129 名前:1/2[] 投稿日:2011/08/31(水) 22:52:26.13 ID:dSFJ9da10 [1/2]
それは残暑が厳しい夏の夜のことでした。
蒸し暑く寝つけない私は布団の上で何度も寝返りを打っておりました。
ふと気が付くと虫の声に混じってなにやら聞こえてくるのです。
耳をすますと、どうやら女性のすすり泣く声のようでした。
(イヤだな…怖いなぁ……)と思いながら窓をあけ辺りを見渡すと、
隣家の梓の部屋に明かりが灯っていました。
しかし様子がおかしいのです。部屋の電気は付いてはおらず卓上スタンドの明かりのみで
一心不乱に何かをしているのです。いつもと違う梓の様子に私は目を放すことができませんでした。
どれくらい眺めていたでしょうか。体勢を変えようとした時に「ギシッ」と音をたててしまったのです。
その瞬間、梓がこちらに振り向きました。その顔は涙と怒りの形相で、まるで鬼のようでした…。
「タカ…シ?……タカシ、タ~カ~シ~!」
鬼の形相でゆっくりと迫ってくる梓、私は身動き一つとれませんでした。
「タカシ~、終わらないよ~、助けて~!」

130 名前:2/2[] 投稿日:2011/08/31(水) 22:53:41.53 ID:dSFJ9da10 [2/2]
詳しく話を聞いた所、夏休みの宿題がまだ終わっていない事
「タカシまだ終わってないの~?僕は宿題とっくに終わらせたもんね~!」
と数日前に啖呵を切った手前、助けてとは言えなかった事
暑いのにクーラーが壊れていてドアと窓を開けっぱなしにしなければならなかった事
部屋の明かりを親に気づかれれば宿題をやってないのがバレて怒られるであろう事
卓上スタンドだけでは目が痛くなってくる事
数学の問題が解いても解いても終わらない事
これらを涙声で訴えてきました。
私は茶化す気にもなれず徹夜で梓の宿題を手伝ったのでした。
皆様、このようなことにならないよう宿題はきちんと終わらせましょう。

追伸
梓が鬼の形相でこちらを振り向いたとき、すこしチビッってしまったのはここだけの話です…。
最終更新:2011年09月01日 01:37