凛世ちゃんと温泉旅館でしっぽりする話

〜これまでのあらすじ〜
晴れて両思いとなった凛世とP!!!!二人は人目を忍んで温泉旅館に一泊二日の慰安旅行に出かけた!おいおい何を慰めるつもりだあ!?
道中で足湯を嗜み、地元の料理に舌鼓を打つ二人!日中は穏やかな時間を過ごしていたが……夜!!温泉で火照った身体に空気もほだされ、なんやかんやいい雰囲気になるのであった……

〜〜〜〜

「……触るぞ」
「はい……」

 向かい合って、凛世に尋ねる。
 凛世は、軽く頷く。

 二人きりの旅行、静かな夜、寄り添う二人、薄明かり。
 これから何をするか、されるのか。とっくにお互い分かっているはずなのに、それでも聞かずにいられない自分の臆病さに呆れる。

 自省はここまでにして、俺は凛世の身体に手を伸ばした。
 おずおずと、おっかなびっくり、彼女の浴衣越しの肩へ。

「あっ……」

ーー細い。

 触れた瞬間、脳裏に浮かんだのは飴細工。

 白く艶やかな肌の手触りは浴衣越しでも滑らかで、少し力を入れただけで骨の感触に辿り着く。そのまま力を入れると……ぱきん、音を立て砕けるのではと錯覚する程に、細かった。

 手に伝わる柔らかな肌の感触が、体温が、彼女が生きた人間であると主張しているのに、ガラスか飴細工のような脆さ、儚さを感じてしまう。

(痛い、訳じゃないよな……)

 触れた瞬間、凛世は小さく息を上げたが、もしや痛かったのではないか、そんな不安すら頭をよぎった。

 凛世の肩に置いた手をそのまま腕へ、首へとなぞるように往復させる。
 首に手を滑らせればくすぐったさから小さく息を吐き、手を握れば小さく握り返してくれる。些細な反応だが、心が踊る。

 それでも依然おっかなびっくりなのは変わらず。その手が凛世の鎖骨を下り、ためらいがちに胸に辿り着こうとした時だった。

 凛世の両手が、俺の手を掴んだ。

「あっいや、すまなーー」

 触れてはいけなかったか、俺が咄嗟に謝ろうとするが、

「凛世……?」

 その両手は、俺の手を掴んだまま、凛世自身の胸にぐいと押し当てた。
 手の平になだらかで柔らかい起伏と、さっきよりも熱い体温が伝わる。
 彼女の予想外の行動に俺の手は固まり、押し付けられるままだったが、

「お、おい、凛世……」

 あろうことか彼女はそのまま力を込め、より俺の手と凛世の胸を密着させてきた。
 ぎゅうと圧迫され、手の中で凛世の胸が押し潰される。手から溢れた胸の肉が、指の間で盛り上がる。引っ込めようにも手首を掴まれ逃れられない。
 押し付けられる手にはこれでもかと凛世の胸の感触が伝わる。男なら誰しも垂涎する状況だが、俺はそれよりも凛世の身が心配で、気が気でなかった。

 拘束が数秒続いた後、ようやく凛世が俺の手を解放し、口を開いた。

「凛世は……これほど力を入れても……大丈夫で、ございます……」

 凛世は俺の目を見つめる。あれだけ胸に強く押し当てたのに、痛そうな素振りは見せない。

「見抜かれてたか」
「はい……」

 凛世はこくんと頷く。
 どうやら俺の杞憂はいたずらに彼女の気を遣わせただけだったようだ。
 凛世はですから……と続ける。

「ですから遠慮なさらず……貴方様の、好きなよう……に……触れ……て……」

 そう言いかけて、目をそらし、語気を弱めた。虫の羽音のようにか細くなった凛世の声は、もう何も聞き取れない。
 だけどここまで言われては、俺も応えないといけない。

「分かった、だけど痛かったら言ってくれ」
「あ……きゃっ」

 俺は凛世の両肩を掴み、布団に優しく押し倒した。

「プロデューサー……さま……」

 彼女の瞳が、淡く濡れる。
 不安、緊張、微かな怯え……そして期待。
 凛世の想いが、朱色の水面に全て映されている。

 その朱い瞳、見つめる瞳が、俺の心の箍をそっと外した。

「ん、ちゅ……」

 そして、潤む朱い瞳に吸い込まれるように、気づけば唇を重ねていた。

 柔らかく、薄い唇。
 無抵抗なその唇は容易く俺を受け止め、その形を変える。
 差し出された唇の感触は、俺の思考を凛世で満たし、理性を奪っていく。
 唇と唇が擦れ合うたび、凛世に酔いしれ、貪る口が止まらない。

 もっと、凛世を味わいたい。

 逃すまいと、右手を凛世の頭に添えて、より深く唇を押し付ける。
 対して凛世は口を開き、より密着する面積を広げて応える。
 合わせた唇同士は最早、重ねるというよりも繋がっていると言った方がいいくらいに、深く密着していた。

 吐息、水音、粘膜の生々しい摩擦音。

 彼女の口から漏れ出た吐息も、声も、唾液も、俺の口に吸い込まれる。
 一掬いとて逃すことを許さない。
 俺は右手を頭に添え、唇を合わせたまま、空いた左手を凛世の元へ伸ばした。

 彼女の浴衣、その襟元の中へ。

「んむっ!? ん、む……」

 驚いた凛世が声を上げるが、唇を塞がれた今、その声は口内を震わす雑音に終わる。
 その間も構わず俺は凛世の胸を撫で回す。
 凛世は目を閉じ、眉を寄せて声を震わせる。

 だけど、俺の手は拒まない。

 そのまま手を凛世の胸の上に滑らせ、心地よい感触を楽しむ。
 指先に感じる、凛世の柔肌、絹のような感触を。
 存分に遊んだ後、次にその丘の頂上、柔らかい突起の上に、人差し指をそっと乗せる。

「……っ!」

 ぴくん、凛世の肩が跳ねる。
 そのまま乗せた指をとん、とん、とんとノックする。
 凛世の肩がさらに跳ねる。
 指を沈めたり、つついたり、くにくにと転がしたり。
 耐え切れなかったのか、凛世は唇を離し手で口を押さえ始めた。

「んっ……ふっ…………ふぅ…………」

 押さえた手から、湿った声が漏れる。
 目を瞑り、俺の指を必死で堪える凛世の表情に、嗜虐心がそそられる。

「浴衣、脱がすぞ」
「……………………あ」

 返事を待たず、凛世の浴衣の襟を開いた。
 凛世が何か言いかけたが、俺は聞かないフリをした。

 だって、俺の好きなようにって、凛世が言ったんだもんな。

 乱暴に浴衣を剥き、その白い肌を露わにする。
 綿のような真っ白でなく、微かに朱に染まった、淡い肌色。
 その一方で、両胸の頂は薄桃色に色づいている。

 白、朱、桃色のコントラスト、淡い色の重なり合い。

 一瞬、その肢体に目を奪われた。

 だけどそれは一瞬。
 目の前に馳走を用意された獣に我慢などできるはずもなく、俺は凛世の胸に吸い付いた。

「……っぁ!」

 凛世の喉元から、鋭く甘い声が漏れる。絹を裂くような声、とはまさにこの声だろう。
 頭の片隅でいらぬことを考えている最中も舌は休めず夢中で凛世の胸を貪る。
 舌先で舐めて、擦り、吸いあげる。

 舌で乳首に触れるたび、凛世が声を押し殺すように深く息を吐く。
 感じている声を出させられないか、色んな触り方を試すが、彼女は我慢強く耐える。
 目を瞑り、涙をにじませ、ふー、ふーと息を吐いて声を押し殺す。

 それが益々俺の嗜虐心を刺激するとは知らずに。

「あっ…………貴方さま…………そこは」

 止めない。止まれない。
 凛世の乳首を弄っていた左手をお腹へ、へそへ、鼠蹊部へ……その先、下着の、その下へ滑らせる。
 恥ずかしそうに脚を擦り合わせるが、その程度の抵抗で俺の手の侵攻は止められず、易々と秘所への侵入を許した。

「凛世……」

 もう、湿ってる。
 口に出したが、凛世は答えない。代わりに、何かを訴えるような目で俺を見つめた。

 こんな風にしたのは一体誰だと。

ーーぐちっ

「ああっ!」

 俺も答えない。
 乳首を責めていた舌はそのまま動きを再開し、言葉を返さない。
 何も言わない口の代わりに、その手で答える。

 そうだ、俺だ。

 俺がしたんだ、だけどそれを受け入れたのは凛世だ。
 だからもっと触ってやる、もっと弄って、責め立てて、追いやってやる。

 凛世、凛世、凛世、凛世。

 心の中で名前を呼ぶたび、水音と甘い声が返ってくる。

 凛世、凛世、凛世、凛世、凛世ーー

 気づけば凛世は手を口元から離し、喉を震わせ喘ぎ声を漏らしていた。
 口元が締め切れないのか、よだれが零れる。

 ああ、もったいない。
 胸から口を離し、再度唇を合わせた。
 互いにやり取りするキスでなく、一方的に貪る、捕食のようなキス。
 零したよだれを舐めとる。それだけでは満足できず、舌を吸い、口の中にある唾液すら奪えないかと貪る。
 その間も責める手は止めず、ひたすら手と口で凛世を味わい続けた。

 指先に感じる湿気が確かな水気に変わった頃、凛世の息は荒く、目はぼんやりとしていた。
 上下する胸に刻まれた赤い斑点ーーキスマークが凛世の肌を痛々しく彩る。

「凛世、パンツも脱がすぞ」
「あ…………あ、あ……」

 凛世の下着に手をかける頃には、もう抵抗らしい抵抗は見られなかった。
 下着はそのままスルスルと脚を通り、足首から抜け落ちる。

 荒々しく開かれた浴衣、足首には脱がされた下着、火照った身体に紅潮した肌。
 既に襲われた後と言っても過言ではないほどに乱れた凛世の姿だが、まだ本番はこれからだ。

「凛世、準備はいいか」

 いそいそとゴムを取り付け、形ばかりの確認を取る。
 凛世は俺の目を見つめ、こくんと頷く。
 俺は凛世の腰に自分の


〜そのあと何やかんやあっていい感じに二人ともフィニッシュしました〜



ーー翌朝

「ーーん、朝か」

 まぶたの隙間から朝日が差し込み、微睡みから徐々に目覚める。
 旅先の朝日は何故いつもより眩しく感じるのだろうか、寝ぼけた頭でぼんやり考えていると、

「おはよう、ございます……」

 朱色の瞳が二つ、俺を見つめていた。

「おはよう、凛世。先に起きていたのか」
「はい……目覚めてから貴方さまのお顔を、……ずっと見ておりました」
「あー……もしかして離れられなかったか、重かったか?」

 凛世は俺の腕に頭をちょこんと乗せ、横になっている。
 思えばあのまま凛世を離した記憶が無いな。凛世に苦しい思いをさせてなければいいが……

「いえ……凛世がしたくて、していたことですので……」
「それならいいんだが……そうだ、朝風呂にでも行くか。この天気だ、きっと眺めも良いだろう」
「はい……きっと、見事な……眺めでございましょう」
「よし、そうと決まれば早速準備だ。朝食もあるし、チェックアウトまではのんびりしてられないな」

 俺はさっさと身体を起こし、支度を始める。こういう時の切り替えの早さは仕事柄培われたものだろうか。
 凛世もそれに続いて、てきぱきと支度をする。

「……ふふ」

 ふと、凛世が微笑んだ。
 その微笑に、気づけば手を止め食い入るように見つめる自分がいた。

「……貴方さま? どうか、されたのですか……?」

 俺の視線に気づいたのか、凛世が振り返る。
 落ち着いた声に、起伏の少ない表情。
 それは今まで見てきたいつもの凛世で、別段変わったところは無い。
 だけど……

「なんというか……その」

 さっき見せた笑みは、いつもと違ったような気がしたんだ。
 そんな曖昧な言葉に凛世はくすりと笑う。

「ふふ、それはきっと……」

…………から、でしょう

 そう微笑む凛世の笑みは、いつもよりどこか垢抜けている、そんな気がした。
最終更新:2019年11月20日 00:47