27 返信:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2013/09/01(日) 00:31:35.17 ID:k9ke9wf80
21
「くそぅ……まさか、あそこで超必ぶっぱとは……」
「はっはー、オレもひっかかるとは思わなかったぜぃ」
近所のファミレスでご満悦の勝美。ゲームで負けた俺に課せられた罰は『パフェをおごる』という至ってシンプルなものである。
が、キツイ。只ですら金欠なのに、勝美が頼んだのは一つ1000円もする『特盛フルーツパフェ』なるもの。全高55cm、5
種類のアイスクリームと8種類の季節のフルーツを惜しみなく積み上げた凄まじいものである。
「んじゃ、いっただきまーす! 一口もやんねーからな?」
何も言ってないのにドヤ顔で言い放つ勝美だが、運ばれてきた器はビール用の大ジョッキに無理やりそれらしい脚をつけたような
異形。これ全部食うとか、わけわかんねぇ。
「くそぅ、そこは『ちょっと多すぎで全部食えねーな。しょうがねぇ、一口やるよ!』って『あーん』&『間接キス』イベントだろ!」
「あん? 間接キスなんかしてぇの? お前」
そう言うと、勝美はひょい、とさくらんぼを手に取った。
その赤色の果実を、健康的な瑞々しさが眩しい唇に軽く押し当てる。そして口には含まず、ちょうどキスマークをつけるように唇が
柔らかく形を変えたところで離して、そのままこちらに差し出した。
「はい、間接キス」
「え?」
「一口もやらねーっていったけど、オレあんまりさくらんぼって好きじゃねぇんだよ。ほれ、やるからありがたく食え」
「はぁ」
「良かったなー。1000円出して美少女と間接キスなんてな安いよな!」
「声がでかいです、勝美さん。あと、それどんな趣味なんですか」
「あーん♪ うめー!」
「話を聞いてください」
オレの動揺など意に介さず、クリームを頬張る勝美。
――本人は気にしてないようだけど、さくらんぼにキスした姿に、かなりどきりとさせられたのは黙っておこう。
最終更新:2013年09月02日 19:28