幸子ちゃんがぼくの誕生日を祝う話

 わしの誕生日は7月17日なんやけど今年のカレンダー見たら日曜日だったのね。当然ぼくは大きな案件もないしお休み取るんだけど、祝ってくれる人が誰もいない。家族からお祝いのメールもらったしその前の週に「今度の日曜誕生日なんだ~~~えへへ♥」って周りに言ったらおめでとうってだけもらったからそれなりに嬉しいんだけど、やっぱり当日に誰とも会わないというのはちょっと寂しいよね。(ちなみに誕生日の話をしたら一部のアイドルは遠い目をしだした。とある17歳のアイドルも何故か遠い目をしてた)

 ところが前日の土曜日の夜、幸子ちゃんからLINEで「どうせふじえるさん明日ヒマですよね?買い物に付き合ってください」って来たのよ。幸子ちゃんからのお誘いだからもうめっちゃ喜んだけど、なんか素直に認めるのも癪だったので「や、明日はふじえるくん自宅でお誕生会するんで✋」って返したけど「ヒマですね。明日13時に駅に来てください」って軽く流された。それでもしつこく「じゃあタキシード着て待ってるね///」「目印は胸に差した赤いバラで♥」「花束持ってくるね♪」「明日、大事な話があるんだ……///」って立て続けに送ったけど全部既読スルーされた。かなしい。

 というわけで誕生日当日、幸子ちゃんとのデート会場始発組のふじえるくんは、駅前のマックで六時間の間マフィン1個と水で店内に居座りながら幸子ちゃんを待ち続けたのよ。窓から通りを見ながら「あれは幸子じゃない」「あれも幸子じゃない」「あれは性別だけ幸子」「年齢が幸子」「歩幅が幸子」「瞳孔のカラーコードが幸子」ってノート片手に幸子判定ごっこして幸子ちゃんを待つ時間を潰し続けたら、流石に店員さんに追い出されてしまって途方に暮れるのよ。トホホ……
 仕方ないので駅前のヴァルキュリアドール像前で待ってたらしばらくしたら幸子ちゃんがやって来た。ぼくが駅に来てから6時間52分後、12時57分のことだった。

 幸子ちゃんの買い物に付き合ってる間、ぼくは荷物持ち兼お財布役なのよ。幸子ちゃんが次から次へと試着しては買い、試着しては買いを続け、支払いはぼくのカードで決済するという感じで、どんどんとぼくの財布が死んでいくのね。でも、試着した幸子ちゃんが「フフーン、どうです?どんな服も着こなすボクはカワイイでしょう?これじゃあ一着になんて絞れませんね!」ってぼくに話しかけてくれるからこの程度の出費安いもんよ。(でも幸子ちゃんの試着室に入ろうとしたらいきなりぼくの目の中に親指を突っ込んで殴りぬけてきたのはやりすぎだと思った。仕返しに今度幸子ちゃんが泣くまで犯すのをやめないでおこうと決心した)

 そんなこんなで夜になり、暗くなるしそろそろ幸子ちゃん帰ろうって言ったら、最後にもう一軒だけって幸子ちゃんが粘るのよ。正直これ以上店行かれるとぼくはカウカウファイナンスにお世話になりかねないし止めたいんだけど、幸子ちゃんのおねだりを聞かないわけには行かず渋々ついていくのね。
 幸子ちゃんが向かった先はホテル内にある一軒のおしゃれなレストランだった。待ってくれ幸子ちゃん。そこは危険だ。その予算は俺に効く。やめてくれ。そろそろカウカウファイナンスにお世話になるしかないと考えながら店に入ったら、幸子ちゃん予約してたらしく2人でウェイターに案内されたのよ。
 案内された席には一組の夫婦が座っていた。ぼくはこの二人に見覚えがあったというか、知ってる二人だった。幸子ちゃんのお父さんとお母さんや。アカン(アカン)。
 ガチガチになりながら席に座るとニコニコしながら挨拶していただいたのね。こっちも笑顔で挨拶するけどまさかご両親がいらっしゃるとは思わず内心冷や汗かきながらの挨拶になっちゃうのよ。

「いつもうちの幸子がお世話になっております」
「いえいえこちらこそお世話になっております」
「聞けばプロデューサーさんの誕生日が今日だそうで。ささやかですがいつもの御礼にとこの場を用意させていただきました」
「わざわざありがとうございます」
「フフーン、ボクのサプライズで実現したんですよ!感謝してください!」

 幸子ちゃんは何もしてないでしょ。

 その後は出される料理に舌鼓を打ちながら、幸子ちゃんのご両親と普段の幸子ちゃんについてお話をしつつ、幸子ちゃんを三人して可愛がったり褒めたり自慢したりと楽しい時間を過ごしました。幸子ちゃんはいつもの3倍褒められてめっちゃ嬉しそうでめっちゃカワイかったです。最後にケーキも出て美味しかったです。

 食事が終わって帰宅した後、幸子ちゃんにLINEで
「今日はありがとうね。てっきり幸子ちゃんのことだからカワイイボクをプレゼント❤️とかすると思ってた」
って送ったら
「ボクがそんな恥ずかしいこと言うわけないじゃないですか」
って返されてしょんぼりしてたら
「それに」
「ボクをプレゼントなんて、いつもしてるじゃないですか」
って来たのでその晩は幸シコが捗りすぎて腎虚になりました。(すぐに幸子ちゃん自分の発言の恥ずかしさに削除しようとしたけど残念!LINEは消えないのだ!!一生もののスクショとして保存しました)
最終更新:2016年06月02日 03:20