113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/06/18(土) 01:51:06.88 ID:UtMYoccD0 [2/4]
スレに投げたほうが見やすいのかもだが、俺が面倒なのでうpロダだっ!


お題:ボクっ娘委員長



お題:ボクっ娘委員長

「ああ……いい天気だ」

 やっと梅雨が明け、ずいぶん久しぶりの快晴が広がっている。眩く輝く太陽に俺は目を細め、屋上の日陰で横になる。
今日は半ドンなのだが、せっかくの天気だ、昼寝して帰ろう……と気持ちのいい風にウトウトしていると、ポケットの中の携帯が鳴り始めた。
 相手は……「委員長」と表示されているので、おそらく俺が所属している図書委員会の委員長であろう。

「……はい、もしもし?」
「タカシ? 今すぐ図書室に来いっ! 仕事が出来た!」
「……あー、了解」

折角の昼寝日和だが、敬愛する委員長殿の招集とあっては断れない。いそいそと図書室に向かうと、人気のない部屋の中、長机の端に小さな人影があった。

「おーい、委員長」
「やっと来た! 遅いぞ、どこにいたんだ」
「屋上で昼寝でもしようかと。まあ委員長のお誘いとあらばもちろんそっち優先ですとも」
「ふ、ふん……良い心がけじゃないか。そしたら、とりあえずこの書類を綴じてよ。今度の委員会の資料なんだ」
「了解……って、結構量あるなあ。今日中に終わるかな……」
「終わらなかった分は明日他の奴も使って終わらせる。今日のところはタカシしか捕まらなかったんだ」
「まあ、そうか」

土曜日だし、部活やってる奴以外はそそくさと帰るわな……
仕方ない、真面目に仕事をするとしよう。

……

……

……

「飽きた」
「早っ! まだ1時間しか経ってないぞ!?」
「むしろ1時間も真面目に手を動かし続けた俺を褒めて欲しいな、委員長」
「どんだけ集中力がないんだよ……もうちょっと頑張れないのか?」
「では、もうちょっとだけ」

……

……

「いやぁ、いい天気だなあ。あの雲はなんだか委員長に似てるなあ……」
「おいっ、30分持たないのか! そしてボクに似てる雲ってどんなんだよ!」
「おお、良いツッコミだ委員長」
「くッ……このぉ!」
「オウフ!」

ぶん殴られた。ハードカバーのハードぶりを自分の頭で味わう俺。

「真面目にやれっ!」
「イ、イエスマム……」

……

「委員長」
「……」
「おーい、委員長」
「……」
「委員長殿~?」
「ああ、もう……! なんだよっ!」
「いや、そろそろ休憩しようぜ。どうせ一日じゃ終わるわけないんだし、あんまり根詰めるのもあれだろ」
「っ……そう、だね」

 俺が休憩を提案すると、委員長はうつむきながら肯定した。
いい加減怒らせすぎただろうか?

「……あーっと、委員長、やっぱり休憩は無しで、バリバリやっても……」
「……いや、いいんだ、わかってる。……タカシ、退屈なんだろ? そりゃそうだよね、
ボクみたいなちっこくて可愛くもない女と一緒にいたって、面白くないに決まってるよ」

「いやいや、何言ってるんだ。そんなわけないだろ?」

「……嘘だ。だってキミ、さっきからずっと暇そうにしてたじゃないか。……ボクと一緒にいるの、つまらないんだろ?」

目線を合わせず、ぽつりと零すように話す委員長。
なんだかいじけたような言い草が、いつもの気丈な態度とずいぶん違ってとても可愛らしい。
つい口元が笑ってしまっていたらしく、委員長は顔を真っ赤にして怒った。

「なんだよ、何がおかしいんだよっ」
「ああ、いやいや、あんまり委員長が可愛いもんで……」
「か、かわッ――! か、からかうなよっ!?」
「む、事実なんだがなあ」
「っ――! い、今はその話はいいだろ!? ボクの質問に答えろよっ!」
「だから、言ってるだろ? 委員長と一緒に居るのは楽しいよ。そもそもそうじゃなかったら、
俺はさっさと仕事終わらせて帰るに決まってるじゃないか。そうしないのは、もっと委員長と一緒に居たいからだ」
「……え? ぁ、うぅ――」

 言葉を連ねると、委員長は顔は真っ赤にして、しどろもどろになる。
この機を逃さず、俺は彼女の若干潤んだ瞳を見つめながら、続けてセリフを言う。

「委員長はさ、……俺のこと、嫌い?」
「っ! ち、違う! 嫌いじゃないっ!」
「そう。……俺はさ、委員長のこと、結構好きだよ」
「ぁ、ぅ……うぅっ」
「委員長はさ、俺のこと――好き?」
「ぁ――」

 ビクリと体を震わせて、俺を見上げてくる委員長。一瞬泣きそうな顔をして、ぽふり、とそのまま俺に抱きついてきた。

「委員長?」
「っ、そん、なの……す、好きに、決まってるだろっ! ボ、ボクだって、好きでもない奴と二人っきりで仕事なんかするもんかっ」

ぎゅうっと俺を抱く腕に力を入れて、俺の胸に顔を押し付けたまま言う。
あんまり可愛かったので、ちょうどいい位置にあった頭を撫でてみる。

「ふ、ふぁ……っ」
「可愛いな、委員長は」
「うぁっ……! か、可愛いっていうなっ、ヘンな気持ちになるだろっ」
「可愛いモノは可愛いからしかたない」
「うぅっ……!(ぎゅうっ)」

 ……まあ、なんだかんだで結局その日は仕事になるわけもなく、次の日に図書委員フル稼働で終わらせるハメになったのだった。
スマン、皆。
最終更新:2011年06月20日 22:20