ネタバレあり。70話まで読んでの評価
作品について
作品プロフ
評価概算
文章の読みやすさ |
問題なし |
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闇の深さ |
闇 |
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中二度 |
中 |
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個性 |
記憶に残る |
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感想・おすすめする人
長所・特徴
この作品の最大の特徴はカーストの最下位である主人公とカースト最上位であるヒロインが様々な面ですれ違いながらも時代の激流に飲み込まれていくところだと思います。
剣としては常識外れの実力を持っていても魔力を女神から与えられなかったために魔力障壁を突破できない主人公はそれでも騎士になることを夢見ます。剣は捨てないが軍略でも非凡の才能を発揮します(宮本武蔵かお前は)。
ところが女神から魔力を与えられなかった「加護なし」という被差別の称号が侮蔑を呼び、認められません。魔力障壁を持つ防具を装備した騎士には勝てず、指揮官としても命令を無視されてばかりです。
そんな中で従軍・指揮した主人公は多くの悲劇を知り、どうして自分は騎士になりたかったのかと原点を顧みることで自分の進むべき道を定めていく流れが非常にドラマチックでした。
一方で最高の魔力を与えられたヒロインはというと主人公と幼馴染の彼女は主人公を何とか騎士団の皆に見直させたいと奮闘しますが、悉く失敗します。
さらに年が経つと団長を任され軍議から意見と合わず、すれ違い、後悔、そして離別してしまいます。
主人公が騎士物語ならば、ヒロインはロマンスの要素が強いです。
筆者は途中から読み込みました。
基本的に剣や魔法で無双する話ではなく、剣が使えないなりに色々なところで頑張る話です。
渡河に水位や天候の条件から作戦を推察したり、魔獣のマッピングで危険度を測るなど細かく描写されています。
短所・不明点
俗に言う「追放系」なのでこれに耐えられない人は厳しいでしょう。
特に主人公の掘り下げが進まないまま差別が連続する最初の十話は個人的にきつかったです。
また作品の性質上、主人公は被差別者であるため一度見直されれば永久に見直されることはありません。
常に迫害や侮蔑がついてまわります。
また敵対種族である「魔族」の扱いについても同様です。
良くも悪くも中世的な時代風景なので現実世界の十字軍遠征時のような異民族や被差別階級への迫害が描かれています。
というか魔族が褐色なのでもろに十字軍のイメージが強いです。そうなると主人公はフリードリヒ二世ですね。
剣一筋だった者がいきなり軍略方面に転向しても有能さを発揮するのは違和感がありました。
現実でも宮本武蔵や徐庶、関羽といった豪傑が軍略にも優れていたということは歴史上ありましたが、一年弱で頭角を表すのは相当な下地がないと不自然な気はします。才能といってしまえばそれまでですが
百の努力を超えるには百と一の努力が必要となる。勉強しているシーンは何度かありましたが剣ばかりを追い求めた描写が多いため部隊長よりも軍略面で優秀さを発揮できる説得力は欲しかったです。
おすすめする人
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大プリニウスの「博物誌」に描かれた架空の怪物。
石化の魔眼を持つ牛のような魔獣。
最終更新:2021年10月03日 04:21