「凛世、今日はボーカルレッスンだ」
最近、僕は夜の事務所の一室で凛世の個人練習に付き合ってます。
「はい……」
レッスンなので凛世はジャージを着ています。緊張のせいか、練習前なのに顔が真っ赤です。こんな調子では本番が心配です。
これはみっちり練習しないとダメみたいですね……
「まずは発声練習からやろうか」
最初は基本の発声からやります。
あめんぼあかいなあいうえお、凛世の声はいつ聞いても綺麗です。
姿勢もいつ見ても綺麗で……おっとお尻に糸くずが。
「ささげひ……っ、すを、かけ……」
おや? 声が乱れましたね、これはいけない。
すぐさま姿勢のチェックに入ります。
背中、肩、腕、腰、脚、満遍なく両手でチェックしていきます。凛世はくすぐったそうに身をよじらせますが、その都度注意すると頑張って耐えます。流石に太ももを両手でさすってたときはふるふると震えていましたが……(笑)
ですがこれもトップアイドルになるための試練、心を鬼にして臨みます。
チェックが胸筋のあたりに差し掛かった頃、凛世がうつむきました。
「ん? 凛世、どうした?」
「あの……その、手が……」
そんなことを言いながら凛世は胸に置いた僕の手をチラチラと見ています。集中できてない証拠ですね。
「ほらほら、集中集中」
「ひぁっ」
僕は凛世のうなじに息を吹きかけます。すると凛世はビクッと跳ねるように背筋が伸びました。ヨシ!
もちろん胸は手に置いたまま、チェックを続けます。
頑張って姿勢を整えさせ、そのまま発声を続けさせます。
「それじゃ最初からもう一度やろっか。あめんぼあかいなあいうえお」
「あめんぼあかいな、あいうえお……」
姿勢を正して、凛世は発声練習を再開します。
うーん、いつ聞いてもいい声だ。胸もよく張れてピシッとしてるぞ。
…………おや?胸にしこりがあるな。
「凛世、ここ、しこりができてるぞ」
「かきのきくりのきひぁっ、ん……」
両胸を指先でぐにぐにしたら、また声を止めてしまった。本当に集中力が無いな……
「凛世、痛かったか?」
「そ、そこは、しこりでは……んっ」
「凛世、声が止まってるぞ、もう一回」
「はい……っあ、あめ……んっ、………んぼ………」
うーん、こりをほぐしてあげたら声が色っぽくなったが、覇気が無くなってしまったな。リラックスしすぎかな?
さっき注意したばかりなのに背中も丸めてるし、なんて悪い子なんだ……
「凛世、背筋を伸ばしなさい」
「っあぁ!」
凛世の両脚の付け根に手を差し入れ、グイッと持ち上げました。腰のツボに入ったのか、凛世は可愛い悲鳴をあげながら姿勢を正しました。
「はいそのまま、発声の続き」
「…………はい。…………あ、あめんぼ、あかいな……っ」
姿勢を再び正した凛世ですが、その声に最初の勢いはもうありません。
足の付け根からもぐちゅ、と湿った感触が指先に伝わります。汗かな?
「ダメダメ、やり直し。もう一回」
ですがこんなときこそプロの意地の見せ所。妥協せずリテイクを出します。
ぐちゅ、ぐちゅ
「…………あめんぼ、っ、あっ、かいな……」
「やり直し」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ
「……っ……はぁっ、あめんぼあかい……っ、あっ、あ、あ………」
「やり直し」
気合いが足らないな? 服の下から直接押さえてあげよう
「っあ! 服の中には……」
「ほら聞いてる? もう一回!」
「っあ、あ、あめ、あっ………」
発声練習なのに、凛世は手で口を押さえてしまいました。これじゃ練習の意味が無いよ……
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ
凛世にガッツを出させるため、僕の手にも熱が入ります。
「凛世、今日はボーカルレッスンでしょ?ちゃんと声出さなきゃダメじゃないか」
「あ、あっ、プロデューサー様、これ以上は、ぁっ」
「ほら、口を押さえずに、もう一回」
「あ、あ………あぁっ! ああ、あ、あぁ……」
突然凛世が甲高い声をあげ、身体をビクビク痙攣させました。そのまま床にへたり込みます。体力が尽きたのかな?
息も荒く肩で呼吸をしています。
「もう動けないのか、まだまだ鍛え方が足らないな……」
「ぅ、あ、あぁ……」
ですがここまでレッスンを頑張ったのも事実。身体に溜まった疲れをじっくりほぐしてあげましょう。
腰が抜けた凛世を抱きかかえて、仮眠室まで連れて行きます。
「ぷ、プロデューサーさま……」
待って、と言わんばかりに僕から離れようとしますが、ダメです。絶対に離しません。
そのまま仮眠室の布団まで連れて行き、うつ伏せの状態で布団に乗せます。凛世はまだ腰が抜けて動けないようです。
「凛世、腰を浮かせて」
「な…………なりません……」
渋る凛世。こういう時だけ意地を張るんだからもう……
「しょうがない、俺が脱がしてあげるか」
「やっ、あ……」
凛世の腰を持ち上げてお尻を突き出させます。
そのままマッサージがしやすいように衣服を脱がしてあげて……なんてこった!ズボンの裏側が汗びっしょりじゃないか!!
「凛世!大丈夫か!?今すぐほぐしてやるからな!」
僕は手際よくマッサージの体勢に挿入ります。
凛世の腰を持ち上げて、お尻を僕の腰にあてがって、腰と腰とをぶつけっこ。効くんだなこれが
「凛世、力加減はどうだ!」
「ああっ! あっ、あっ、あっ」
施術開始。僕は凛世に力加減を聞きますが獣のように鳴いてます。ボーカルレッスンの時より声が出てるんじゃないか?
「凛世、痛かったら言うんだぞ!」
「あっ、はぁっ、い、いたくは………あっ!」
痛くなさそうだな、ヨシ!
声もリラックスできてるみたいだ。
……待てよ?今ならボーカルレッスンできるんじゃないか?
「…………なあ凛世、ここでボーカルレッスン、もっかいやるか?」
「あ"っ、あっ………んぐ、あ……」
おや……?
「………あっ♡ あっ、んあ、あっ………」
……凛世?
「ひぁぁっ、あっ、ああ♡ あっ!」
凛世? 凛世? おーい
「あ"ぁ"っ♡ あっ、あぁ♡ あ"、あ"、あ"〜〜〜♡」
あー、、、これはまるで聞こえてないですね。
残念ながら今日のレッスンも失敗です。トホホ……
最終更新:2019年09月13日 12:34