219 名前:1/3[sage] 投稿日:2011/04/29(金) 16:38:33.65 ID:IjM5U+E8O [3/6]
「もしもーし」
『はい、別府ですが』
「かなみか? 俺だけど」
『あ、お兄ちゃ・・・な、なんだ、兄貴じゃん』
「おう、お兄ちゃんだぜ」
『・・・・・・チッ』
「露骨に舌打ちとか、俺が泣くぞ」
『あっそ。で? 何か用なわけ?』
「あぁ、折角のゴールデンウィークだから帰ろうと思うんだけどさ」
『ふーん、で?』
「お前、何か欲しいものあるか?」
『はぁ?』
「だから、お土産。何がいい? 何でも良いぞ」
『バック』
「何だって?」
『だから、バック。今、そっちで限定発売してるやつ』
「・・・・・・俺の記憶だと、あれって五万はしたよな?」
『何でも良いって言ったじゃん。自分の言葉も守れないわけ?』
「・・・・・・お前の金銭感覚が恐ろしくなってくるよ」
『兄貴に関係ないじゃん、そんなの』
「一応、母さんを泣かすような金の稼ぎ方はしないでくれよ」
『何言ってんの?』
「いや、なんでもない・・・・・・わかった、バックな」
『え? 本当に買うの?』
「当たり前だろ。お土産っつーか、プレゼントみたいなもんだしな」
『はぁ? 何言ってんの? 意味不明なんですけど』
「だってお前、こないだ部活で全国大会行ったらしいじゃん?」
『・・・・・・何で知ってんの?』
「兄貴だからな。可愛い妹の事が気になって仕方ねぇんだよ」
『キモ・・・・・・殆どストーカーじゃん』

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/04/29(金) 16:40:58.00 ID:IjM5U+E8O [4/6]
「なんとでも言え。まぁ、祝い品だよ。とりあえず明日には帰るよ」
『・・・・・・お土産、ちゃんと買ってきてよね』
「はいよ」
『絶対だかんね! 忘れたら許さないからね!』
「忘れねーから安心しろって・・・・・・そうだ、かなみ」
『何?』
「お前は結構俺を嫌いみたいだけど、俺はお前が大好きだからな?」
『はぁ!?』
「そんだけ、じゃーな」
『待っ、ちょ、お兄ちゃん!?』
「ツーツーツー・・・・・・」


「~♪」
「かなみー? 何が嬉しいのかは知らないけど、玄関で踊らないで?」
「お、踊ってないし!」
「あらそう。そういえば明日、お兄ちゃんが帰ってくるわよ?」
「ふ、ふーん。ま、どうでもいいけど?」
「あらあら、家族にそんな事言うんじゃありません」
「だって、どうでもいいものはどうでもいいんだもん」
「昨日はお兄ちゃんに会えるーって喜んでたじゃない」
「な、何で知って・・・じゃない! そんなこと言ってないし」
「自分の部屋だからって、あまり大きな声で独り言言っちゃダメよ?」
「何のことかわかんないし!」
「それに、寝言でずっとお兄ちゃんって言ってるじゃない」
「言ってない!」
「言ってるわよー? ほら、ちゃんとビデオも撮ってるもの」
「何でよ!」
「お兄ちゃんに見せてあげようと思ってねー」
「や・・・・・・止めて!それは止めて!」

221 名前:3/3[sage] 投稿日:2011/04/29(金) 16:42:38.48 ID:IjM5U+E8O [5/6]
「ただ、毎晩撮ってたらパソコンに収まらなくなったのよねぇ」
「どんだけ録ったのよ!?」
「お陰でまたハードディスクも増設しなくちゃいけなかったもの」
「また!? 今、またって言った!?」
「・・・・・・あら、お料理の途中だったわ、私ってば」
「待って! ちょっと待ってお母さん! おかぁーさーん!」


~続(かない)~
最終更新:2011年05月01日 19:07