23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/22(土) 22:02:01.77 ID:e1MdxMe90 [3/8]
「暑いぞーっ!!」
『うっさい!』
ジメジメとした梅雨も開け、カラッとした太陽の輝きが身に染みる。
そんな中、天下の往来で今の気持ちを精一杯表現していると、後ろからカバンが飛んできた。
「甘いっ!」
『やぁっ!!』
「ぎゃあっ!!」
投擲攻撃を華麗にスルーしたはずが、下から脇腹を蹴り上げられ、思わずしゃがみ込む。
「直接攻撃とはボクっ娘卑怯なり!」
『黙れ! この暑い中暑苦しい声聞かせないでよ! あとボクっ娘言うな!』
腹を抱えつつ振り向くと、背も胸もちんまりとした短髪美幼女、もとい美少女が腰に両手を当てて踏ん反り返っていた。
「って、なんだ梓、汗ビッショリだな」
『う、うるさい! 汗っかきなの!』
この気温ではしょうがないかもしれないが、梓は額から首筋、腕まで汗で濡れている。
「ふむ……ちょっとこっちゃこい」
『な、なに? 暑いんだからくっつかないでよ』
「いいかボクっ娘、落ち着いて聞けよ?」
『な、なに……?』
俺の神妙な雰囲気に当てられてか、ボクっ娘も少し緊張した面持ちで俺の目をじっと見つめる。
俺は一度軽い深呼吸をして、梓に真実を告げた。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/22(土) 22:02:37.59 ID:e1MdxMe90 [4/8]
「梓」
『は、はい……』
「シャツ、透けてる」
『えっ?』
「しかも、ワイシャツだけじゃなくて中のキャミソールも」
『えぇっ!?』
咄嗟に俺から距離をとり、(無い)胸を隠す様に体を抱える梓。
『ななななななな……』
「いやいやボクっ娘よ、いくら暑くて窮屈で必要なくてもだな……せめてスポブラぐらいは……」
『ぎゃああああああっ!!』
「ぐはぁっ!!」
ボクっ娘の蹴りは俺の腹部を正確に捉え、俺はクソ熱いアスファルトの上に転がった。
『ちちちちちがうからっ!!今日はたまたま!たまたま下着がなくてっ!!』
「き、昨日もだろ……」
『ぎゃあああ!! なんで知ってんのっ!?』
そりゃあ、いつもいつも無防備に跳ね回ってりゃあシャツやら体操着の裾から中が見えることもあるわけで。
俺がどれだけ他の男の視線からお前を守っていることやら……。
「大丈夫、綺麗なピンク色だったぞ?」
『もうお嫁にいけなぃいいいいいいいっ!!』
悲痛な叫びとともに風の様な迅さで駆けていくボクっ娘の背中に、
「俺がもらってやるぞ」
という慰めの言葉は聞こえたのか聞こえてないのか、それは定かでは無い。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/22(土) 22:03:09.32 ID:e1MdxMe90 [5/8]
終わり
最終更新:2013年09月02日 18:32