谷中、移籍初先発で1勝井川左肩痛で緊急登板
ノムさん先発ローテ入り明言スタンドの大声援は「猛虎の一員」と認めた証しだ。お立ち台から谷中は控え目にこたえる。「8回は正直疲れが出た。でもマウンドに上がれる喜びの方が大きかった。うれしかった」。ウイニングボールを握り締め、移籍後初勝利をかみしめた。井川の肩痛、中日は野口が先発…。様々な要因が重なり、今季初先発が巡ってきた。その1度のチャンスを谷中は見事にモノにした。
強気が勝利を引き寄せる。とにかく相手のインコースを突く。5回には先頭の山崎武に今季通算4個目の死球を与えた。両軍がベンチから飛び出し、一触即発の雰囲気が漂う。9日の巨人戦(東京ドーム)でも阿部にぶつけ、騒動を巻き起こしている。それでも谷中はスタイルを崩さなかった。「速い球がある訳ではない。僕はバッターの内をつかないと通用しない。それに負けていたら、お金も稼げない。メシも食っていけない」。意地の投球で続く6番波留を併殺に打ち取った。6回にも139キロ内角ストレートで井上を併殺に切った。 技術面でも抜かりはなかった。7日の練習中に八木沢投手コーチから投球フォームのアドバイスを受けた。「もっと足を上げてみたらどうだ」。左足を高く上げることで、より強い推進力をボールに乗せた。先発用の新投法は功を奏した。 これで先発投手陣の駒不足は解消だ。野村監督は「今後の先発? 台所事情が苦しいので、そうなるでしょう」とローテーション入りを認めた。5月8日に西武から緊急トレードで入団した時には「落ち込んだ時期もあった」と谷中は振り返る。それが1カ月後にはシンデレラボーイ。「中継ぎで結果が出なくても使い続けてくれて、(チームには)感謝している」。背番号「1」の救世主はすっかりタテジマがなじんでいた。
成本10S、148キロ谷中、葛西と渡ったバトンのアンカーは守護神成本だった。2点差の9回。中日の反撃を3人でしのぎ、自身も区切りの10セーブ目をゲットした。「谷中の勝利がかかっていたし、いつも以上に気合が入った。このところスッキリいかなかったから3人で抑えられてよかったよ」。球速は今季最速の148キロもマーク。「真っ直ぐのキレが出てきた。手ごたえは感じてます」と自信をみなぎらせていた。 井川、登録抹消せず井川慶投手(21)が左肩の違和感で登板を回避していたことが13日、分かった。中日戦の試合後、野村監督が明かしたもの。「井川が肩が痛いというし、しょーがない。5日ぐらい前かな。違和感があると言ってきた時点で谷中の先発を決めました」。結果的には井川を予想した中日の裏をかく形となったが、苦しい台所事情での谷中先発だった。気になる井川の肩の具合について、八木沢投手コーチは「違和感ということ。(1軍)登録抹消はしません。よくなったら放るでしょう」と、様子を見ながら調整していくことを明言した。 ペレスV撃!エバンス効果だセ界NO.1左腕を粉砕谷中の奇襲先発勝利もビックリだが、不敗男野口を攻略したのも、“ビックリ箱”の一撃だった。10試合ぶりに7番でスタメン復帰した眠れる主砲ペレスが、走者一掃の3点二塁打。そしてチームは1カ月ぶりの2連勝だ。大阪ドームの虎ファンはまさかまさかの快投快打に酔いしれた。 舞台は矢野の押し出し四球で先制点を奪った初回、なお2死満塁のチャンス。「久し振りのスタメンだったし、気合入ったよ。闘志をみなぎらせて、相手投手に向かって行ったよ」。気迫の一振りが野口の直球を捕らえ、右中間フェンス直撃の3点二塁打。この試合まで阪神戦3勝を含む8勝0敗、防御率1.52のセ界ナンバーワン男を、この日まで打率2割1分6厘の窓際助っ人が粉砕したのだ。 「ペレスが思いがけないバッティングをしてくれたねえ」。野村監督もビックリの活躍だったが、何より新助っ人エバンスの加入が刺激となったようだ。この日大阪ドームでの練習に参加したエバンスは、ペレスと同じサードで練習。週明け19日の巨人戦にも1軍昇格するが、このままではペレスが2軍に落ちてしまうのだ。「多少は刺激になるでしょう。ゼロということはない」。ペレスの心中を代弁した野村監督も、エバンス効果にニンマリだ。 痛めている右ヒザは完ぺきではない。だがライバル合流まで、時間もない。「自分が試合に出れてないんだし、球団が新外国人を取るのは何の問題もない」。そう穏やかに話したが、本心はサバイバルに必死。二塁打1本で指揮官に驚かれている評価を覆すためにも、打って打って打ちまくるしかない。 (22勝34敗:6位) |
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西武の1軍キャンプに参加するレッドソックスの松坂大輔投手(28)に、10年ぶりの“影武者作戦”が検討されている。
■写真で見る■ 松坂、夫婦で「SMAP×SMAP」生出演
WBC出場のため、Rソックスのキャンプ参加を免除された松坂は、2月1日から西武1軍の宮崎・南郷キャンプに合流する。メジャーリーガーとなって3年ぶりに南郷に帰ってくる松坂を見ようとファンが詰めかけ、大フィーバーになることは必至だ。
そこで首脳陣が考えたのが、10年前の“影武者作戦”復活だ。松坂が西武1年目の99年、高知・春野キャンプでファンが殺到し、大パニックになった。
首脳陣の1人は「あの時は、これでは投手の練習場から球場まで移動できないと、森投手コーチ(現中日)が谷中(真二投手)にダイスケのウインドブレーカーを着させて、タオルをかぶせて、影武者にしたんだよ」と振り返る。この画期的(?)な“影武者作戦”は見事に功を奏し、後から登場した松坂は無事移動に成功した。
5日、自主トレのため西武ドームを訪れた谷中は「ボクは高知(2軍キャンプ)でしょ」と影武者復活を否定。前出のコーチも「あんなベテランを影武者にするわけにはいかないでしょ」と当時は入団3年目も、35歳になる谷中には、さすがに頼めないと口にする。
さらに、「ダイスケはあのころと比べると、太っちゃったからなぁ」と言うように、10年の歳月で松坂の体形も谷中と違ってきてしまった。そこで松坂と似た体形の選手を探し出して、新影武者にするつもりだ。
キャンプ中、松坂は西武ナインと同じ宿舎に泊まり、練習、移動など行動をともにする。他球団の選手なのだから、本来ならその間の費用は自腹となるはず。だが、小林球団社長は「松坂はもともとウチの選手ですから。その辺は配慮します」と西武球団が負担することになるという。
何しろ、松坂はメジャー移籍の際、ポスティングで西武に約60億円もの大金を落としているのだから、当然といえば当然か。キャンプ中の2週間、松坂は「飯+宿+影武者つき」というVIP待遇で迎えられることになる。