幸子ちゃんが反撃する話

 まーたいつものように輿水幸子ちゃんとベッドに腰掛けて寝る前のグッドコミュニケーションしてた話をするね。
 その日の夜も幸子ちゃんとなんやかんやしばらく話した後電気常夜灯(なんか前も言った気がするけど寝るとき部屋の電気は真っ暗にしないで常夜灯残す派なのぼく)にして横になったのよ。で、特にナニするでもなく普通に寝る体勢入っちゃったんだけど横になる幸子ちゃんの背中眺めてたら悪戯心(へんか技の優先度が+1される特性のこと)がむくむくと湧いてきてこっそり背中をつつーっと指でなぞったのね。当然幸子ちゃん変な声出てこっちを向こうと身体を転がすんだけど、その隙を逃さず幸子ちゃんに手を回していつものように抱きしめようとしたわけ。
 ところがその日の幸子ちゃんは一味違った。
 ぼくが幸子ちゃんを絡め取るように背中に腕回したとき、幸子ちゃんがぼくの肩に体重を乗せて押し倒し、マウントポジションを取ったのよ。ぼくは一瞬の出来事に呆気にとられて動けないでいたら、幸子ちゃん次は被っていた布団をつかんで二人を包むように覆いかぶせてきた。イメージとしては幻影旅団の車を不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)で包もうとした陰獣の梟みたいな感じ。そんな幸子ちゃんの行動にぼくは未だ臨機応変な咄嗟の対応(社会人として求められる能力である)ができず動けないまま視界が真っ暗になって焦るのよ。真っ暗な中、ぼくは何が来るんだ何されるんだと思ったら、幸子ちゃんに両手で顔をおさえられてキスされたのよ。
 ぼくもう頭ん中ぐるぐるで目もぐるぐる状態。そして布団を被せられ何も見えない真っ暗闇の中、幸子ちゃんが乗っかってる体重の重み(重くないけど)と顔に添えられてる細い手の感触、髪と髪が触れ合う感覚、そして幸子ちゃんの唇の感触だけがぼくの五感を支配してて、まるで外界から遮断され幸子ちゃんとぼくだけが世界にいるような感覚すら覚えた。しかもキスが長い。10秒弱はしたんじゃないかってあたりで、布団の中だったんで息苦しさと暑苦しさに耐え切れず幸子ちゃんが身体を離して布団も元に戻したのね。その間ぼくは180分の恋奴隷(インスタントラヴァー)にかかったのかってくらい呆然としてて、目をぱちくりさせてたら、幸子ちゃんが「ふじえるさん自分から動くときは積極的なのにボクからされるとほんと弱いですね」って笑ってまた横になったの。ぼくは「あ、はい」しか言えずそのまま眠りました。
最終更新:2016年05月30日 20:47