273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/31(日) 14:38:12.43 ID:NUG4wRzK0 [15/43]
「弁当が食いたい」
「…食べれば?」
「ほっかほっか亭的な意味じゃないんだよかなみ。俺はあれだ、手作り弁当が食いたいんだ」
「相変わらず突拍子もないわね…作ればいいじゃない」
「またまた、俺が料理できないの知っているだろう?」
「…私に作れ、って言いたいの?」
「察してくれてありがとう」
「馬鹿じゃないの、なんで私がわざわざアンタの弁当作らなきゃならないのよ?」
「いやだってほら、かなみ料理上手だし」
「ふふん。…って、理由になってないし」
「昔はよく手料理食べさせてくれたじゃん」
「なっ…ご、誤解されるような事言うな!小学生の頃の話でしょうが!」
ザワザワ… エー… アノフタリッテヤッパリ…
274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/31(日) 14:38:32.58 ID:NUG4wRzK0 [16/43]
「…ああもう、あんたのせいでやっぱり誤解されてるし…」
「でも俺はかなみの手料理が食いたいわけで」
「さりげなくすり変えるな!今は弁当の話でしょうが!」
「いやもうホントは俺かなみの手料理食いたいんだよ」
「ちょ、ちょっと、声が大きいって!」
「昔食ったきりだったからなあ。今のかなみの弁当は自作だろ?腕上がってるみたいだし…」
「う…ま、まあ、ね…」
「食いたいなぁ…」
「…そんなに?」
「そんなに」
「……………ハァ。分かったわよ、これ以上騒がれても面倒だから、作ってあげる」
「へっ?マジで!?やっほーい!」
「は、はしゃぐなバカっ!…それに、弁当じゃなくて私の家だからね!」
「ん?」
「だって、学校でお弁当渡すなんて、その、いかにもでしょ?…だから、放課後私の家に来なさい。そこで食べさせてあげるから」
「ああ、そういう事。オッケー、腹空かせていくよ」
「はいはい。…ホント、あんたはいつまで経っても子供なんだから……」
──それが「弁当を手渡す」ことよりも親密な行動である事には、まったく気づかない二人であった。
最終更新:2011年08月05日 16:54