輿水幸子ちゃんとぼくにまつわるとある不幸な事故の話をするね。
ぼくと幸子ちゃんはまだ一線を越えてないけど度々ぼくの家に泊まりに来るようになったときの話なんだけど、いつものように帰る幸子ちゃんを見送ってぼくは自室で幸シコを始めたのね(幸シコ…輿水幸子に対する抑えきれぬ情欲を己が手で発散すること。幸シコには輿水幸子の写真が必要不可欠であり、幸子がなければただのシコ)。
その時の幸シコに使用した素材は二枚重ねティッシュ4枚と自称カワイイ・輿水幸子と自称冬の奇跡・輿水幸子と自称マーメイド・輿水幸子と自称美人の湯・輿水幸子とデレステのMVで幸子をセンターにしたスクショたち。あとついでに昨晩シャワーを浴びた後の幸子の匂いを思い出しながらウッ!幸子ッ!……ふぅ幸子してたのね。
まさか忘れ物を取りに帰った幸子ちゃんに見られてたなんて思いもせずに。
それから数日間、妙によそよそしい幸子にぼくは戸惑ったのよ。だって特別何かしたって自覚ないもの。だけど弱いおつむなりに必死にぼく幸子ちゃんに何かしたかなって考えたら心当たりが多すぎて、何が悪かったかわかんないやって思いつつも、幸子になんかしたなら機を見て謝ろうと考えたのね。仕事にも障るし。
でもそのチャンスは幸子ちゃんの方からやってきた。
とある日にぼくと幸子ちゃんだけとなった事務所でデスクワークを片付けてたぼくの前に幸子ちゃんがやって来て、おずおずと話かけてきたのね。でも妙に歯切れが悪い。
「あの……ふじえるさん……その、なんですけど……」
って感じだから、ぼくが
「どうしたの?」
って聞いたらちょっと顔を赤らめながら
「その、ふじえるさん……家で……ボクで……してましたよね……?」
っていうのよ。
ぼく顔面蒼白。あーここ数日の態度はそれかー。幸子ちゃんを泊めた後に幸シコ30回はしたからそのどれか見られちゃったんだろうなーと思ったけど認めたら自白するようなもんだからしらばっくれたのね。
「い、いいいいいや、ななななn何をか勘違いsつrつしてるか知らんがが、あれはそそそそういう類のそれじゃないzzzzぞ」
って具合に完全に冷静を装った。
でもダメだった。最初の幸シコを見られた後、幸子ちゃんは恋愛面の師匠である佐久間師範から恋愛極意の七つ道具を伝授され、いつの間にかぼくの自室にカメラと盗聴機が仕掛けられてたらしく、ぼくの37回に渡る幸シコの様子を鮮明に写されてたの。37回って。猿かよ。キモ。焦ったぼくはそのカメラを奪おうとするんだけどもうバックアップもクラウドでとってあることを伝えられたの。クラウドすごい。
ぼくが社会人としての生殺与奪を握られもう逆らえないことを知ってからの幸子ちゃんは最初の恥ずかしそうな様子はどこへやら、どんどん強気になっていった。
「ふじえるさんに自制心というものはないんですかぁ?」
「ふじえるさぁん、いくらボクがカワイイからってそんなことにボクの写真を使わないでくださいよ」
「ボクと顔を合わせてる時もそんなことばかり考えてたんですねぇ」
「いつもいつもボクをいやらしい目で見つめてたんですか」
「あっ、否定するんですかぁ?じゃあこれを流されても大丈夫なんですね。ボクの機嫌を損ねるとついうっかり手を滑らせて事務所内にバラまいちゃうかもしれませんよ?」
ぼくの顔からどんどん血の気が引いていく。
「な、なにが目当てだ……ですか……」
「いえ、特に何が欲しいわけじゃありませんが。そうですねえ、ボクを使っていやらしい想像をしてばかりのふじえるさんには躾が必要ですね」
「しつけ……?」
「そうです。今まで散々ボクのことを頭の中で好き勝手したふじえるさんはボクが躾けてあげます。わざわざボクがしてあげるんですから感謝してください?」
「はい……(クッ、こんな幸子にぼくは絶対負けたりなんかしないんだから!)」
というわけでぼくは幸子の命令に従うしかなくなったのよ。
最初は床に四つん這いになって犬の真似をして、幸子の用意した首輪をつけられて室内を散歩させられたりお手したりするのよ。もちろんその間ワン以外言葉を発しちゃダメで、ちょっと動きが鈍ったり命令を破るとすぐ頭を靴でグリグリ踏みつけてくるのよ。ぼくはその間屈辱を感じながらも心の奥底で幸子に隷従する喜びを感じ始めていくわけ。というか最初からご褒美だこれ。
それが幸子ちゃんが満足するまで続けられた。
その後なんだけど、幸子ちゃんも癖になったのか後日しばしばそうした躾けごっこをするようになって事務所はSMクラブという別称をつけられるようになりましたとさ。めでたしめでたし。
最終更新:2016年05月30日 20:20