「えええっ!! カナタ君帰っちゃうの? 待ってよ私も――」
[別府さん。ちゃんと私の話を聞きて。いいですか? 貴女という人はね――]
『じゃあお疲れ、委員長。あとよろしくな』
[ええ。今日は別府さんにしっかりと言い聞かせて差し上げますから。さあ、別府さん。
まだ話は始まったばかりなのよ。知識だけは豊富な私が、好きな人と一緒にいるためには
どうすればいいか、たっぷりと貴女に教えてあげるから]
「ふえええ~ん!! 助けてぇ~帰らせてぇ~っ!!」


『ふう。飯も食って風呂も入ったし、パパッと宿題片付けたら、ニコ動でも見るかな』
 バンッ!!
「カナタ君~っ!!」
『おわあっ!? 何だ孝美こんな時間に!! つかくっつくな離れろこのバカ』
「だってカナタ君たらヒドいんだもん!! 私置いて帰っちゃうなんて」
『あんなのにいつまでも付き合ってられるか。ところで、お前何でまだ制服なんだよ。
もしかして、今学校から帰って来た訳じゃないだろ。もう9時だぞ』
「そのまさかだよ…… 4時間もお説教くらうなんて思わなかったし……」
『バカに分かるように言い聞かせたらそれくらいの時間にもなるだろ。委員長も災難だな』
「災難だったのは私の方だよっ!! もう分かったから帰らせてって言っても全然許し
てくれなくて…… もう身も心もボロボロだよぉ……」
『さぞかしいい話が聞けたみたいで良かったな。じゃあもう帰って寝ろ。どうせ夜更か
しして明日寝坊すんだろ。遅刻しそうになっても面倒見ないからな』
「もう疲れたから夜更かしなんてしないよ。じゃあおやすみ……」
『どさくさに紛れて人のベッドに潜り込もうとすんな。とっとと帰りやがれ』
「フニャアアア~ ベッドォ~ッ……」
『欝陶しい奴だな。このまま部屋から引きずり出すか』
「やめてやめて。ホントは真面目に相談しに来たの。だからちゃんと聞いて。お願い」
『分かった。まあ聞くだけは聞いてやる。さっさと話せ』
「うん。えーとね。カナタ君の志望校を教えて下さい」
『ヤダね。お断りだ。どうせ進路志望に俺と同じ大学書くだけだろ。一体委員長の説教
をどう聞いていたんだ』
「真面目に聞いたってば…… そもそも行く大学すら分からないとか問題外だって……」
『そりゃまあそうだな。最終的にゃ、申し込み書類だって買えないだろ』
「ハッ!? それもあった…… 他にもね。学力的には見合ってるのかどうかとか、そ
の先の就職のこととかもちゃんと考えてるのとか、でね。あんまりにも私は無計画過ぎ
るって。カナタ君と一緒になりたいなら、今が良ければいいんじゃなくて、もっと自分
の魅力を磨いて惚れさせるような女の子にならなきゃダメだって、それはもう懇々とお
説教されましたよ」
『委員長らしいな。で、そこまで言われて何でまだ同じ志望校にこだわるんだよ?』
「だってだって、それだけは譲れないんだもん。そうしたら、カナタ君からきちんと進
路志望を聞いて、それに向かって勉強しなきゃダメだって。ベタベタしてばっかで彼の
邪魔してても、置いてかれて捨てられるだけよって。でもカナタ君はそんな酷いことし
ないよね?」
『いや。そもそも拾ってないからな。道端のゴミを放置していても、それは拾った事に
ならないだろ?』
「ゴミ扱いヒドいっ!! そんな事言わないでお願い。カナタ君の志望校教えて。孝美
頑張るから!!」
『うーん…… まあ……これ以上ベタベタお願いされても欝陶しいだけだしな…… ま
あ仕方ない。教えてやってもいいけど』
「ホントに? やったーっ!! カナタ君嬉しい優しいっ!! 何だかんだ言っても、
やっぱり私と同じ大学行きたいんだよねっ♪」
『は? 何バカな事言ってるんだよ。俺の志望校教えれば、お前にもちょっとは現実の
厳しさが分かると思ったから言ったんだよ。いいか? 第一志望が穂野大だろ。第二志
望が美府大で、第三希望が設楽場大で全部経済学科な。ほれ』
「ありがとー。じゃあ私もこの三つで書いとくね」
『ハーッ…… そのいい加減さを委員長に説教されたんだろうが。お前、穂野大の偏差
値が幾つなのか知ってるのか?』
「分かんないけど……カナタ君が行けるなら大丈夫だよ。きっと私も行けるって」
『お前な…… いや。俺だって穂野大や美府大はちょっと厳しめの目標なんだぞ。孝美、
偏差値幾つだよ。そんなに気楽に行けるなんて言うって事は、当然60は越えているんだ
ろうな? 確か前に一度、俺について予備校の模試受けに行った事あったよな? 結果
どうだった?』
「忘れました。過去は振り返らない性分なので」
『ああそうかよ。だから能天気に人生過ごして行けてるんだろうけどな。その分だと、3
学期の学年末テストとかもまだカバンに入れっぱなしだろ。それでいいから、見せてみろ』
「へっ……!? い……いやいやいや。そんな事ないよ。ちゃんとその……テストの結
果は家に……っていうか、も、もう捨てちゃってないし。今頃もうごみ焼却場で灰になってるし」
『その焦りっぷりがウソだって言ってるようなものだけどな。まあ、カバンの中全部開
けて見せてみろ。それでなければ信じてやるけど』
「お、女の子のカバンの中を漁ろうとするなんてカナタ君。それは鬼畜とか変態の所業ですよ」
『夜中遅くに男の部屋に無防備に突撃してきて今更何言ってやがる。無理矢理奪い取っ
て中をあらためられないだけ感謝しろ。ほれ、どうする? 中身全部広げるか、テスト
結果だけ出すか、さっさと選べ。こっちは貴重な時間を割いてやってるんだから』
「あう…… カ、カバンの代わりに……その……私じゃダメ、かな? カナタ君の……
好きにして……いいから……」
『ああ、分かった。じゃあいっそのことお前の頭から脳みそ取り出して中広げてみるか
な。どこまでピンク色なのか全部解剖して調べてやるよ』
「待って待って待って!! それじゃ死んじゃうよ!! カナタ君、目がマジ!! マ
ジだってば!! み、見せるから。ちゃんと見せるから」
『全く……相談に乗ってやってるのがバカらしく思えるよな……』
「はい。カナタ君これ……」
『ほれ。やっぱり入れっぱなしじゃねーか。つか、クシャクシャだな。ほれ、渡してみせろ』
「こ、答えとかジロジロ見ないでね。点数だけにして。お願い」
『分かってるよ。つか安心しろ。どうせおバカな答えを書いて他の女子にバカにされた
りしたんだろ。今更確認しなくたってお前が救いようのないバカだってのは分かってるから』
「ううっ…… カナタ君それ、全然フォローになってないよ。シクシク……」
『どれどれ。現国52、英語38、古文45、数Ⅱ34、物理40、世界史65…… まあこんな
物だろうな。一つも赤点がないってだけマシなとこか』
「一応、テスト前には友達とみんなで勉強してるもん。本当はカナタ君に教えて貰いた
いけれど、絶対嫌だって断られるから」
『で、女子トークとお菓子に夢中になって、気付いたら勉強時間が無くなってると。お
前ら見てるとまあ想像付くけどな』
「でもでもずるいんだよ。文ちゃんとかずーっとおしゃべりしてたのに、テストの点私
よりずっといいの。真希ちゃんと二人でズルいーって文句言ったら、普段の授業は聞い
てるからかなあとか言っててさ。絶対友哉君と二人でラブラブな勉強してるんだよ」
『山田はアイツ、基本的には真面目だろ。お前らが堕落の道に引きずり込んでるだけで。
まあ友哉の奴と一緒に勉強してるかどうかは知らないけど、地道にやってるんじゃねーの?』
「またまた。興味ないフリしちゃって。カナタ君も欲しいでしょ? 一緒に勉強する女
の子とかさ。ほらほら。ここにおりますよ。何なら夜のお勉強も一緒に――たっ!!」
『ホント、懲りない奴だな。次はデコピンじゃ済まさないぞ』
「いったーっ…… 涙出てくる…… カナタ君はもう少しエロ話に耐性つけた方がいい
よ。すぐ暴力に訴えるんだもん。ウブもいいところだよもう……」
『うるせえ。単にそういう冗談が嫌いなだけだ。それより俺のテストだ。ほれ、見てみろ』
「えーと…… 現国75、英語68、古文78、数Ⅱ65、物理74、世界史88……って、ズル
いっ!! カナタ君こんなにいい点数取れるわけないよ!! 絶対にカンニングしたでしょ?」
『してねえっ!! お前人をバカにするのもいい加減にしろよな。というか、この程度
の点じゃまだ穂野大とかギリギリボーダーなんだよ。模試の偏差値でも、あと1つとか
2つ足らないし。お前、あと2年足らずで……いや。現実1年ちょっとで志望校確定さ
せるのに、それまでにここまで成績上げられるのか?』
「絶対無理!! こんな点数、常人じゃ取れる訳ないよ!! だからお願い!! 私も
もうちょっと頑張って学力上げるから、カナタ君もランク落として」
『何でお前の為にランク落とさなくちゃいけないんだよ。意味分かんないし。だから言っ
たろうが。ふざけた志望を書いてないで真面目に考えろって。俺はちゃんとしっかり調
べて志望校選んでるんだから、変える訳ないだろ』
「酷いよカナタ君。彼女と同じ大学でラブラブなキャンパスライフを送ろうとか思わないわけ?」
『女で大学決める訳ないだろ。つか、大学入ったら彼女もちゃんとそこで作るし』
「ちょっ……待ってよ!! それ、マジでダメ!! お願いカナタ君。孝美頑張るから
見捨てないで!! カナタ君好みの女の子になるように努力するから!!」
『努力の方向が違うだろがっ!! どうしても俺と同じ大学に行きたいって思うなら、
まずそっちの努力からしろよ。何だっていつもいつも、楽な方楽な方に行きたがるんだ
か。そういうのをダメだって、委員長に懇々と諭されたんだろうが。少しは理解しろ』
「分かったよぉ…… じゃあカナタ君。明日から毎日私に勉強教えて? お願い。成績
上げる為にはカナタ君の力借りるしかないの。真面目に勉強するから。カナタ君に勉強
教えて貰えるなら、何だってする。だからお願い」
『アホ。毎日お前の相手するだなんて無理に決まってるだろ。せめて週4にしろ』
「嘘? 週4だったら、勉強見てくれるの? ホントに?」
『う…… お前の頼みが余りにも極端すぎてついうっかり…… まあ、何でも言う事聞
くって言ったからな。俺の言う条件を飲むなら、勉強見てやるくらいしてやってもいいけどな』
「聞く聞く。カナタ君の言う事なら何だって聞くから。だからお願い」
『よし、分かった。じゃあ言うけどな。明日から、学校で俺にベタベタ絡むの一切禁止
な。スキンシップは全部ダメ。日常会話程度ならいいけど、二人きりになろうとか一緒
に組もうとかそういう誘いも全部ダメな。それが出来るなら、勉強見てやる。どうだ?』
「えええええーっ!! そんなあ……無理だよ、カナタ君と学校でいちゃラブ出来ない
なんて、私に息するなって言ってるのと同じだってば」
『出来ないなら、当然勉強教えるのも無しな。まあ、もちろん今までと同じで素気無く
扱う事には変わりないけど。お前が態度改めないって言うなら、当然俺だって何かして
やる必要もないしな』
「う……うううっ……」
『まあ、少しは現実が分かったろ。コレに懲りて、少しは真面目に進路を考えるんだな』
「分かった、カナタ君っ!!」
『わわっ!! アホ。でかい声出すな。家中どころか隣近所にまで響き渡るだろが』
「カナタ君。私……頑張る。学校でカナタ君に甘えるの我慢するから…… だから、お
願いしますっ!! 私に勉強、教えて下さいっ!!」
『土下座までしなくていいっての。まあ、そこまでの覚悟があっての事なら、見てやら
なくもないけどな。ただし、協力はしてやるけど、成績が上がるかどうかはあくまで自
分の頑張り次第だからな。俺はそこまでは責任持たないぞ』
「分かってるよ。カナタ君のせいになんてしない。ちゃんと大学も全部調べて、合格す
る事を目標に頑張るから。委員長もこういう事言ってたんだもんね。目先の幸せに囚わ
れないで、先を見据えて行動しなきゃダメだって。だから私……頑張るっ!!」
『条件忘れんなよ。学校でちょっとでも馴れ馴れしい態度取ったら、即契約解除だから。
いいな?』
「分かってる。明日からよろしくお願いします。カナタ君」


[なあ、カナタ。お前ら一体どうしちゃったんだよ?]
『はあ? 何がだ?』
[孝美ちゃんだって。何か急にお前にくっ付いて来なくなったじゃん。ケンカでもしたのかよ]
『知らねーよ。アイツの中で何か変わったんじゃねーの? やっとこさ女としての恥じ
らいに目覚めたとかさ』
[お? そんな興味ない素振りしちゃってさ。ホントは寂しいんじゃねーの?]
『アホ。何で俺が寂しがる必要があるんだよ。むしろベタベタ引っ付いて来られて、事
あるごとに一緒にいようとしやがって、迷惑蒙ってたのはこっちなんだし。むしろせい
せいしてるって』
[またまたまた。そんな事言ってさ。実は不安なんだろ? あんまり冷たくし過ぎて嫌
われたんじゃないかとかさ。あ、そうか。孝美ちゃんってば、そういう作戦なのかもし
れないな。ワザと急に素っ気無い態度を取る事でカナタの関心を引こうとかさ。いろい
ろ考えてるなあ]
『だとしても、俺がアイツに興味持つなんてねーから。その話題、もうしまいな。ウゼ
ーよ』
[はいはい、照れ屋さん。全く、気になって仕方ないくせに素直じゃないんだから]
『お前はやっぱり一度殺しておいた方がいいな……』


 バタンッ!!
「カナタくーんっ!!」
『どわっ!? い、いきなりノックもせずに入ってくんな。抱きついてくんな!! 鬱
陶しい離れろ!!』
「ヤダヤダヤダ。だって、今日一日全然甘えられなかったんだよ? もう、全然カナタ
君成分が切れちゃって大変だったんだから。カナタ君も寂しかったでしょ。ねえ?」
『むしろこんなに落ち着いて過ごせた一日はなかったと満喫してたくらいだけどな。で、
勉強しに来たんだろうが。こんなにくっ付いてたら出来ないだろ』
「お願い。10分。10分だけ抱きつかせて。カナタ君分チャージし終えたら真面目にやる
から。あと、終わったら当然ご褒美で抱きつかせてくれるよね?」
『知るかバカ。つか、何で俺がお前にご褒美あげなくちゃいけないんだよ。むしろ俺が
面倒見てやってるのに』
「ご褒美…… だ、だったらその……どうぞ。えっとね。私の体だったらああああいた
たたたたっ!! ギブギブギブッ!!」
『ホントにお前ってのは懲りない奴なのな。どうして酷い目に遭うと分かっていてそう
いう事言うのか、理解に苦しむぞ全く』
「うううううう…… ハグはたくさんして欲しいけど、ベアハッグは勘弁です。おっぱ
い潰れちゃうよ……」
『今度そういうふざけた事言ったらマジで背骨折るからな。それにしても、あそこまで
やられても、まだ抱きつくのは止めないのかよ。全く、神経が図太いと言うか、心臓に
剛毛でも生えてんのか』
「だーって、まだ10分経ってないもん。カナタ君にいっぱいスリスリしてエネルギー貰
わないとねっ」
『だから頬っぺた擦り付けてくんなあっ!! こっちがエネルギー吸い取られるわ全く……』
最終更新:2013年09月02日 18:15