198 名前:1/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20:55:23.64 ID:Rsnh7tCEP [3/8]
ツンデレと遊園地に行ったら

「あいつ遅いなぁ・・・」
今、遊園地に来ている。この遊園地のシンボルともいえる大きな時計の前で待ち合わせをしていた。
「ここであってるよな・・・?」
ペアチケットを片手にうろうろしてみる。このまま相手が来なかったらかなり来る物があるよな。
きょろきょろとあたりを見渡すと、見覚えのある顔があった。
その人物はこちらに気づいて近づいてきた。
『なんでお前がいるんだ』
「・・・それはこっちの台詞だ」
『チッ・・・お前の顔をみたせいでせっかくの休日が台無しだ』
「ふん言ってろ、んでなんでいるんだよ」
『私は友子と遊びに来たんだ。お前は?』
「えっ・・・友子と?俺も誘われたんだけど」
『どういうことだ・・・?』
二人で疑問に思っていると俺の携帯が鳴った。友子からだ。タイミング良すぎだ
「おい、友子いまどこにいるんだよ」
『んー?今家だけど』
「なんでだよ!」
『いやー急用ができちゃってね。ほら、隣にいるむすっとしてる友達と遊んでなさい』
「はぁ?なんで知ってる・・・お前まさか」
『なんのことかにゃー?いい?ちゃんと仲直りしなさいよ。隣の人にもよろしくー』
「あっおい!・・・切れた」

199 名前:2/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20:56:23.87 ID:Rsnh7tCEP [4/8]
『で?友子はなんと言ってた』
「今日は来れないから、あとよろしくって」
『そうか。じゃあ私は帰る』
そういってあいつは帰ろうとする。このまま帰していいんだろうか。友子がわざわざ用意してくれたんだ。
この手を逃したらいつ次の機会がくるか分からない。あれこれ考えていると俺は無意識に尊の肩を掴んでいた。
『・・・なんだ?』
「ちょっと待ってくれ、ほらチケットあるから一緒に遊ばないか?」
『私は友子と遊びに来たのであって、お前と遊びに来たのではない』
手を振り払い帰ろうとする。待ってくれ、俺は、俺は・・・
「頼むこの通りだ!」
俺は、思い切りお辞儀をしてあいつを踏みとどませる。周りから奇妙な目で見られてるが気にしない。
『な、なにやってるんだ。恥ずかしいからやめろ』
「お前が、一緒に遊んでくれるまでやめない」
『・・・わかった。わかったから顔上げろ』
「ホントか?」
『はぁ・・・仕方ないな。』
渋々という顔の尊をつれて遊園地のエントランスをくぐる。さてこれからどうするか・・・

200 名前:3/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20:57:16.08 ID:Rsnh7tCEP [5/8]
「ここに来るの久々だなー、尊は?」
『言う必要はない』
「そうか、初めてか」
『初めてじゃないっ!2回目だ!』
「素直に言えよ・・・」
俺たちはとりあえずどのアトラクションに行くかパンフレットを見て歩き回っているところである。
『ふむ、あれがいいんじゃないか?』
そういって指さしたのは・・・ジェットコースターだった。
「あれか。いや、やめとこうぜ」
『なんだ、恐いのか?』
「こ、恐くありませんよ?そこまで言うなら行ってやろうじゃないか」
正直恐いです。高いところが苦手なんだ。ちらっとあいつの方を見るとにやにやしていた。
まさかっ!こいつっ!知っているのか!まぁおおかた山田か友子に吹き込まれたんだろうけど
覚悟を決めて乗り場へと行く。相変わらずあいつはにやにやしてる。くそー・・・
・・・
・・

し、死ぬかと思った・・・、心なしか、いや心なしじゃない足が震えている
『どうした、顔色悪いぞ』
にやにやしながら聞いてくる、分かってて聞いてくるからタチが悪い
「うるさい・・・次行くぞ次」
次に行くところは決めている。さっきにやにやしてた時に決めた。うん、あそこにしよう

201 名前:4/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20:57:55.66 ID:Rsnh7tCEP [6/8]
「えーっとここだな・・・」
着いた場所はお化け屋敷だ。ここは日本有数のお化け屋敷だ、そして尊は致命的な弱点を持っている
それは軽度の暗所・閉所恐怖症に加え、おばけが恐いという何ともお化け屋敷にうってつけな体質と友子から聞いた。
『ほ、ホントにここに入るのか?』
「もちろん」
にやにやしながら答える。さっきと逆だ。あいつはかなりの仏頂面だ。
『・・・覚悟完了。よし!入るぞ』
尊は勇ましく入っていく。でも足は震えてた。
・・・
・・

「なんかごめん」
『・・・ふふふ、謝る必要はないぞ。あとで後悔させてやるからな・・・』
少し壊れた口調で話す。ちょっとやりすぎたかな。

それから俺たちはお互いを攻撃するようなアトラクションへ行った。
そして気がつけば、空は暗くなっていた。
「ハァハァ・・・もう最後にするか・・・」
『ハァハァ・・・そうだな、じゃあ最後はどこにする?』
「じゃあ最後は二人で決めるか・・・」
そういって俺たちが指を指したのは・・・観覧車だった。死なば諸共、俺もこいつも自爆覚悟で観覧車を選んだ。
「おい、大丈夫なのかそんなの選んで」
『そっちこそ、後悔しないだろうな』
お互いを牽制しながらゴンドラに乗り込む、向かい合うように座った。
「・・・」
『・・・』
言葉数が少なくなる。俺は高いところを我慢しているわけだし、こいつも閉所、暗所を我慢してるんだろ
ゴンドラは空へと向かう。ここの観覧車から見る夜景は絶景だと友子が言っていたが外を見る余裕がない。
天辺にさしかかるところでゴンドラがぐらりと揺れ止まった。

202 名前:5/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20:58:53.57 ID:Rsnh7tCEP [7/8]
『な、なんだ。どうした』
「タイミング悪いな・・・」
『おい、なんで止まってるんだ』
尊が慌てて周りをきょろきょろしている。なんかその様子を見ると・・・
「ふふ」
『な、なに笑ってるんだ。止まってるんだぞ』
「ま、落ち着けって」
『これが落ち着いてられるか』
「この観覧車は、30分に一回止まるんだよ。そう友子が言ってたし、下の看板に書いてあった」
『そ、そうなのか・・・ふぅ』
「ははは・・・・・・あの、えーっとなんだその・・・この前はごめんな」
今まで言えなかった言葉を吐き出した。吐き出すと心の重しみたいななにかが消えていく。
『・・・・・・こ、こっちも大人気なかったな』
「悪かったな。ほら」
俺は立ち上がり手を差し出す、仲直りの握手だ。
『こっちこそ』
尊は差し出した手に握手しようとする。とそのとき不意にゴンドラが揺れ、動き出した。

203 名前:6/6[] 投稿日:2011/07/18(月) 20:59:44.68 ID:Rsnh7tCEP [8/8]
『きゃっ』
「おっと」
俺の方へ尊が崩れてきて慌てて受け止める。思わず抱きしめる形になった。
「大丈夫か」
『ああ、なんとか・・・、っ!?』
「どうした?」
『ど、どこ触ってる!』
「えっ、あ、ごめん」
二人同時に離れる。その様子がおかしくて笑ってしまった。
「ははは・・・」
『・・・ふふ』
「なんか喧嘩してたのが馬鹿みたいだな」
『だな、・・・見ろ夜景が綺麗だ』
窓の外を見る。そこには光の絨毯が敷かれていた。確かに絶景だ、今まで見なかったのが後悔するぐらい。
また俺は手を差し出す。
「あのなんだ、これからもよろしくな」
『あぁこちらこそ』
そして俺たちは今度こそしっかりと握手をした。
最終更新:2011年07月19日 20:34