168 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 1/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:30:43.43 ID:ZxRkgnlg0 [6/16]
『ん……?』
ぼんやりとした頭で、あたしは考える。
――ここ……どこだっけ?
瞼の裏が眩しい。あたしは手で光を遮ぎつつ、薄目を開ける。見慣れない天井が視界
に飛び込み、何で自分がこんな所で横になっているのか考えた。体には薄い夏掛けが掛
かっている。視界を廻らすと、画面が消えた液晶テレビが入って来る。それを見て、記
憶が蘇ってきた。
――ああ、そうだ……ここは別府君の家で…… あたしは、別府君の従兄妹の真菜ちゃ
んとテレビを見てて……あの子が先に寝ちゃって……それで、面倒見つつテレビ見てた
ら、そのまま……
体を動かすと、重量が感じられない。あたしはだるい体を起こした。すると、ソファ
にはあたし一人しかいなかった。
「ああ。目が覚めましたか。先輩」
声のした方に頭を廻らすと、ちょうど別府君がリビングの入り口に立っていた。同時
に、首と肩に鈍い痛みを感じる。寝違えたほどではないが、やはり不自然な寝方をして
いたせいか、筋肉が硬くなっていたようだ。
『あのさ……あたし……』
体を起こし、髪を手で梳いて簡単に整えてから、頭を掻く。思考が上手く回らなくて、
聞きたい事が口に出せなかった。
「真菜ちゃんとテレビを見ているうちに、眠っちゃったんですよ。まあ、今日は大分疲
れていたみたいですからね。無理もないですよ」
そう言って別府君は隣のソファに腰掛け、優しく微笑みかけて来る。その笑顔が、私
の心を妙に落ち着かせた。同時に、聞きたかった事を思い出す。
『そうだ。その……真菜ちゃんは?』
「帰りましたよ」
『え?』
思わず聞き返してから、よくよく考えればそうだと納得する。今が何時かは知らない
けど、きっともう大分遅いだろうと。
「つい今さっき送り出したところですよ。真菜ちゃんもここで眠っていたんですけど、
おばさんが迎えに来ましたからね。大分帰るの嫌がって、苦労しましたけど」
169 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 2/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:31:12.34 ID:ZxRkgnlg0 [7/16]
『そっか。帰ったか……』
あのませた生意気な女の子がいなくなると、何だか随分家の中がシンと静まり返った
感じがする。不思議な事にあたしは、ホッとすると同時に一抹の寂しさを覚えていた。
「ええ。まあ、真菜ちゃんは明日朝から学校ですからね。まあ、僕らもそうですけどね」
別府君の言葉が現実感を取り戻す。明日は確か二時限目からだったっけ?
「真菜ちゃん、どうしても今日はここに泊まるって聞かなくて。最後はおばさんが抱え
あげて玄関まで連れて行かなくちゃいけなくて、僕も一生懸命宥めて、何とか車に乗り
ましたけど」
『全く、最後まで手の掛かるお子様なんだから……』
その様子を想像しつつ、ため息混じりに感想を漏らす。しかし、別府君の話に、真菜
ちゃんの事とは別に、何か引っ掛かりを感じていた。それも重大な。
――真菜ちゃんのおばさんが迎えに来たって事は……確か、真菜ちゃんを預かったのっ
て、親戚のお葬式だとかで……だから、別府君のお母さんと二人で行くからって……
そこまで考えて、あたしは何が引っ掛かっているのかに気付いた。
「先輩はどうします? 帰るなら、家まで送って行ってあげますけど――」
『ちょっと待って!!』
慌てて別府君の言葉を遮ると、別府君がちょっと驚いた顔であたしの顔を見た。
「ど……どうしました? 先輩……」
しかし、自分の事でいっぱいいっぱいのあたしは、別府君の言葉に構わず先を続ける。
『あのさ。その……別府君のお母さんって、もう帰って来たの? 確か、真菜ちゃんの
お母さんと一緒だったわよね?』
もしかしたら、あたしがリビングでだらしなく寝こけていた姿を見られてしまったか
も知れないと思うと、恥ずかしさと焦りでいてもたってもいられない気分だった。ただ
でさえ、しょっちゅう別府君の部屋に出入りしている事を良く思われてないかもしれな
いのに、またマイナスイメージが付いてしまったのではないかと不安になる。
しかし、何故か別府君は視線を逸らし、ちょっと言いにくそうな感じで答えた。
「ああ。それでしたら、えっと……うちの母はまだ帰ってません。何でも、久し振りの
親戚一同の集まりという事で、食事の時に大分お酒が入ったらしくて……えっと、まだ
抜けられそうに無い雰囲気だったから、真菜ちゃんのお母さんがもう一度迎えに行って
くれるって、そう言ってました」
170 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 3/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:31:36.51 ID:ZxRkgnlg0 [8/16]
焦っていたあたしは、別府君の言葉が、一瞬では理解出来なかった。頭の中でもう一
度反芻し、しっかりと考えてようやくお母さんがまだ帰っていないと飲み込めて、あた
しはホッとため息をつく。
『そっか……なら、いいけど……』
ドサッとソファに座り込み、背もたれに体を預ける。無防備に男の子の家で寝こける
なんて、どんな女なんだろうと思われたらおしまいだっただけに、その反動から来る安
心感も大きかった。
「で、さっきの質問をもう一度言いますけど、先輩はどうしますかと。帰るなら、送っ
て行きますよ」
あたしはリビングに置いてある時計を見た。時間は夜10時になろうとしている。本当
なら、お暇しなければならない時間なのは分かっていたが、うるさいお子様もいなくなっ
て、ようやく二人きりになれた時間を、少しでも長く引き延ばしたかった。
『ね。別府君のお母さんってさ。帰ってくるの、何時くらいかな?』
質問をスルーして全然別の質問をするあたしに、別府君が怪訝そうな表情を見せた。
彼にしてみれば、二つの質問が全然関連性を持っていないように思えるのだろう。あた
しにとっては重要な事なのだが。
「えっと、おばさんが一度真菜ちゃんを連れて家に帰って、寝かしつけてからだから、
早くとも日は越すと思いますけど。念のためにガレージに玄関の鍵を入れて置いてくれ
と言われてそうしましたし」
別府君の返事で、あたしは確証を得る。つまりは、別府君のお母さんが帰って来るの
は、恐らく別府君も寝る時間を過ぎた深夜遅くだと。ならば、もうちょっと居座っても
問題ない。
『それじゃあ……さ……』
あたしは、ソファに前のめりに手を付くと、上目遣いに別府君を見て、おねだりする
ような感じで聞いた。
『あの……もう少し、休んでても……いいかな?』
「えっ……!?」
別府君が、戸惑ったような驚きの声で聞き返す。
「いいんですか? 今からだって、帰るともう十時近くなってしまうのに……」
時計を気にしつつ、別府君が言う。しかしあたしは、首を横に振ってそれを退ける。
171 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 4/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:32:00.97 ID:ZxRkgnlg0 [9/16]
『いーのよ。どーせ、ここに来てる事はうちの親だって知ってるし。もう十分遅いんだ
から、あと三十分や一時間遅くなったって変わりゃしないわよ』
帰ったら間違いなくお説教だろうな、とうんざりした気分になる。うちの母親は結構
生真面目な性格だけに口うるさいのだ。
「まあ、先輩がまだいたいって言うなら、僕は別に構いませんけど……」
その言い方が何だかちょっと不満気に聞こえたので、あたしは別府君を睨み付けた。
『何よ? 何かその、気分的には早く帰って欲しいみたいな言い方は。あたしが居残っ
てちゃいけない訳?』
「いえ。もちろんそんな事はありませんけど」
慌てて別府君が取り繕うように答える。しかし、あたしは疑り深い目で別府君を睨み
付けた。どうせ頭の中で算段していた予定が崩れるとか、睡眠時間がちゃんと取れない
とかこまこました事を心配しているんだろうと推測する。あたしにはそれが不満だった。
――あたしと二人で一緒にいるよりも、自分の予定の方が大切ってどういう事よ全く……
しかし、それを口にしていない以上は表立っての非難は出来ない。だけどそれは逆に、
内心はどうあれ、あたしが居残ってもいいという事だ。今はそっちを重視しよう。
『じゃあ、もうちょっと休ませてよ。ホントに、あと一時間くらいでいいから』
懇願するように言って、あたしはコロンとソファに寝転がる。その様子を見ていた別
府君が言った。
「いっそ、僕のベッド使います? ソファじゃ余り休めないと思いますけど」
それにあたしは寝転がったまま、首を横に振って断る。
『いい。別府君のベッドで寝たら……帰れなくなるから……』
口にしてからあたしは、何気に今の言葉って大胆よね、と疲れた頭で考える。今でこ
そ、あたしが別府君のベッドで文字通りに寝るのも当たり前になっているけど、これを
人が聞いたら、間違いなくエッチな事をすると思うだろう。
「それじゃあ、せめて枕だけでも持って来ますか? そのままじゃ、首痛めるかもしれ
ませんよ?」
思考が深みに嵌まる前に、別府君の言葉が割って入る。枕という言葉が、リセットさ
れた頭の中で取って代わる。ぼんやりしているせいか、即座に思い浮かんだのが、別府
君の膝枕だった。そして、それを思いつくと、もうそれしか考えられなくなった。
『いい。それより、ここ座って』
172 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 5/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:32:24.47 ID:ZxRkgnlg0 [10/16]
一度横になった体を起こすのは辛かったが、それでも無理矢理半身を起こすと、あた
しはソファのクッションをパンパンと手で叩く。その位置を見て、別府君が怪訝そうな
顔をした。
「それって……もしかして、僕の膝を枕代わりにするって事ですか?」
嫌がっているというよりは、どちらかというと呆れたような口ぶりに腹が立つ。あた
しだってまだまだ年頃の女の子だってのに、甘えられてその態度はちょっと無いだろうと。
『いいでしょ? 誰のせいでこんなに疲れたと思ってんのよ。アンタが真菜ちゃんの相
手してろって言うからじゃない。だったら、従兄妹として責任くらい取りなさいよね?』
ジロリと別府君の顔を見上げて睨み付ける。少しの間、睨み合うというよりは真顔の
別府君をあたしが睨み付けるような感じで見合っていたが、やがて別府君が肩をすくめ
ると、クスリと小さく笑って言った。
「分かりました。しょうがないですね。確かに今日は、先輩にも散々苦労を掛けましたし」
そう言って、ちょうどあたしの頭が納まる位置に別府君が座る。どうぞ、という言葉
も待たず、あたしは僅かに体をずらすと、別府君の太ももに頭を預けた。
「どうですか? 寝心地は」
目を閉じ、うっとりとしていると別府君の小さな声が聞こえる。あたしは頷き、癒さ
れた気分で答えた。
『……まあ、いい感じかな? ちょうどいい高さだし……』
高さも、硬さも、温かさもだ。そして、呼吸をすると別府君の匂いが何となく鼻腔いっ
ぱいに入って来る感じがする。かといって、意識をして嗅ぐと、匂いと言うほどの匂い
はないのだが。
「あんまり長時間は困りますよ。足が痺れて感覚がなくなるのは嫌ですから」
せっかく気持ち良さに浸っていると、別府君がつまらない事で釘を刺して来た。ちょっ
と頭来たので、手を伸ばして太ももの柔らかい所を探ると、ギュッとつねる。
「あイタッ!! 何するんですか先輩」
不満気な声で抗議されたが、あたしは知らん顔で鼻を鳴らして答えた。
『そんなのは、あたしが決めるんだから、アンタがいちいち指図するんじゃないの』
173 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 6/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:32:46.92 ID:ZxRkgnlg0 [11/16]
もちろん、自分だってそんなに長いこと膝枕して貰うつもりはなかった。いや、もち
ろん出来る事なら一晩中だってこうしていたかったけど。だけど、さすがに日を越すわ
けにも行かなかったし、明日学校だってあるし、何より別府君のお母さんがいつ帰って
来るか分からないのに。だからこそ、短いひと時を、黙って甘えていたかったのだ。
「分かりました。ただ、熟睡したら起こしますからね」
『起こしたら殺す。問答無用で殺すから』
これは本気じゃなかったから、わざと不可能な事を言って抵抗する。しかし、別府君
には見抜かれていたのか、クスリと小さく笑われてしまった。
「それは怖いですね。それじゃあ、殺されないように気をつけて、目覚めの良いように
起こしますから」
そして、いきなりあたしの頬に指先を触れさせると、スッと優しく髪を梳く。
『ちょっ……アンタ、そのっ……何してんのよっ……』
馴れた指使いがまるで恋人同士のようで、あたしは思わず身をよじってしまう。
「あ、すみません。顔に髪が掛かっていたので取ってあげたほうがいいかと思って。嫌
でしたか?」
あたしは頭を腿の上に乗せたまま、小さく首を横に振った。
『嫌じゃないけど……びっくりするから、そういうのは……ちゃんと、断ってからにしてよ……』
「分かりました。それにしても、先輩の髪ってあらためて触ると、本当にスベスベして
て触り心地がいいですね」
こういう所が別府君は、本当にズルイと思う。ただでさえ、ドキドキさせられた事を
怒っているのに、更に褒めてまたドキドキさせるなんて。しかも今度は怒れない言い方
で。だから、あたしに出来る事はといえば、せめて嬉しくない風を装う事くらいだった。
『あたしだって女の子なのよ。髪の手入れくらい、ちゃんとするわよ……』
そう言いつつも、昔はそうでもなかった事を思い出す。別府君に触られた時の事を思っ
ていたら、やっぱりだんだんと気になってきたのだ。そんな事が別府君に知られたら、
恥ずかしくて悶絶死してしまうだろうけど。
「そうですよね。分かってますよ。先輩が、とても可愛らしい女の子だって事は」
いとも簡単に、別府君は歯が浮くようなセリフを言ってくる。あたしなんて、多分一
度も、素直に別府君を褒めた事なんてないと言うのに。
ちょっと悔しくなった事もあり、また知りたくもあったので、あたしは意地悪な質問をした。
174 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 7/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:33:18.97 ID:ZxRkgnlg0 [12/16]
『とても可愛いって……どれくらい? 真菜ちゃんよりも、他の誰よりも?』
しかし、彼はいとも簡単に、易々と返事をした。
「今は先輩しか見えませんから、他の子の事なんて考えられません。確かなのは、僕に
とって先輩が、絶対的に見てものすごく可愛いという事だけです」
落ち着いた声で、大好きな男の子からそんな事を言われて、悶絶しない女の子がいる
としたら、その子は不感症に違いない。きっと。
『ズッ……ズルイそんなの…… 答えになってないわよ……』
精一杯の強がりも、儚く弱々しいものでしかなかった。その証拠に、別府君がクスリ
と笑うのが聞こえた。
「ズルイって言われても、それ以上は答えようがないですからね」
そう言われても、これ以上あたしには質問を押し切って聞く力など残ってなかった。
ただ、恥ずかしさを必死で耐えようと、より強く、頭を腿に押し付けただけだった。
少し、無言の時間が続いた後で、別府君がまた、私の髪を触る。同時に、彼の声がした。
「先輩の髪…… もうちょっと触っててもいいですか?」
『いいですかって……もう、触ってるじゃない……』
今度は比較的、落ち着いて私はそれを受け入れることが出来た。もう恥ずかし過ぎて
訳分からなくなってるからかも知れない。
「すみません。先輩のツヤツヤした髪の輝きを見ていたら、我慢出来なくなって。でも、
ダメだったら止めますけど」
こんな風に褒められて、ダメだなんて言える訳ない。正直、自分なんて女子力には全
然自信が無いというのに。とはいえ、素直にいいとも言えないあたしは、やっぱりつっ
けんどんな答えしか返せなかった。
『……好きにすればいいじゃない。別に……アンタに触られたくらいで、穢れるとかないし……』
むしろ、こうして弄ってくれた方が、却ってやる気も出て、髪にもより磨きが掛かる
かもしれないとすら思える。
「それじゃ、遠慮なく触りますね」
そう言って、別府君がそっと髪に触れた手を動かす。髪を手で梳いたり、優しく持ち
上げてみたり、そして、頭を撫でてみたり。何だか夢見心地な気分で、ついあたしはう
とうとしてしまいそうになる。
すると、別府君が優しく言ってくれた。
175 名前:・ツンデレ先輩VSデレデレ小学生 その30(ラスト) 8/8[] 投稿日:2011/08/08(月) 02:33:48.66 ID:ZxRkgnlg0 [13/16]
「いいですよ。少しくらいなら寝ても」
全く、最低だ。あたしは心の中で、そう別府君を罵る。寝たら起きるのが辛いし、何
よりこの心地良さを体感出来なくなってしまう。それなのに、そんな風に言われたら、
もはや体の誘惑に抵抗出来なくなってしまう。
『……寝てる間に……変な事しないわよね……』
最後の力を振り絞ってそう聞いたが、その言葉に実は何の意味なんて無かった。だっ
て、別府君は絶対変な事しないし、万が一変な事をしたとしても、それならそれで、勇
気を振り絞る手間が省けていいのかも知れないとすら思ったからだ。だけど、そんな事
考えても意味が無い。だって、別府君は絶対そんな事しないから。
「変な事するなら、先輩が起きてる時にしないと面白くないですから」
冗談っぽく、別府君は何気に酷い事を言う。しかし、それを深く考える頭は今のあた
しにはもう無かった。
『……この……鬼畜……』
条件反射的に、小さく悪態をつく。別府君は笑ってその言葉を流した。
「いいじゃないですか。少なくとも、今は安心して眠れるんですから」
『ん……』
コクンと頷き、僅かに頭を動かして、収まりやすい位置を探る。そして、深く息を吸っ
てあたしは気持ちを完全に彼に委ねた。眠りに落ちる直前、頭の片隅に僅かに残った思
考で、あたしは思った。
――この場所は……誰にも、渡せない…… 真菜ちゃんにだって……他のどの女の子に
だって……渡すわけには……いかないんだから……
その途端、フツッと電気が切れるみたいに、あたしは意識を失い、眠りの底に落ちて行った。
こうして、別府君の家での真菜ちゃんとの別府君を巡って争った長い一日は、終わり
を告げたのだった
最終更新:2011年08月19日 09:05