2:54:03.91 ID:e+K8nBuIO [4/12]
身長を気にするツンデレ
「だりぃ……」
くそったれ、また伸びてやがった。
今日はアレだ、朝から身体測定だった。
いつからだったか……バカみてえに身長が伸びだして、
小学校の高学年くらいからだったかね、デカ女とか巨人とかよくからかわれたモンだ。
まあそのたびに相手を泣かしてやったけどな。
流石に高校に入ってからは、女子でも俺よかでけー奴は結構いて
そんなに気にする事でもねーって思ってるんだけど。
改めて数字にされるとな……一応乙女心ってヤツくらいは俺みたいな女でも持ってるらしい。
「170cm……大台突入ってか?」
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/06/23(木) 22:55:03.18 ID:e+K8nBuIO [5/12]
身長気にするならもっと……身なりとか言葉遣いとか先にすることあるんだろうけどよ。
「おっ、いたいた。やっぱここだったんだ」
「ちっ、なんだタカシかよ。なんか用か?」
「昼休みなのに食堂にいないから、変だなって思ってね」
いつもなら食堂でこいつ……別府タカシと飯を食ってる。
だけど今日は気乗りしなくて、
立ち入り禁止の屋上でゴロゴロしてたわけだ。
「やっぱ屋上は気持ちいいね!だけど勝美ちゃん、見つかったら結構怒られると思うよ?」
「けっ、鍵こじ開けたヤツがよく言うぜ」
「だってロマンじゃない?高校生と屋上!」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/06/23(木) 22:56:49.39 ID:e+K8nBuIO [6/12]
こいつは見ての通りの変人だ。
優男で言葉遣いもナヨナヨしてて、
その癖変な所で大胆だし
屋上の鍵もこいつが暇なときに「ちゃちゃっと」開けちまった。
一応二人だけの秘密の場所……ってヤツだ。
「で、さ……なんか、悩みごと?」
「……なんでもねーよ」
「ひょっとしてまた身長伸びてた、とか?」
ぐっ……なんでバレてんだよ!
なんでかこいつに隠し事はできない。
小学生の頃から無駄に勘のいいガキだった。
「気にすることないと思うけどなー、モデル体型って感じだし」
「勝美ちゃんは知らないかもしんないけど、クラスの女子は羨ましがってるよ?スタイル良すぎ!ってね」
「別に気にしてねーよ!」
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/06/23(木) 22:58:59.18 ID:e+K8nBuIO [7/12]
別に他の誰かになんて思われようと知ったこっちゃねえ、けど……好きなヤツには、
少しでもかわいい、女の子らしく見られたいって思う。
俺みたいな男女でも……な。
「……オメーはどう思うんだよ」
「僕?んーとねー」
ああ、つい余計なこと言っちまった!
恥ずかしい!ひとまず撤退――っ!
「かわいいと思うよ、勝美ちゃん」
「わ、おま、はなせっ!ここ学校――」
いきなり後ろから抱き締められて、耳もとで、そんなことっ!
「真っ赤になっちゃってまあw」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/06/23(木) 22:59:53.20 ID:e+K8nBuIO [8/12]
「……静かになっちゃった」
「あのね、勝美ちゃん」
「僕は勝美ちゃんのこと、ちゃんと女の子らしくてかわいいって思ってるよ?」
「それに、まだまだ僕には追い付けないかな、なんてね」
ほんとにこいつはっ!
人の心を読めるみてえだ……。
上から囁かれて、心臓がドキドキして、爆発しそうで。
でも、やられっぱなしは性にあわねぇ。
振り返って、10センチ高いあいつのおしゃべりな口を、背伸びして塞いでやった。
「――!勝美ちゃん、それ反則っ」
「うっせー、ばーか!」
恥ずかしい!
とりあえず走って逃げちまえ!!
あーくそっ、俺を背伸びさせるなんてお前くらいだよ!
ちくしょう、大好き!
最終更新:2011年06月25日 00:49