群の元xとyにつき,[x,y]=x−1y−1xyを交換子という。以下の関係式は容易である。
XとYがGの部分群であるとき,元毎交換子の集合が生成するGの部分群を[X,Y]と書く。
XとYが正規であれば[X,Y]も正規である。交換子群G′=[G,G]はGの全特性部分群であり,当然,正規部分群である。
XとYとZをGの部分群とする。Gの正規部分群Nが[X,Y,Z]と[Y,Z,X]を含めば[Z,X,Y]をも含む。これはウィットの恒等式から得られる。
ウィットの恒等式は力尽くで計算すれば確かめられる。任意のx∈X,y∈Y,z∈Zにつき,[x,y−1,z]∈N,[y,z−1,x]∈Nであるから,ウィットの恒等式により[z,x−1,y]∈Nである。[Y,Z]の各生成元とxの交換子がNに属するから,[Y,Z]の各元とxの交換子もNに属する。xもXの任意の元であるから[Z,X,Y]≤Nである。
以下は三部分群補題の容易な系である。
交換子の積は一般には交換子でなく,交換子の集合は一般には群でない。この例を示す。
Kはクラインの四元群,Qは四元数群であり,Gは位数96の群になる。 Gの交換子の積[i,j]·[a,c]=i2abはGの交換子でない。