153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[1/2] 投稿日:2011/04/29(金) 01:48:39.51 ID:yJtG6UII0 [1/12]
「…メール送ったのは俺だけど…」

送信者:タカシ
件名:えらいこっちゃ
本文:両親が旅行に行ってしまった。晩飯を分けてくれる心優しい人募集中

「やー、まさかお嬢が来てくれるとは思わなかったわ」
「なんですの、その意外そうな顔は」
「おまけに手料理とはねえ。てっきりメシ奢ってくれるんだとばっかり…」
「庶民に施しを与えるのも上流階級の務めですわ。…けれど、私の行きつけのレストランやシェフの料理では、
 貧乏人のタカシさんのお口には合わないかと思いまして」
「貧乏人って…まあいいや。お嬢は、料理得意なの?」
「あら、私を誰と思っているのかしら。この私の溢れんばかりの才能を持ってすれば、タカシさんの食べる料理くらいちょちょいのちょい、ですわよ?」
「へえ、そりゃ楽しみだ。得意料理は?」
「………」
「ん?」
「今は野菜炒めを作っていますの」
「え?あ、そうなのか…」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[2/2] 投稿日:2011/04/29(金) 01:50:25.00 ID:yJtG6UII0 [2/12]

 ………そして。

「さ、出来ましたわよ」
「………これは…(…紫だ…野菜炒めが全体的に紫色だ…)」
「…どうかしましたの?」
「……お嬢…(片栗粉を用いていないにも関わらずでろっとしている…あれ、なんか今魚の頭が…?)」
「はい?」
「…いや、あの…これは…(いや、そんな! あの具は何だ! 窓に! 窓に!)」
「…………フン、やっぱり私の料理は貴方のような下々の者には合わなかったようですわね?」
「え…っ?」
「…もういいですわ。タカシさんに手料理を振る舞おうとした私が愚かでした。これは私がおうちで食べますわ…」
「い、いや待って、食う、食うって!」
「結構です!…バカ!貴方なんか一生安っぽいお弁当でも食べてかろうじて生きてればいいんですわーっ!」
「ちょっ、待てって言ってんだろうがっ!」
「きゃあっ!?ちょっと、何を…あああっ!?」
「ハムッ!ハフハフッ!ハフッ!!」
「たっ、タカシさんっ!?そんなに一度に食べては…」
「ハフハフ………ふう…う、美味かったぜ、お嬢…」
「……もう!い、いくらお腹が空いているからと言って、そんな品のない食べ方をしてはいけませんわっ!」
「ハハハ…ごめんごめん。だが美味かったさ…ああ…美味かったとも…」
「………(////) そ、そこまで言うのでしたら…」
「?」
「その…ご両親が旅行に帰ってくるまでの間、私が、直々に、これから毎晩、御夕食を作ってさしあげてもよくってよ?」
「なっ…!?」
「かっ、勘違いしないで下さる!?これは…その、タカシさんがあんまり意地汚く食べるから、哀れになっただけというか…
 と、とにかくっ!これから夕飯は私が作ります!文句はありませんわね!?」
「あ…い、いや…ないです、はい、ないともさ…」
「ふふふ…神野財閥令嬢たるこの私に、毎晩夕飯を作らせるなんて…幸せな男ですわね、全く♪」
「おうともさ…俺ぁ世界一幸せな男だなぁ…うふふふふふふふふふ…」
最終更新:2011年05月01日 19:05