546 名前:・ツンデレに今日雨降るわよって言われたら[sage] 投稿日:2011/07/27(水) 17:18:56.49 ID:rPQmytWC0
「ふぁ~あ……」
 欠伸ついでに通学路の空を見上げる。本日も晴天なり。このままいけば、猛暑日を記録するんじゃなかろうか。
 だが、隣のちなみさんは、右手に鞄左手に傘を握って歩いていた。
「それどういう事?」
『……今日は、雨が降るよ。これは、確実』
 今朝の天気予報では降水確率0%の予報ですが。
『家を出る時に、靴を飛ばした……。結果、裏返しに落ちた。……なので雨』
「んな訳ねーでしょやっ! 絶対ぇねーよそんなもん!!」
 だが、ちなみさんは自信満々に言い放つ。
『……降る。確実。百パー。君はずぶ濡れの、哀れなドブ鼠みたいになって死ねばいい』
 謎の確信に満ちた罵声に、ぽかんとする俺。だが何を勘違いしたのか、ちなみさんは
『ふふふ……。言葉も出ないほどの、説得力……。……流石、私』
 と、訳の分からない自己陶酔にぶっ飛んでいた。
 このままでは彼女があまりにもアレなので、現実を見せてやることにする。
「あのな、常識的に考えろよ。この天気だぞ? もし降ったらあれよ。もうなんでもいう事聞いてやるわ」
『いいよ……。じゃあ、私も……同じ条件を、飲む』
 かくして、俺が負けるはずのない勝負が始まったのだった。
 ――が。
『私の、勝ち』
 靴を、そう靴を履くその瞬間までは晴れてたのだ。だが、いざ外に出ようとした瞬間、天は俄にかき曇り、無情の豪雨を降らせたのであった!
「なんじゃそりゃああああ!!」
 勿論予報は予報、確率は確率であって絶対ではない。だからってこれはないだろう。
 信じられない事態に当惑する俺を横目に、会心の笑みでちなみさんが呟く。
『小さい時から、賭け事で負けたことはない……。じゃんけん、ババ抜き、花札、その他諸々……常勝不敗。ふふふ……』
 ええい化け物め。俯きつつもニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるちなみさん。チクショウ、一体どんな恐ろしい目に合わせられるのか。
『……んじゃ、命令。……わ、私が家に着くまで……傘を、持ってろ。自分も、濡れないように……注意』
 遂行しようとすると、ほとんど密着状態だ。これでいいのか? と思い、命令を出した本人を見る。
『……~♪』
 勝者の余裕か、普段のクールさが見る影もないほどに緩んだ口元。……まぁ、いいか。
『(……まさか、本当に降るとは。びっくりびっくり……えへへ)』
最終更新:2011年07月28日 22:36