ザメンホフ(いとうかんじ)

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ザメンホフ(いとうかんじ) - (2014/07/08 (火) 10:50:14) の編集履歴(バックアップ)


ドイツの田舎の小さな町の神父さんだったシュライエルは、平和な生活をつづけていた。
あまりにも平和なので、彼は『シオンのたて琴』という宗教雑誌をだしていた。
それでもまだヒマがありすぎたのか、いろいろな言葉をおぼえた。
むかしの信徒たちは勉強しなくても、
その場になれば勝手にそこの人たちの言葉が口をついてでたので伝道には一向に苦労しなかったそうだが、
それは草創期のちょっとごてごてしたいそがしい時代でのことだった。
今はなにしろ平和で、勉強くらいしか楽しみもないという時代だった。
彼はずいぶん熱心に勉強をし、とうとう四十あまりの国の言葉をおぼえこんでしまった。

これで彼は四十以上の国の人たちにたいして神様のおことばをつたえる実力を手にいれたわけだった。
なかなか大したことだったといわねばなるまい。
神様ご自身も彼のこんなよみされたのだとおもう。
そんな彼にある夜、天啓があった。
神様おんみずからおいでになったのか、あるいは代理の精霊なり天使なりがあらわれたのか、そのあたりの事情はちょっとつまびらかにしがたくて残念だが、
とにかく天からのひらめきが彼にくだって、世界にみちあふれている子羊たちをいっそう幸福にみちびくための手だてを示したもうた。

四十の言葉をおぼえたところで、それは四十の相手にしかつうじるものでしかない。
それよりも『世界語』をつかうがよい。
世界中のものがこれをおぼえさえすれば、世界中の人たちは神のみ心を知ることができ、すくわれるのだ。
さすがに産業時代になっただけに、カトリックの神様もアジなことを考えつかれた次第だった。