幸子ちゃんぼくに甘えるときは恥ずかしいからかちょっと控えめなのね。普段あんな自信満々な態度なのにそういう雰囲気になるとちょっと一歩腰が引けちゃうのか積極性に欠けるわけよ。普段の言動の端々から幸子ちゃんの愛の重さが伝わってくるのにそれを表に出さないのはMOTTAINAI!日本人の古き良き美徳を大切にするぼくは、こないだのコミュで幸子ちゃんが魂の叫びをシャウトするきっかけとなったエリンギを輝子ちゃんより調達し、粉末状にしたものを幸子ちゃんの紅茶にこっそり混ぜて飲ませたのね。
そして数分幸子ちゃんの様子を見ながら雑談してたんだけど、いつものようにカワイイボクがカワイイボクがって言うばかりなのよ。あれ?効果無かったかな?って疑った瞬間だった。
「やっぱりボクってカワイイですよねぇ、ふじえるさんもそう思いますよね?いえ、ふじえるさんは絶対に思ってください」
って言いながらぼくの右隣に座ってきたのよ。ん?いつもの幸子ちゃんと同じに聞こえるけどなんかいやしいな?最後の一言がドストレート過ぎない?これは効果が出たかなと思ったら幸子ちゃんの猛攻が始まった。
ソファに乗せたぼくの手に幸子ちゃんが自分の手を重ねて、そのままぼくの手の下に幸子ちゃんの細い指を潜り込ませて手を握るのね。手を握る、というよりは手を捕まえるような、ちょっと一方的な手の握り方なのよ。そんな手の握り方をしながら、幸子ちゃんは語りかけるように話すのね。
「ふじえるさんの手は大きいですね。骨ばって硬くて、でもあったかくて優しい。ボクはこの手で頭を撫でてもらったり、手を繋いだりするのが大好きなんです。ですから、ふじえるさんはボクの頭をどんどん撫でてください」
言われるがまま、握られてない左手で幸子ちゃんの頭を撫でるとぼくの肩に頭をもたれさせてくるのね。肩ごしに幸子ちゃんの頭の重みと体温が伝わってきて、柔らかい髪の感触がぼくの肩をくすぐってきて(あっこれまずいなっ)ってなったけど幸子ちゃんのぼくの手を握る力が強くて全然離せそうにないわけ。ぼくほんと力無いな!そんなぼくをくすりと笑いながら幸子ちゃんは続けるのよ。
「でも、こんな大きい手なのにふじえるさん全然力無いんですよねぇ。今ボクの手をほどこうと力入れましたよね。ボク全然力入れてないのになんでほどけないんですか?力が無いからですか?それとも本当はボクとこうしていたいから、ですか?」
話しながらぼくの右手の甲を細い指先でカリカリとくすぐってくる。ぼくのちんこがスタンバってきた。
「だけどこんな風に頭撫でるときは力入れすぎないように気を使いますよね。ひ弱なふじえるさんが力入れてもボクは全然なんともないと思いますけど、ふじえるさんはボクに優しくしよう優しくしようって考えて撫でてるのが、手つきでわかっちゃいますよ。ふじえるさんもなんだかんだカワイイですよね」
言いながら幸子ちゃんはぼくの身体に体重をかけてもたれてくる。いつの間にかぼくの左手を握っていた幸子ちゃんの手は、ぼくの腕に絡み付くように巻きついていた。蛇が木に登るが如く、宿り木が大樹の幹に根を張るが如く、ぼくの左腕に幸子ちゃんはガッシリしがみついていた。ちんこがだいぶ抑えきれなくなってくる。ヤバイ。
「そのくせボクが今してるように、ふじえるさんがボクを抱き締めるときはちょっと力強くて、強引で。ボク、いつもこの時だけはちょっとドキドキしちゃうんです。ふじえるさんの癖にズルいですよ……」
ズルいのは幸子ちゃんだよ。なんなの。エリンギ一本でこんないやらしくなって。なんなの。ぼくのエリンギもピンチだよ。
幸子ちゃんしばらくぼくの腕にしがみついて肩に頭を擦り付けてたんだけど、ぼくが頭を撫でづらそうにしてるのに気づいた幸子ちゃんが、今度は倒れ込むようにぼくの膝に頭を乗せてきたのね。そしてぼくの脚に顔を埋めながら
「フフーン、ふじえるさんが撫でづらそうだったので膝枕になってあげましたよ。これで思う存分、ボクを撫でてください。撫でて、もっとボクを愛でて……」
って言いながらぼくの脚をやわやわと撫でながらゴロゴロするのよ。ほんとマタタビ食べた猫みたいに幸子ちゃんの暴走が止まらない。
そんな幸子ちゃんの猛アタックを受けて、とうとうぼくの股間の最後の鎖が解かれてしまった。あんなに心の中で股間を鎮める儀式をしてたのにすべて無駄に終わってしまった……。当然ぼくの脚の上に頭を乗せてる幸子ちゃんは気づくよね。ぼくの竜化の塔に気づいた幸子ちゃんはぼくの顔を見てニヤニヤしながら
「あれぇ、ふじえるさん?なんでここがこんなことになっちゃってるんですか?ボクはふじえるさんの膝で寝てただけですよね?ホントにふじえるさんはどうしようもないヘンタイさんですねえ」
って言いながらぼくのジェネシスドラゴンに手を伸ばして掴んできたのよ。アカンっ!もうこれ以上は……と思ったときだった。
ぼくのリヴァイアサンを掴んだ幸子ちゃんがそのまま固まったのね。何が起きた?と幸子ちゃんの顔を見ようとしたら、幸子ちゃんがさっきとはうってかわって目を丸くしながら顔を真っ赤にして
「え、あれ……?ボクはなんでこんな……」
って焦り始めたわけ。あっエリンギの効力が切れたな。
今まで自分がやってきたことに気づいて急いでぼくから離れる幸子ちゃん。焦りながら
「ふ、ふじえるさん!!またボクになにかしたんですか!?ヘンタイ!!」
ってぼくを問い詰めるんだけど知らない。エリンギ茶を振る舞っただけ。知らない。すんだこと。弁明したけど、幸子ちゃんは認めてくれないのね。あれが自分の本心だなんて間違っても言えないもんね。
一通りわたわたした後に幸子ちゃんは顔を俯かせながら
「ううう、あんなことまでやらせて……もうお嫁に行けません……」
って言うもんだから
「じゃあぼくがもらってあげるよ♥」
って返したら
「……っ、ふじえるさんのバカ!!」
って言いながら事務所を走って飛び出して行きました。
後日自宅に幸子ちゃんが来て今度はぼくのお茶にエリンギを仕込まれて大変なことになったのはまた別の話。
最終更新:2016年08月12日 18:13