52 名前:そのいち[] 投稿日:2011/06/22(水) 00:24:15.28 ID:lJ8UtzCM0 [1/6]
久しぶりに投下。
少々レス拝借します。

~芸能人さんと責任重大?な男~

 とある休日の話。
 俺、別府タカシはピンチを迎えていた。
 朝、コンビニで飯でも買おうかと思い、たまたま週刊誌を手にとってしまった。
 それのなにがマズイか。
 幼馴染でもあり、恋人の尊とのデートを撮られてしまったのだ。
 俺の彼女は今をときめく大人気モデルさんなのだ。
『ど……どうしてくれるんだっ!!この馬鹿者!!』
 今俺は尊の家に来ている。このニュースはを聞き付けたコイツはすぐに俺を呼び出し、何故か俺に説教をする始末だ。
『見ろ!!これ!!』
 スキャンダル記事を顔に押し付けれた。
「見たよ、もう……【トップメデルみこと、深夜の手繋ぎデート!!~デレデレお姫様だっこも!!~】か……」
『言うな言うなぁっ』
 と言って雑誌で殴ってくるが、顔が赤いのでイマイチ迫力にかける。
『このニュースがあってからブログも炎上してるんだぞ!?』
「それを俺に言われてもなぁ」
『とにかく、せっ……責任をとってもらうぞ!!』

53 名前:そのに[] 投稿日:2011/06/22(水) 00:27:07.55 ID:lJ8UtzCM0 [2/6]
責任かぁ……。確かに改めて考えるとエラいことしてるな、俺。
「……別れるか?」
『……え?』
 尊が、はとが豆鉄砲食らったような、なんかそんな顔になった。
『……ちょっと待て。今なんて言った?』
「いや、『別れるか?』って」
『待て待て! 状況が飲み込めんぞ!!』
 じゃあ何で俺読んだんスか。
『何で別れるんだ?』
「いや…、尊の芸能活動に俺邪魔かなぁ、と」
『…………。ほ、他にも方法はあるだろう?』
「ん~……。俺が消える、とかか?」
『なんでソッチ方面の話なんだ!?』
 雑誌でビンタされた。
『もっと良いのがあるだろうが!!』
「じゃあどうして欲しい?」
『えっ? そ、それを私に言わせるのか……?』
 尊は俯いて、上目遣いで俺を見る。いつみても可愛らしい仕草だが、何でコイツ恥ずかしそうなんだ?
「まさか……結婚とか言う気じゃ」
 また叩かれた。
「尊、耳がキーンってなるからやめて欲しいんだけど」
『やかましいっ!!』

54 名前:そのさん[] 投稿日:2011/06/22(水) 00:29:40.40 ID:lJ8UtzCM0 [3/6]
「あとそれはマズイんじゃないか? 前テレビで『まだ結婚する気はない』って言ってたじゃん」
『あ!! そ、それは……』
「だいたい二人とも21なのに早くないか?」
『……嫌か?』
「別に、嫌だってワケじゃないけどなぁ……」
『……ふん。お前も軟弱な奴だ。学生の頃はあんなに好き好き言っといて逃げるとはな』
 とほほを膨らます尊。もっとも高校の時は言うたびに竹刀で叩かれて馬鹿にされ、結局「仕方ないから」って理由で付き合ったんだったっけか。
そして今もその関係は続いてて――――
「尊は良いのか? 俺みたいなのがダンナでさ」
『仕方ないだろう。お前の面倒を見れるのは私くらいのものだからな』
「……『仕方ない』は聞き飽きたんだよ、尊。そんなんで結婚しても嫌だろう。と言うか、俺は嫌だね」
『え……?』
「具体的に言うと、『好き』とか言って欲しい」
 尊の顔が一気に紅くなる。思えば、コイツからはっきり『好き』と言われたことがない。
「言ってくれないのか? じゃあ結婚は無しってことでいいか?」

55 名前:そのよん[] 投稿日:2011/06/22(水) 00:31:34.99 ID:lJ8UtzCM0 [4/6]
『ま、待て! う、うぅ~……
す、すきぃ……』
 言いきった尊は、耳まで真っ赤にして、潤んだ目で俺を見た。
 そして、全身の力が抜けたのか、正座をしている俺に身体を預けてきた。
『ばかものぉ……。私を脅すなんて、最低だ……』
「俺は、尊の気持ちを確めたかっただけだよ」
『分かってる癖に……。うぅ……好きだ、タカシィ……』
 俺の腰に手を回し、胸に顔を埋めてくる。
「……結婚しようか、尊」
『……うん』

56 名前:そのご[] 投稿日:2011/06/22(水) 00:32:31.59 ID:lJ8UtzCM0 [5/6]
翌日――
 俺と尊は結婚を約束した。
 朝、目覚めると、ベッドに尊がいない。
「尊?」
『あ、お……おはよう』
 尊は、パソコンを立ち上げ、ブログを更新しているようだった。
『ブログの雰囲気を変えようと思ってな。その……マ、ママブログにしてみたんだ』
 ……はい?
「尊? まだ結婚の発表もしてないのにマズイだろ」
『え? ……あ!』
「それにママって……そんなに早く子供生む予定なのか……?」
 尊の顔がみるみる紅くなっていく。
『そ、それは……』
「あ! だからお前、昨日の夜俺が足痺れてるからって上乗ってあんな」
 頭に激痛。見事なハイキックだ。
『う、うるさいっ!! それより、どうしてくれるんだ!?』
やっぱり理不尽な俺の嫁さんだった。
最終更新:2011年06月24日 01:06