六兆年と一夜物語
名も無い時代の集落の 名も無い幼い少年の 誰も知らない おとぎばなし
産まれついた時から 忌み子 鬼の子として その身に余る罰を受けた
悲しい事は何も無いけど 夕焼け小焼け 手を引かれてさ
知らない 知らない 僕は何も知らない
叱られた後のやさしさも 雨上がりの手の温もりも
でも 本当は 本当は 本当は 本当に寒いんだ
死なない 死なない 僕は何で死なない?
夢のひとつも見れないくせに 誰も知らないおとぎばなしは
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
吐き出す様な暴力と蔑んだ目の毎日に 君はいつしかそこに立ってた
話しかけちゃだめなのに
「君の名前が知りたいな」
ごめんね 名前も 舌も無いんだ
僕の居場所は何処にも無いのに
「一緒に帰ろう」
手を引かれてさ
知らない 知らない 僕は何も知らない 君はもう子供じゃないことも
慣れない他人の手の温もりは ただ本当に 本当に 本当に 本当のことなんだ
やめない やめない 君は何でやめない?
見つかれば殺されちゃうくせに 雨上がりに忌み子がふたり
夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
日が暮れて夜が明けて 遊び疲れて捕まって
こんな世界 僕と君以外 皆いなくなればいいのにな
皆いなくなればいいのにな
知らない 知らない声が聞こえてさ 僕と君以外の全人類
抗う間もなく手を引かれてさ 夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
知らない 知らない 僕は何も知らない これからのことも君の名も
今は 今はこれでいいんだと ただ本当に 本当に 本当に 本当に思うんだ
知らない 知らない あの耳鳴りは 夕焼けの中に吸い込まれて消えてった
最終更新:2012年10月11日 22:27