81 名前:1/8[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 23:49:33.77 ID:xAF6alnsO [36/41]
同僚「でもですね、奥さん」
女「はい?」
同僚「なんだかんだ言って、奥さんもその歳で別府との結婚を決めた訳じゃないですか?」
同僚「その決め手って、結局は何だったんスか?」
女「えっ?……っと、それは……」
後輩「照れなくてもいーッスよぉ! 先輩のどこにホレたか、俺たちに教えてくださいよぉ!」
男「お、おいおいお前ら、あんまりうちの嫁を困らせないでくれよ?」
男(つか、質問されまくるとボロが出る可能性高いし……)
女「……そうですね。どこが、って聞かれると、ちょっと困っちゃうかな」
男「ほらなー! お前らちょっとは自重しろって……」
女「だって、ダメなとこも嫌なとこも含めて、全部好きになったんだから」
男「いっ……!?」
同僚「おぉ!!」
後輩「うおぉぉ!! 爆弾発言!!」
店長「ほぉ……」
82 名前:2/8[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 23:51:38.30 ID:xAF6alnsO [37/41]
女「タカシって、スケベで調子乗りで子供みたいで、本当に愛想が尽きそうになることも多かったんですけど」
女「そういうとこがほっとけなくて、ずっと後を追ってるうちに、他の男の人が目に入らなくなっちゃったんです」
女「それが結婚まで踏み切った一番の原因かなって……」ハッ
男「……」ドキドキ
同僚「……」ジィーッ
後輩「……」ウルウル
店長「……」
女「ご、ごめんなさい! 私ったら空気も読まずに、自分語りしちゃって……」
同僚「……いやぁ、素晴らしい! 奥さん、良妻の鏡じゃないッスかぁ!」パチパチパチパチ
後輩「俺、ちょっと感動しちゃったッス。すげぇカッケェッスよ!」グスン
店長「お互いが尊敬しあえる夫婦っていうのは、幸せなことだな、別府」
男「あ……そ、そうですよね。あはは……」
男(おいおい、どーすんだよこれ……嘘演技に熱入れすぎだろ、かなみ)
女(……もしかして私、墓穴掘った?)
83 名前:3/8[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 23:53:34.70 ID:xAF6alnsO [38/41]
後輩「よーし! そこまで愛しあってるなら、証を立ててもらおーじゃないッスかぁ!」
同僚「別府! お前、今からお前の嫁さんとキスしてみせろ!」
男「は、はぁッ!? なんでだよ、ふざけんなよ!?」
店長「こらこら、お前ら。悪酔いが過ぎるぞ? すみません、奥さん」
女「い、いえ……」
後輩「悪酔いじゃねーッスもん!」
同僚「俺たち、ここに来る前から、別府と嫁さんがキスするようにけしかけてやろうって考えてたんですよ」
後輩「本当は酔った勢いでしてもらうつもりっしたけど、ここまで熱々なら素面でも変わんないッスよねー!!」
同僚「つー訳で、お前ら二人の熱愛ぶりへの罰だ。ここでぶちゅっと一発カマシたれ!!」
店長「全くお前らは……どうする、別府? 嫌ならこいつら外に連れ出して説教してくるぞ?」
男「いやあの、俺がというよりかなみがどうするかなんですけど……」チラッ
女「……」
女「……私は、別に構わないよ」
男「ッッッ!?」ドキンッ
85 名前:4/8[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 23:55:06.45 ID:xAF6alnsO [39/41]
男(おいっ! 俺はてっきり断るだろうと思ってたのに……)ヒソヒソ
女「いいじゃない……私たち、“夫婦”なんだからさ」スッ
男(うわあぁ!! すでに準備万端かよおぉぉ!!)
同僚「おぉ!? 奥さんノリノリじゃないですかー!!」
後輩「ヒューヒュー! ラァブラブ最高潮ッスー!」
店長「ごめんな、別府。酔いが覚めたら、こいつら謝りに行かせるから」
男「ぐぬぬ……」
男(仕方ない……ここまで来たら腹ぁくくるしかねぇか)
男(つーかかなみも少しは嫌がれよ! お前が嫌がれば店長が止めてくれたのにぃ!)
男(……はぁぁ。こんな形でかなみとキスしたくなかったなぁぁぁ)
後輩「先輩、いつまで奥さん待たせてるんッスか!」
同僚「男は度胸だぞ! 覚悟決めて見せつけろや!」
男「うるせぇっ! やるよ、やってやんよ!」
86 名前:5/8[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 23:57:06.62 ID:xAF6alnsO [40/41]
男「よ……よーし、行くぞかなみぃー」プルプル
女「……」コク
後輩「……」ドキドキ
同僚「……」ドキドキ
店長「……」
男「うおぉぉぉぉぉ!! やってやらあぁぁぁぁぁ!!」グッ
女「……ッ!!」
―――チュッ
同僚・後輩「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」
同僚「偉いっ!! よくやった、別府!!」
後輩「もう俺、言葉が出てこねぇッスよぉぉぉぉぉ……」グスグス
店長「はっはっ、お前も隅に置けないなぁ、別府!」
男(うおぉぉぉ……ごめんよかなみいぃぃい……)
女「……」ポワン
87 名前:6/8[sage] 投稿日:2013/04/06(土) 23:58:49.10 ID:xAF6alnsO [41/41]
―――数時間後……
後輩「それじゃ先輩、今日は色んな意味でゴチっした!」
店長「長居してすまなかったな」
同僚「別府ぅ、嫁さん大事にしろよぉ?」
男「はは、ははは……」
女「皆さん、お気をつけて帰ってくださいね」
男(……キスしてからの数時間の記憶が一個も残ってねぇ)
男(つーか、かなみが動揺するでもなく普通なのが地味にショックだ……)
同僚「そうだ、店長ォ。これから朝まで飲み明かしましょうよ!」
後輩「いいッスねー。別府先輩の新婚ホヤホヤぶりを肴にハシゴしちゃいましょーよ!」
店長「それはいいが……ちょっとお前ら、先に行っててくれるか?」
同僚「どうしたんスか?」
店長「別府に少し話しときたいことがあるんでな」
別府「うぇ……何ですか?」
店長「あぁ。ちょっとこっちに来てくれ」
88 名前:7/8[sage] 投稿日:2013/04/07(日) 00:02:29.62 ID:8KH7feguO [1/3]
―――
男「どうしたんですか、店長? 話っていうのは?」
店長「あぁ……まぁ、大した話でもないんだがな」
男「はぁ……」
店長「うーん、なんというか……これはお前への激励と受け取って欲しいんけどな」
店長「別府、お前の嫁さん、大切にしてやれよ?」
男「あ、はぁ……」
店長「俺も早くに結婚を決めて、周りにかなり反対されたもんだから他人事とは思えなくてな」
店長「お前が結婚してるって聞いて最初はかなり心配したんだが、嫁さんもしっかり者みたいだし、少し安心したよ」
店長「あとはお前が大黒柱として自立するだけだ。勉強もバイトも精出して、必ず幸せになれよ!」
男「……あのっ、店長!」
店長「ん? 何だ?」
男「すんませんっ……!! あれ、本当は全部嘘だったんですっ!!」
店長「……なに?」
89 名前:8/8[sage] 投稿日:2013/04/07(日) 00:05:08.43 ID:8KH7feguO [2/3]
【事情を説明中……】
男「っていう訳で、本当はかなみと俺、夫婦どころか恋人ですらないんです……」
店長「あっはっはっ! なんだ、そうだったのか。確かに夫婦と言うよりは、初々しいカップルみたいだったからなぁ!」
男「……あの、騙されて怒ったりしないんですか?」
店長「別に? 俺も同僚も後輩も、別府ん家に酒飲みにお呼ばれしただけさ」
男「そうですか……良かったぁー」ホッ
店長「しかし、そうなると少し勿体ないな。奥さん……いや、かなみさんも、お前を嫌いじゃないんだろ?」
男「どうですかね……俺も何度となくアプローチしてますけど、いつも袖にされて泣きそうですよ」
店長「しかし、今日見た限りでは、そんな風には見えなかったけどな」
店長「第一、脈無しの人間に簡単に唇を許したりするものか?」
男「それは……でも、流れ的に仕方ないと思ったのかも」
店長「でもな、別府。今日のお前とかなみさん、どっからどう見ても夫婦にしか見えなかったぞ?」
男「……!!」
店長「ま、その恋が成就するも立ち枯れるもお前次第だ。頑張れ、別府!」ポンポン
男「……」
最終更新:2013年09月02日 18:21