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カエルのたたかい(仮) - (2010/09/11 (土) 00:28:08) の1つ前との変更点
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まえがき
135 名前:作家志望 ◆JSuk2dxRQ6 [sage] 投稿日:2010/09/07(火) 18:46:01 ID:lcG6FX6x0
お前ら言っとくけど、エロ本ばっか読んでたら私の名文なんて理解できんからな
川端や谷崎等の小説を読んでまともな読解力を身に着けとけ
とりあえず本棚にあるロリコン本は処分しとけよ
犬星とかあかざわREDとか好きそうだもんな、チカニシって
> 闇を抱いた風が砂塵を巻き上げていく。中天にぽっかりと浮かぶ満月が、蒼い光を地面に投げかける。石造りの城が闇夜に浮かび上がり、天辺に飾られた魔物の彫像が不吉に笑う。
> ここはガルディア王国の者ならば、知らぬものはいない場所である。
>数多くの勇者達が討伐に挑み、そして虚しく敗れ去っていった場所、魔王軍の本拠地である魔王城だ。
> その死の香りを色濃く漂わせた城に、一人の男が入ろうとしていた。腰帯に一本の剣を吊るしてはいるが、甲などは身に着けておらず、平服に緑色のマントという軽装だ。
> 戦いに赴くには些か不釣合いな格好だが、そんな事が気にならなくなるほど男の姿は異様であった。
>緑色でヌメヌメとした皮膚、顔の大半を占める大きな瞳、その者はカエルの面貌をしていた。衣服に包まれて見ることは出来ないが、恐らくは身体の方も人間のそれではないだろう。
> 白い手袋に包まれた手で彼が城門を押し開くと、城全体から刺すような殺気が感じられる。ガルディア王国軍の噂では、この城には百の魔物がいるらしい。
> 彼は皮肉っぽい微笑を浮かべて、エントランスを進んでいった。
> もとより死は覚悟している。仲間への義理は果たし、もはやこの世への未練は一つしかない。亡き友の復讐とガルディア王国を守ることである。
> ――サイラス……。
> 心のうちで、今は亡き親友の名を唱え、彼は形見である大剣の柄を握った。前方から複数の殺気が近付いてきたからである。
> 大勢の骸骨兵が刀槍をきらめかせてやってきた。少なくみても十匹以上はいる。
> 無言で彼が剣を鞘から引きぬくと、蝋燭の炎を反射して星のように輝いた。
>彼は地を蹴って、身近な骸骨の胴を一撃で粉砕し、肩口を狙って切りつけようとした骸骨の腕を切断した。
> 残った骸骨兵が一斉に襲ってくる。いくつもの剣光が交差して、骨の破砕音が城の廊下に響き渡った。倒された骸骨が山と積もり、廊下の不吉なオブジェとなった。
> 剣を縦横に振るいながら、ふと彼は違和感を覚えた。何かが足りなかった。心のうちにぽっかりと穴が空いたようだ。
> 自分でも分からない気持ちに戸惑いながら、最後の敵を倒したとき、彼はようやく違和感の正体に気が付いた。それは仲間がいないからである。
> 共に戦い、そして共に勝利を喜び合える仲間。そんな仲間が彼にはいた。
> ――自分で決めた事だ。
> ちょいとやぼ用でな、と彼が仲間の許を発ったのは三日前の事であった。魔王との因縁は一人で決着をつけると決めての事だ。
>それに後悔はない。だが、この気持ちは何なのだろうか。仲間達の存在が自分の中でこれほど大きくなっていたのかと、彼は今さらながらに気付かされた。
>勝利の喜びも仲間がいなくては味気ないものだ。
> 石の廊下を進みながら、彼は左胸に着けたバッジに手を触れた。仲間との出会いのきっかけをくれたバッジだ。サイラスの遺品の一つでもある。
> サイラスを自分の身代わりに亡くし、彼は長い間、腐り果てていた。酔い潰れるまで酒を飲む毎日だった。
>ついには、サイラスの形見であるバッジまで無くしてしまった。そのとき、彼の心は完全に死んだ。すべてがどうでも良くなってしまった。
>だが、そんな彼にバッジを届けてくれた者がいる。クロノ達だ。彼らはいかなる手段を用いてか、サイラスの形見であるグランドリオンまで直してくれた。
> それからは彼らの恩に報いる為、そしてサイラスの意志を継ぐために旅に出た。
>その旅の終着点が、今この時である。一人でも成し遂げねばらない。
> 蝋燭の薄明かりで照らされた廊下を、彼は毅然と胸を張って進んでいく。やがて一つの部屋にたどり着いた。
>室内からは恐ろしい程の剣気が漂いだしている。
> かなりの手練がいる、と剣士の感が告げていた。慎重に扉を押し開き、身構えて部屋に進む。すると、室内は誰もいない空っぽだった。
>しかし剣気だけは、相変わらず皮膚に突き刺さってくるようだ。
> 彼は、ゆっくりと剣を抜き放ち、正眼に構えた。それが合図だったかのように、虚空から不意に人型の魔物が出現する。
>「おろかな……。久方ぶりに死に急ぐものが現れたか!」
> 言うが早いか、魔物は壁に掛けてあった刀を引き寄せる。鍔鳴りと斬撃はほとんど同時だった。刀身が激突し、青白い火花が二人を照らした。
> 一合を交えると、二人は飛びすさって距離をとった。一太刀交わしただけで、お互いの力量が手に取るように分かる。
>戦いに明け暮れた彼の人生の中でも、類をみない雄敵であった。
> 二人はお互いの隙を見出そうと、弧を描くように室内を動く。先に仕掛けたのは魔物のほうだった。
>一足飛びでかれの懐に入り込み、ななめから長刀を撃ちおろした。迎え撃つ彼の刃と敵の刃が噛みあい、耳を刺す金属音が脳に響く。
> 一撃を受け止められても、敵は攻撃をゆるめずに猛然と刃を突き出した。
>斬りこみ、突きこみ、薙ぎこみ、連続する敵の攻撃は熾烈を極め、刃鳴りは止むところをしらない。
>斬撃の応酬はすでに三十合を超えていたが、実のところカエルには少し余裕が出始めていた。
> 敵が得物とする日本刀の相手には慣れていたのだ。旅の間中、暇さえあれば剣の稽古をしていた。
>彼は魔物以上の日本刀の使い手を知っている。そして、幾度となく刃をまじえていた。
> カエルが敵の刀をはねあげて攻勢に転じた時、攻防の均衡は一瞬にして崩れ去った。
>体勢を崩した敵に剣閃が奔り、彼の剣が頚部を薙いだ。魔物の首は血の尾を引いて、部屋の端まで飛んでいった。続いて身体が床に崩れ落ちた。
> 戦いで乱れた呼吸を整えつつ、彼は剣を振って血を払った。敵ながら大した力量のものであった。
>もし今の敵が人間に生まれていれば、と少し惜しい気がする。きっと立派な騎士に成れたのではないだろうか。
>卓絶した剣技もさることながら、その騎士道を感じさせる行動――。
> 彼は抜き身の剣を掴んだまま、おもむろに部屋の奥へ進みいった。彼が入ってきたのとは違う扉を開ける。
> 荒れ狂う大河のような殺気の奔流が室内に流れ込んできた。
>赤い絨毯を敷かれた薄明かりの廊下には、埋め尽くすような数の魔物がひしめいていたのである。
> 先ほどの魔剣士にその気があれば、彼は数の利を生かして戦う事もできたはずであった。
>だが、彼はそうはしなかった。言葉こそ一言も交わさなかったが、カエルは確かに魔剣士から騎士道精神の欠片を感じた。
> カエルは無造作に廊下に進み出て、近付いてきた狼のような魔物を横薙ぎにした。墳血がそそぐ中を悠然と歩いていく。先はまだ長く、そして夜明けもまだ遠い。
> 連続して、魔物に断末魔を歌わせながら、彼は城の奥へと歩を進めていった。
> 闇がより深くなったような気がする。城の中間とおぼしき場所を過ぎた辺りで、カエルは唐突に足をとめた。
>夜気が凍えるような冷たさを帯び、強烈な魔力が彼の肌をなでる。
> やおら剣の鞘を払うと、カエルは虚空に剣先を向けた。
>「いるんだろ。出てこい」
> 周囲の闇が中空の一点に集まっていき、やがて一人の魔物に姿を変じる。
>「ほう」
> カエルの口から驚きの声が漏れた。現れたのが珍しい女性の魔物だったからである。暗赤色の長い髪を一つに結って背中に流し、白いドレスを着ていた。
> 整った眉に筋の通った鼻、ぽってりとした厚い唇は桃色に濡れている。人間の美的感覚からしても、なかなかの美人だといえよう。
> ふいに、カエルが大きな口の端を歪めて笑った。自嘲の笑みである。醜いカエルの姿をしている自分に、誰かの容姿を批評する資格があるのか、と思ったのだ。
> 中空で停止した魔物が挑発するような笑みを浮かべた。
>「一人であたいとやろうなんてネ!」
> 風もないのにドレスの裾が舞い上がり、魔物の魔力が室内を満たしていく。
>攻撃は唐突であった。魔物の手が光ったかと思うと、次の瞬間にはカエル目がけて電撃が一直線に奔っていた。
> カエルの手に握られた大剣が雷を切り散らす。彼が電撃を防ぐ事ができたのは、攻撃に先んじて動いたことと、武器としているグランドリオンのおかげであった。
> 伝説の武器であるグランドリオンは、魔法でさえも切ることが出来るのだ。
まえがき
135 名前:作家志望 ◆JSuk2dxRQ6 [sage] 投稿日:2010/09/07(火) 18:46:01 ID:lcG6FX6x0
お前ら言っとくけど、エロ本ばっか読んでたら私の名文なんて理解できんからな
川端や谷崎等の小説を読んでまともな読解力を身に着けとけ
とりあえず本棚にあるロリコン本は処分しとけよ
犬星とかあかざわREDとか好きそうだもんな、チカニシって
> 闇を抱いた風が砂塵を巻き上げていく。中天にぽっかりと浮かぶ満月が、蒼い光を地面に投げかける。石造りの城が闇夜に浮かび上がり、天辺に飾られた魔物の彫像が不吉に笑う。
> ここはガルディア王国の者ならば、知らぬものはいない場所である。
>数多くの勇者達が討伐に挑み、そして虚しく敗れ去っていった場所、魔王軍の本拠地である魔王城だ。
> その死の香りを色濃く漂わせた城に、一人の男が入ろうとしていた。腰帯に一本の剣を吊るしてはいるが、甲などは身に着けておらず、平服に緑色のマントという軽装だ。
> 戦いに赴くには些か不釣合いな格好だが、そんな事が気にならなくなるほど男の姿は異様であった。
>緑色でヌメヌメとした皮膚、顔の大半を占める大きな瞳、その者はカエルの面貌をしていた。衣服に包まれて見ることは出来ないが、恐らくは身体の方も人間のそれではないだろう。
> 白い手袋に包まれた手で彼が城門を押し開くと、城全体から刺すような殺気が感じられる。ガルディア王国軍の噂では、この城には百の魔物がいるらしい。
> 彼は皮肉っぽい微笑を浮かべて、エントランスを進んでいった。
> もとより死は覚悟している。仲間への義理は果たし、もはやこの世への未練は一つしかない。亡き友の復讐とガルディア王国を守ることである。
> ――サイラス……。
> 心のうちで、今は亡き親友の名を唱え、彼は形見である大剣の柄を握った。前方から複数の殺気が近付いてきたからである。
> 大勢の骸骨兵が刀槍をきらめかせてやってきた。少なくみても十匹以上はいる。
> 無言で彼が剣を鞘から引きぬくと、蝋燭の炎を反射して星のように輝いた。
>彼は地を蹴って、身近な骸骨の胴を一撃で粉砕し、肩口を狙って切りつけようとした骸骨の腕を切断した。
> 残った骸骨兵が一斉に襲ってくる。いくつもの剣光が交差して、骨の破砕音が城の廊下に響き渡った。倒された骸骨が山と積もり、廊下の不吉なオブジェとなった。
> 剣を縦横に振るいながら、ふと彼は違和感を覚えた。何かが足りなかった。心のうちにぽっかりと穴が空いたようだ。
> 自分でも分からない気持ちに戸惑いながら、最後の敵を倒したとき、彼はようやく違和感の正体に気が付いた。それは仲間がいないからである。
> 共に戦い、そして共に勝利を喜び合える仲間。そんな仲間が彼にはいた。
> ――自分で決めた事だ。
> ちょいとやぼ用でな、と彼が仲間の許を発ったのは三日前の事であった。魔王との因縁は一人で決着をつけると決めての事だ。
>それに後悔はない。だが、この気持ちは何なのだろうか。仲間達の存在が自分の中でこれほど大きくなっていたのかと、彼は今さらながらに気付かされた。
>勝利の喜びも仲間がいなくては味気ないものだ。
> 石の廊下を進みながら、彼は左胸に着けたバッジに手を触れた。仲間との出会いのきっかけをくれたバッジだ。サイラスの遺品の一つでもある。
> サイラスを自分の身代わりに亡くし、彼は長い間、腐り果てていた。酔い潰れるまで酒を飲む毎日だった。
>ついには、サイラスの形見であるバッジまで無くしてしまった。そのとき、彼の心は完全に死んだ。すべてがどうでも良くなってしまった。
>だが、そんな彼にバッジを届けてくれた者がいる。クロノ達だ。彼らはいかなる手段を用いてか、サイラスの形見であるグランドリオンまで直してくれた。
> それからは彼らの恩に報いる為、そしてサイラスの意志を継ぐために旅に出た。
>その旅の終着点が、今この時である。一人でも成し遂げねばらない。
> 蝋燭の薄明かりで照らされた廊下を、彼は毅然と胸を張って進んでいく。やがて一つの部屋にたどり着いた。
>室内からは恐ろしい程の剣気が漂いだしている。
> かなりの手練がいる、と剣士の感が告げていた。慎重に扉を押し開き、身構えて部屋に進む。すると、室内は誰もいない空っぽだった。
>しかし剣気だけは、相変わらず皮膚に突き刺さってくるようだ。
> 彼は、ゆっくりと剣を抜き放ち、正眼に構えた。それが合図だったかのように、虚空から不意に人型の魔物が出現する。
>「おろかな……。久方ぶりに死に急ぐものが現れたか!」
> 言うが早いか、魔物は壁に掛けてあった刀を引き寄せる。鍔鳴りと斬撃はほとんど同時だった。刀身が激突し、青白い火花が二人を照らした。
> 一合を交えると、二人は飛びすさって距離をとった。一太刀交わしただけで、お互いの力量が手に取るように分かる。
>戦いに明け暮れた彼の人生の中でも、類をみない雄敵であった。
> 二人はお互いの隙を見出そうと、弧を描くように室内を動く。先に仕掛けたのは魔物のほうだった。
>一足飛びでかれの懐に入り込み、ななめから長刀を撃ちおろした。迎え撃つ彼の刃と敵の刃が噛みあい、耳を刺す金属音が脳に響く。
> 一撃を受け止められても、敵は攻撃をゆるめずに猛然と刃を突き出した。
>斬りこみ、突きこみ、薙ぎこみ、連続する敵の攻撃は熾烈を極め、刃鳴りは止むところをしらない。
>斬撃の応酬はすでに三十合を超えていたが、実のところカエルには少し余裕が出始めていた。
> 敵が得物とする日本刀の相手には慣れていたのだ。旅の間中、暇さえあれば剣の稽古をしていた。
>彼は魔物以上の日本刀の使い手を知っている。そして、幾度となく刃をまじえていた。
> カエルが敵の刀をはねあげて攻勢に転じた時、攻防の均衡は一瞬にして崩れ去った。
>体勢を崩した敵に剣閃が奔り、彼の剣が頚部を薙いだ。魔物の首は血の尾を引いて、部屋の端まで飛んでいった。続いて身体が床に崩れ落ちた。
> 戦いで乱れた呼吸を整えつつ、彼は剣を振って血を払った。敵ながら大した力量のものであった。
>もし今の敵が人間に生まれていれば、と少し惜しい気がする。きっと立派な騎士に成れたのではないだろうか。
>卓絶した剣技もさることながら、その騎士道を感じさせる行動――。
> 彼は抜き身の剣を掴んだまま、おもむろに部屋の奥へ進みいった。彼が入ってきたのとは違う扉を開ける。
> 荒れ狂う大河のような殺気の奔流が室内に流れ込んできた。
>赤い絨毯を敷かれた薄明かりの廊下には、埋め尽くすような数の魔物がひしめいていたのである。
> 先ほどの魔剣士にその気があれば、彼は数の利を生かして戦う事もできたはずであった。
>だが、彼はそうはしなかった。言葉こそ一言も交わさなかったが、カエルは確かに魔剣士から騎士道精神の欠片を感じた。
> カエルは無造作に廊下に進み出て、近付いてきた狼のような魔物を横薙ぎにした。墳血がそそぐ中を悠然と歩いていく。先はまだ長く、そして夜明けもまだ遠い。
> 連続して、魔物に断末魔を歌わせながら、彼は城の奥へと歩を進めていった。
> 闇がより深くなったような気がする。城の中間とおぼしき場所を過ぎた辺りで、カエルは唐突に足をとめた。
>夜気が凍えるような冷たさを帯び、強烈な魔力が彼の肌をなでる。
> やおら剣の鞘を払うと、カエルは虚空に剣先を向けた。
>「いるんだろ。出てこい」
> 周囲の闇が中空の一点に集まっていき、やがて一人の魔物に姿を変じる。
>「ほう」
> カエルの口から驚きの声が漏れた。現れたのが珍しい女性の魔物だったからである。暗赤色の長い髪を一つに結って背中に流し、白いドレスを着ていた。
> 整った眉に筋の通った鼻、ぽってりとした厚い唇は桃色に濡れている。人間の美的感覚からしても、なかなかの美人だといえよう。
> ふいに、カエルが大きな口の端を歪めて笑った。自嘲の笑みである。醜いカエルの姿をしている自分に、誰かの容姿を批評する資格があるのか、と思ったのだ。
> 中空で停止した魔物が挑発するような笑みを浮かべた。
>「一人であたいとやろうなんてネ!」
> 風もないのにドレスの裾が舞い上がり、魔物の魔力が室内を満たしていく。
>攻撃は唐突であった。魔物の手が光ったかと思うと、次の瞬間にはカエル目がけて電撃が一直線に奔っていた。
> カエルの手に握られた大剣が雷を切り散らす。彼が電撃を防ぐ事ができたのは、攻撃に先んじて動いたことと、武器としているグランドリオンのおかげであった。
> 伝説の武器であるグランドリオンは、魔法でさえも切ることが出来るのだ。
修正ver
> 一撃を受け止められても、敵は攻撃をゆるめずに猛然と刃を突き出した。
>斬りこみ、突きこみ、薙ぎこみ、連続する敵の攻撃は熾烈を極め、刃鳴りは止むところをしらない。
>互いの身体には大小の傷が生まれ、白い閃光に赤い色が混じる。
> 鋭い踏み込みとともに放たれた突きを、カエルが大剣の腹で受け止めた。敵が刀を引くのと同時に、今度は彼のほうが踏み込んだ。
>強烈な横薙ぎの斬撃を加える。魔物は大剣を刀で受け止める愚を避け、身を低く沈めて躱し、がら空きの胴体を狙う。
>硬い金属音が鳴り響いた。剣を戻すのが間に合わないと悟ったカエルが、左手で剣の鞘を掴み、刃と身体との間に差し込んだのだ。
> そして、空振りした大剣の軌道をすぐさま変じ、カエルは再び魔物に斬りつける。魔物は飛び退り、正眼に構えなおしたかと思うと、ふいに刀を鞘に納めてしまった。
> どうしたのか、とカエルは訝ったが、すぐに敵の行動の意味を悟る。
>日本刀には抜刀術という技がある事を、彼は知っていた。彼の仲間には、魔物と同じ日本刀の使い手がいるのだ。
> 魔物が刀の柄に手をかけ、姿勢を低くして、跳躍の構えをとった。剣気が熱波となって押し寄せる。
>カエルが斬撃に備えて神経を研ぎ澄ますと、魔物が爪先で床を蹴って跳んだ。きしるような鞘走りの音が響き、加速された剣先が鞘からはじき出される。
> 必殺の速度を秘めた抜きつけであった。達人の技といってもよいだろう。だが、魔物が振るう刀の先には、すでに大剣が待ち構えていた。
>魔物の顔が驚愕に歪む。音高く激突する二つの刃が火花を散らせ、必殺の一撃を弾かれた反動で魔物は体勢を崩した。
> 刹那、カエルの剣が光芒を放つ。大剣が短く白い弧を描き、魔物の首が中空を舞った。
>魔物の首は血の尾を引いて、部屋の端まで飛んでいった。続いて身体が床に崩れ落ちる。
> 戦いで乱れた呼吸を整えつつ、彼は剣を振って血を払った。勝利を掴めたのは奇跡に近い。
>明暗を分けたのは、カエルに抜刀術との戦闘経験があった事だろう。それゆえ、どういった部位に撃ち込みがくるか、そういった事が分かったのである。
>剣筋を見てからでは間に合わない。だから、先に動く必要があった。予想した部位に攻撃がきたのは、僥倖といってよいだろう。
>まったく、敵ながら大した力量のものであった。