476 名前:1/4[sage] 投稿日:2011/08/21(日) 18:07:31.18 ID:5HWN/55O0 [21/37]
  • 今日はハニーの日

「ね、ね? カナタ君。今日、何の日だか知ってる?」
『は? 知らねーよ。別に興味もねーし』
「今日は、ハニーの日なんだって」
『知らん。初耳だ。つか、ちょっと待ってろ』
 ピピッ……ピピピ……
『えっと……噴水の日と、献血の日……あと何だこりゃ? 田井中律の誕生日とか出て来
たけど、ハニーの日なんてどこにもねーぞ。どっから得た知識だそりゃ?』
「えーとね。某匿名掲示版」
『まだそんなの見てんのかよ。つか、それって単なるゴロ合わせだろ』
「何だって良いの。で、お願いがあるんだけど」
『嫌だ。断る。断固、拒否する』
「……まだ何も言ってないのに……」
『お前が目を輝かせて擦り寄る仕草する時は、大抵ロクでもないお願いだからな。聞きたく
もないから先に拒否しとく』
「冷たい!! 真夏なのにこの冷たさ。いっそギュッてしていいですか? カナタ君をギュッ
てしたら、すっごい涼しくなりそう」
『俺が暑くなるだろうが。ふざけんな』
「もう。照れなくていいのに」
『照れてねーし。自分の都合の良いように解釈すんな』
「で、お願いなんだけどー」
『だから聞かねえって言ってんだろ。お前は人の話し聞いてんのか』
「いーじゃん。聞くぐらい。大丈夫。今日のは、大した事じゃないから。絶対に、カナタ君
に損はさせません。とはいっても、得にもならないけど」
『よし、分かった。聞いてやるから、さっさと言え』

477 名前:2/4[sage] 投稿日:2011/08/21(日) 18:08:16.65 ID:5HWN/55O0 [22/37]
「あれ? 意外と素直? どーしたの、カナタ君。いつもなら、もう少しゴネるのに」
『聞いても得しないって所が、やけに信憑性があったからな。損得無しなら、聞いた方が
話が早い。だからほら。さっさと言え』
「そんな所で信頼されるのって、何か微妙な気がする」
『いいから、とっとと言え。十秒以内に言わなかったら、権利失効な』
「わ、分かった。言う、言うから。えっとね。その……私に、ハニーって、呼んでくれない?」
『は? 何で俺が孝美をそんな風に呼ばなくちゃいけないんだよ』
「私がカナタ君の嫁だからです!!」
『いつからだよ!! 貰ってねーし!! つか、どんだけ押し掛け女房なんだよ!!』
「き、気持ちの問題だってば。ね、お願い。今日の所はとりあえず、一回呼んでくれればいいから」
『絶対お断り。嫌だ。死んでも拒否する』
「そこまで全否定? 私がショックで飛び降り自殺したらどーすんの?」
『お前の心臓に剛毛が生えていることは、幼馴染の俺が一番良く承知してるからな。もう
ちょっとかよわい女の子だったら、言葉も選ぶんだが』
「それでも拒否する事には変わりないんだね……」
『だって、嫌なものは嫌だからな』
「じゃあ、こうしよう。ジャンケンで、カナタ君が負けたら、私のお願い聞いてくれると言う事で」
『嫌だ。何でそんな、俺に何の得もない勝負しなきゃなんねーんだよ。意味ねーだろ』
「そんな事ないよ。カナタ君にも勝ったら素敵なご褒美があるよ」
『ご褒美って、なんだよ?』
「えっとね。そのー…… じゃあ、私のおっぱい揉み放題だだだだだだ!!」
『だからそういうのを賭け事に使うのは止めろ!! このエロ娘!!』
「だから、エロ娘じゃないってば…… そういう事していいのはカナタ君だけなんだから……」
『何でもいいから、賭け事の対象には身体以外の物を賭けろ。な?』
「だって私、お金ないし……」

478 名前:3/4[sage] 投稿日:2011/08/21(日) 18:09:01.17 ID:5HWN/55O0 [23/37]
『別に金賭けなくたっていいだろ。じゃあ、そうだな。お前がジャンケンに負けたら、今日
から一週間、俺ん家出入り禁止な』
「ちょっと待って。それ、辛すぎだよ!! それだったら、まだおっぱいの方が……」
『お前が嫌がる物じゃないと意味がねーからな。この条件なら、乗ってやるよ。どうする?』
「ううううう…… 何かすっごい割に合わない感がするけど、カナタ君がそれでジャンケン
してくれるって言うなら……」
『よし。じゃあ、一回勝負な? 行くぞ』
「わわわっ!? ちょっと待って。心の準備がまだ出来てないってば!!」
『そんなもん待ってられるか。せーの』
「わわっ!? わーっ!!」
『ジャンケン』
『「ポン!!」』
「……………………」
『……………………』
「やっ……たああああっ!!」
『マジかよ? ちくしょおお……』
「勝ったよカナタ君!! すごいっ!! 愛の勝利だよっ!!」
『俺は負けたんだよ。嫌味かそれは』
「だってだってだって、純粋に嬉しいんだもん!!」
『この程度の事で大喜びすんな。アホかっての』
「エヘヘ。何よりも、カナタ君ちに出入り禁止にならなかったのが一番嬉しいかも」
『あ、そう。んじゃ、それだけでもう十分だな』
「それはダメッ!! 負けたんだから、ちゃんと約束は守ってよね」
『チッ。分かってるよ。んで、何て言えばいいんだっけ?』
「えっとね。私の目を見て、優しく……愛してるよ、ハニーって」

479 名前:4/4[] 投稿日:2011/08/21(日) 18:09:50.74 ID:5HWN/55O0 [24/37]
『嘘つけっ!! 愛してるよなんて約束になかったろ!!』
「なーんだ。ちゃんと覚えてるのに、わざわざ忘れた素振り見せるなんて、カナタ君の照れ屋さん♪」
『そんなセリフあったら、俺が受ける訳ねーから、嘘だって言ったんだよ。覚えてた訳じゃねー』
「まったまた。いいよ。私の前では可愛いトコ見せても」
『あ? そんなに言うなら見せてやろうか? 地獄をだけどな』
「はわわわわ!! すみません嘘ですゴメンなさい。ちょっと調子に乗り過ぎました」
『全く…… とにかくハニーって呼べばいいんだろ』
「うん。その……優しく、ね?」
『分かったよ。その……ハニー……』
「……………………」
『どうしたよ? ちゃんと言ったぞ』
「うん。私も……愛してる。マイダーリン」
 ギュッ!!
『どわっ!? ちょっと待て!! 誰が抱き着いていいなんて言った!! 離れろバカ!!』
「だってだって、ハニーなんて呼ばれたらもう我慢出来ないもん。恥ずかしがらなくてい
いからね。私のダーリン」
『だからくっつくなっての!! だーっ!! 暑っ苦しいなもう!!』


『(アイツ、ジャンケンは必ず最初にグー出すんだよな。全く……世話が焼けるぜ、おい……)』


終わり
最終更新:2011年08月26日 01:24