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「コドク箱 裏2」(2007/10/18 (木) 14:06:04) の最新版変更点
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次の日の午前中、詩音が遊びに来た。はろろ~ん。
「あれ、誰も居ないようですね。おかしいですわね、自転車はあるのに」
呼んでもでてこない。雰囲気からして留守のようだ。ただ、二人の自転車は置いてある。
「うーん。どうしたものでしょうね」
なぜか気になる。何となく嫌な予感がする。さて、どうしたものか。
「ここは一つ、確認するしかないでしょう」
呟きながら、詩音はどこからともなく合鍵を取り出した。どうやって用意したかは追及してはいけない。
鍵を開けて入る。トントンと階段を駆け上がる。そして、降りて来る事はなかった。
「あれ、魅ぃちゃん、どうしたのかな。かな?」
夕方。もう日は傾き空は赤から青く黒く夜に染まろうとしている。レナは鍋を自転車の籠に入れて梨花と沙都子の家に向かう途中、魅音に出会った。
「ああ、レナか」
そういうと、ため息をついた。
「何か、あったの?」
自転車を並べて聞いて見る。
「いやー、詩音が午後から遊びに来るといってたのに、中々こなくてねー。午前中に沙都子たちに会いに行ってお昼を作ってくるといっていたけど──何をやってるのやら」
苦笑いを浮かべて魅音は言った。
「レナはどうしたんだい?」
魅音の疑問にレナは、
「うん、ちょっと料理を作りすぎたからおすそ分けに」
と、言った。
「へぇー、愛しの圭ちゃんでなく、沙都子と梨花にねー」
魅音はそう言ってからかう。
「あはははは。圭一くんの家にはとっくに届けてあるよー」
さらりと返された。「……そっ、そう」苦笑いをするしかない。
「でも、どうしたんだろうね?」
レナは首をかしげる。詩音はちゃらんぽらんに見えて義理固いところがある。自分で言った事は守るほうだ。少なくても約束を齟齬にすることはない。
「うん──実は電話したけど出なくてね。それで、ちょっと不安になって見に来たんだ」
声のトーンを落として魅音は言った。
「それ──何かあったんじゃないのかな?」
レナは目を見開いて言った。
「あははは、そんなこと無いって。無いって。まあ、大方どこか遊びに行ってるんだろう。そろそろ帰って来る頃だと思うしね。レナもいるし、ちと狭いけど、みんなで夜通し騒いでも面白いかもね」
一転してにやりと笑う。
「そうだね。圭一くんも呼んで騒ぐのもいいよね」
レナも笑って、同意した。
「おやー、無粋だな、レナは。こういう時は女の子同士で秘密の話を興じるもんでないの? ──それとも、圭ちゃんを夜に呼んでを何をする気なのかな? 圭ちゃんの限界まで絞る気なのかな?」
からかうように魅音は言う。けど、ちょっぴり意地悪も含んでる。レナと圭一は付き合っているわけでないが、この頃微妙な空気が流れてるような気がする。
「そっ、そんなこと無いって。──ただ、みんなと騒ぎたいだけだよ」
もじもじと赤くなって、レナは言う。
「ふんふん、レナは圭ちゃんと夜通し騒ぎたいのか──何をする気なのかな?」
この言葉にレナは「もー、魅ぃちゃん!」と、ぷんぷんして追いかけ、魅音は「あははは、ごめーん」と、逃げる。
そんな平和なひと時だった。
「誰も居ないね」
日はすっかり落ちている。レナと魅音は古手神社奥の沙都子たちが住んでる家に赴いた。誰も居ない。窓から灯りは見えない。人の気配は無い。だが──
「自転車はあるね」
レナはポツリと呟く。
「ああ、詩音のもな」
少しだけ目を細めて、魅音はいった。狭いとはいえ村の中を移動するのに自転車は必須だ。どこに行ったというのだろうか?
「鍵──開いてるよ、魅ぃちゃん」
レナはドアノブをひねって言った。かすかにドアを開く。
「そうだな」
予感がする。何かがあったと。尋常ではないと。
「──とりあえず、上がってみるしかないかな」
少し考えて、魅音はいった。
「……そうだね。上に行って調べてみようよ」
レナも同意する。
ドアを開き、階段を上がる。その日、レナと魅音が家に帰ることは無かった。次の日も。そのまた次の日も帰らなかった……。
「全く、どうしたんだよ、みんな──」
夏休みの登校日。圭一は一人、愚痴をこぼした。教室の雰囲気は暗い。久しぶりに会う級友たちなのに笑顔は無い。
理由は連続鬼隠し事件だ。梨花、沙都子、羽入、詩音、魅音、レナと全員が行方を消した。もう、一週間はたつ。誰も目撃情報は無い。狭い村だ。何かあればあっという間に広まる。だが、それは無い。本当に神隠し──鬼隠しにあったようにするりと消えている。
詩音、魅音、レナは梨花たちの家に行くと言って消えている。実際に家に向かうという目撃情報はあった。だが、その後はぷっつりだ。梨花たちの家は鍵が開いており事件性が強く指摘されている。
村の重要人物ばかりが消えてるだけに警察は力を入れて捜査している。もちろん、村総出で捜索等も行なった。何の手がかりも無い。
この事件の怪奇性はそれだけでない。梨花たちが生活している部屋には布団が敷いてあった。それはいい。だが、玉串や神社で使う府、鈴や榊など神道の小道具が散乱していた。さらに服も──レナ、魅音、詩音が外出時に着用していた服が下着も含めて散乱していたのだ。さらに沙都子のパジャマ。二人分の巫女服もあった。この特異性が事件をますます浮き立たせていた。
これは一体、どういうことなのか。
分からない。分からないから苛立つ。先の捜索には圭一も積極的に参加した。それでも何の手がかりも無い。村中に不安な空気が漂っている。連日、古手神社にはみんなの無事を願う人たちが列を成している。立ち行く家から読経が絶える事は無い。夏だというのに不快で重い空気がのしかかる。
「あーあ」
空を見上げる。憂鬱になるほどすがすがしく青い。
「ほんと、どこに行ったんだよ」
ぼそりと圭一は呟いた。
「行っても、何が分かるとは限らないけどな」
圭一はいつものように梨花たちの家に向かう。誰も居ない。寂しい。今までみんなと楽しく遊んできた。色んな障害もみんなで相談して突破してきた。今の胸のうちにあるのは虚しい穴。ああ、この雛見沢に来て数ヶ月。充実していた。それこそ百年の時を過ごしたかのように。ここに来て分かった。故郷だ。求め足掻いていた。向こうでは手に入らない虚構の現実。すべてはここにあったのだ。
「さみしいよ、まったく……」
部屋に入る。許可は貰っている。誰も居ない。何も感じない。けれど、ぬくもりが残っている。残照がある。ここにみんながいた。そのはずなのだ。どこに行った? どこに消えたのだ?
「ちくしょー。チクショー。さっさと出て来やがれ!」
圭一の絶叫に応えるものが居た。
「かなえてあげましょうか?」
え? というまもなく圭一は消えてしまった。
永遠に循環する。混濁とした意識。すでに感覚は麻痺している。今はいつなのか分からない。いつ食事を取ったのか眠ったのか分からない。けだるくて緩慢。しびれるほど刺激的。そんなときを過ごした。
生暖かい空間。柔らかくてふわふわしている。安らぎに満ちている。そんな気がする。
「ふわぁっ」
沙都子は啼く。すでにどれだけの刺激を与えられたのか分からない。とろとろ溶けて腐り行く。それでも反応してしまう。誰かが舐めて触る。薄くふっくらとしたムネに刺激を与えられる。とがる乳首を舐めると同時に捻られついばまれる。緩慢なときもあればいたぶられる時もある。共通してるのは常にだ。しかも胸だけではない。耳たぶも首筋も頬も二の腕も指先も脇の下もわき腹もへそも背中も鎖骨もお尻も太ももも肘もひざもふくらぎも足の指もかかとも──優しく激しく咀嚼され続けられる。ああ、ここはどこだ? 母の胎内か。似て非なる世界。空間が襲う。誰かがそこにいて誰も居ない。流れる刺激。責めはてる。
「沙都子、可愛いのです」
梨花が寄り添い、キスをする。どこだろう。甘い唇かもしれない。桜色の乳首かもしれない。まだ早熟な秘裂かも知れない。互いにキスをして慰める。全身に快楽は与えられる。優しく激しく緩慢に。理性というものは奪われ刺激に反応する。沙都子は責められて啼く。否、出来ない。なぜなら、
「うふふ、可愛いですわよ」
くちゅりと詩音にキスされたからだ。やわらかな肢体を沙都子に押し付ける。舌をすすりツバを入れてツバを飲む。大きな乳房を含ませて喘ぐ。ああっ。
絡み合う手と足。指と舌。ぬめぬめと溶ける。
「みぃー、沙都子はボクのものなのです」
無理やり梨花は割り込み、沙都子の唇を奪う。チュウチュウと吸い付いていく。歓喜の声を上げる暇は無い。
「うふふ。梨花チャまもかわいいですわ」
つるぺったんな胸に吸い付く。
「ふぅんっ」
平らだが自己主張激しい胸に吸い付き、片方も捻る。強い刺激を絶え間なく送り続ける。
「ダメです! ダメなのです!」
いやいやと梨花は首を振る。
「何がいやですの?」
沙都子の小さな指が梨花の秘裂に向かう。汗か空間の体液か相手のか己の愛液か。すでに分からないほどぬるぬるしている。指を入れれば熱くとろける。沙都子は詩音の胸に吸い付きながら梨花のあそこをいじる。梨花も沙都子にキスしながら指を詩音の濡れそぼる秘裂を責める。尖る芽を弾いたとき、詩音は甲高く啼いた。詩音は梨花にキスの雨を降らせて沙都子のあそこをいじる。ツルツルで心地よい。互いに責めながらも見えない刺激に包まれる。誰かを責めて責められる。絶え間ない快楽は思考を破壊する。己の赴くままに貪り喰らう。ここがどこなのか。何をしているのか。もはや、そういうことは考えない。
「ふわぁっ」
誰かが啼く。沙都子なのか梨花なのか詩音なのか分からない。とろとろと溶けて交じり合っているのだから。もはや個と他の区別はつかない。ぐつぐつに煮えてきている。
ずるいよ。
どちらが言ったのか分からない。レナが言った。魅音も言った。互いに言いながらキスを交え抱きしめる。
「こんなに大きな胸してずるい」
レナはそういいながらフニフニと魅音の大きな胸を揉む。柔らかくて不和付していていつまで触っていても揉んでいても飽きない。
「だっダメだよ」
魅音はうめく。でも、拒絶はしない。むしろ受け入れる。ぎゅっとレナを抱きしめる。深い谷間にレナの顔は埋もれる。
「でも、ずるいのはレナだよ」
レナの顔をかかげ、魅音はいった。
「もう、キスしたんでしょう?」
レナの赤い唇を見て言った。
「しっ、してないよー」
レナは顔を真っ赤にして否定する。
「うそ」
否定する。
「嘘じゃないよ」
さらに顔を真っ赤にしてレナは否定する。
「なら、体に聞いてみる」
キスをする。唇に吸い付き舌をほじくる。とろとろと熱い空間の中でさらに熱い口の中。蹂躙していく。
「もう、あんっ、だから、つぅ、ふぅー、だっ、だめ。なの」
レナを攻め立てる。小ぶりな胸も、尖る乳首を責めていく。じゅるじゅるすすり、ついばむ。レナは柔らかくて暖かい。どこから攻めよう。耳からか首筋か。うん、やはり胸。柔らかく揉んで見る。
「もう、魅ぃちゃんの方が大きいでしょう?」
喘ぎながらもレナは手を伸ばす。魅音の巨乳を掴み弄り回す。
「あぅっ、ちょっと、レナ。痛い。痛いって」
悶えてみるがレナは止まらない。
「うそ。気持ちいいんだよね」
互いにせめて蕩け合う。緩慢な地獄。誰も居ない中、嬌声だけが鳴り響く。
「もー、お姉ぇーたち、何してるんですか」
「私たちも混ぜるのですわよ」
「みぃー。そうです。このふかふかの胸が欲しいのです」
みんなが集まり絡み合う。誰かの舌が誰かのあそこを舐めて行く。誰かの指が誰かのあそこを掴み捻りいじる責める。今上げている声は自分が上げているのか。他人が上げて行くのか。ああ、トロトロに蕩けていく。小さな世界で溶けて崩れていく。そして一つになるのだ。
「一体、どういうつもりなのです?」
羽入だけは饗宴に加わっていない。誰もが取り込まれもがき苦しみ麻痺し堕ちていった。けれでも羽入は正気を保つ。空間が責め立てる。全身を舐めてしゃぶり啜りたてる。それでも耐える。ここで落ちたらみんなが崩れ去るのだから。
「強情ね」
目の前の人物──羽入は言った。いや、それは羽入なのか? 似ている。けれど、違う。巫女服を着ている。黒く染まった巫女服を。紫色の髪をしている。濁りきってはいるが。角はなくお尻に八本の尻尾が生えている。
「あなたは誰なのです?」
羽入の問いかけに、
「わたしはオヤシロ様よ」
と、言った。
「あなたが本物の神だそうね。うふふ。威厳も何も無いわね」
羽入は全裸で宙に浮いている。手足は動かせない。空間に絡められ攻め立てられている。
「さすがは男を知ってるだけに耐えるわね」
くくくと笑う。
「男は嫌いよ。あいつらは女をただのはけ口にしか見ていない。本当はあの子達をわたしの体験したことをなぞらせようとしたの。でも、あんまりにも可哀想だから、やめたわ。せっかくの客人だもの。少しでも楽しまないと損よね。いずれとろりと溶けて一つになるんだもの。ああ、なんて優しいのかしら」
羽入は息を呑む。目の前のオヤシロ様という者の正体が分かった。
「──そうか、お前は?」
あ、確かにオヤシロ様だ。ただし、違う。自分と同じ鬼である。ただし、同じ一族ではない。あれは人間であるのだから。
「ふふっ。ダメよ。言わなくてもいいわ。あなたがどう思うと遅いのよ。私はそうあり続けた。これからもそうあり続ける。この雛見沢の地が望んだことよ。本当はずたずたに引き裂いてもいいの。ほんの気紛れを。痛みは一瞬。壊れるのも一瞬。面白くないわ。けど──あなたは壊してもいいわよね」
オヤシロ様は黒い巫女服を脱ぐ。裸身を晒す。艶と同時に早熟な香りがする。
「あなたはいつ散らしたのかしら? あの子達はいつ散らすのかしら? 好きな人がいるのかしらね? わたしはいつだと思う? どうしてだと思う? そうなったのは誰の所為だとと思う? あなたは分かるのでしょう?」
うねうねと動く八つの尻尾は羽入に絡む。獣毛は蠢き責めたてる。
「優しく? 激しく? どちらがお好み? 神よ。どうして居るのよ! あなたが居るのにどうしてこうなるの? あなたは何をしていた! 何をしようとしていた! ああ、会えて嬉しい。こうやってくびり殺せるのだから」
それはまさに憎しみだ。八つの尻尾は羽入を締めくびり殺そうとしている。獣毛は針のごとき硬さで突き刺さる。血は流れ落ちる。
「あなたはオヤシロ様。わたしもオヤシロ様。殺して入れ替わるわ。それが雛見沢の望みですもの!」
力を込めていく。「ああっ!」甲高く悲鳴を羽入は立てる。オヤシロ様は笑う。高らかに狂う。いや、違う。狂っていた。作り上げられたときからすでに狂っていたのだ。
「さあ、死ね! 死んでしまえ!」
そう宣言した。
「おっと、そうは行かないぜ」
声が響いた。ヒーロー推参である。
「誰だ!」
振り向くと、一人の少年──圭一が立っていた。
「馬鹿な。どうしてここに? 一般のものが入れるんだ? 私は招待してないぞ?」
驚愕する。自分が呼んだ物以外にここに入ることは出来ない。
「理由? 簡単だぜ、それは」
圭一は宣言する。
「なぜなら、俺が前原圭一だからだ! この前原圭一に不可能という文字は無い! 全てを壊し打ち立てるぜ!」
天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ。もえを語れと圭一を呼ぶ!
「おい、レナ、魅音、沙都子、梨花ちゃんに詩音。さっさと目を冷めろよ──まあ、こういうのも嫌いじゃないけどさ。その──間違っているからな」
全裸のみんなに目をそらしながら圭一は言った。
「なんだと?」
オヤシロ様は唸る。見れば分かる。ただの少年だ。だが、護りを抜けて、ここまで来た。ただの少年ではない。
「そもそもだな。全裸で絡むというのが安直なんだ。ヌルヌルは良い。格闘技の試合に厳禁でも、こういうプレイには欠かせない。男と女よりも女同士の方が映える事は認めよう。だが、全裸とは何事だ? 生まれたまんまの姿が美しい? 貴様、歯を食いしばれ! 違うだろ! 安易だ安易だ安易なんだよ! 男はパンツを見たいんではない。パンチラが見たい! パンツだけを見たくない。パンツに包まれた形を見たい。ああ、そうだ! お前のやったのはただ見せてるだけだ。情緒もへったくれも無い! 知ってるか? テレビチャットですぐ脱ぐ女には客がつかない。ああ、簡単に終わって事を済ませるからな。焦らしとチラリズムを馬鹿にするな!」
とうとうと語り始める。唖然とする。こいつはなんなのか? 誰なのか。分からない! けれど、レナたちは圭一に気付かず溶け合っている。
「よし、全員ブルマ着用!」
驚くことが起きた。圭一の叫びと共に全裸で絡み合うレナたちがブルマを着用したのだ。
「ほら、みろ、これこそが萌えだ。濡れて透きとおる体操服の乳首をかんでしごく。ブルマ越しに責め合う。感覚が鈍り、つい力が入ってしまう。そんな嬌声を俺が見たいんだ。裸の穴を突っ込むより、ブルマとショーツをずらした方が良い。絶対だろ、それは? そもそもブルとは女性の復権のシンボルだったんだ。女の自立の象徴だったんだ。それが今では二次元のみに。情けないとは思わないか? いや、スパッツも良いぞ。張り付くお尻はなんとも言えん。だぶだぶズボンも良いな。ジャージは隠れてしまう。だが、それがいい! 隠れて見えないのを責め立てる。脱いで汗にまみれた素肌を拝む。ううん、燃えて来たぞ。よし、次は水着だ! まずはスク水からだな」
今度は全員がスク水姿になった。
「なんだ? どういうことなんだ? 何で、あいつはわたしの中で自由に振舞えるんだ?」
分からない。オヤシロ様には分からない。前原圭一は何者なのか? どうして自由にここをいじれるのか?」
「分からないのですか?」
後ろから声がした。振り向こうとする。それが最後だった。
激しい音に圭一ははっと気がつく。目の前にはあのオヤシロ様は居ない。代わりに知恵先生が立っている。
「大丈夫でしたか、前原君」
いつものサマーワンピースではない。二の腕などに刺青が見える。手には馬鹿でかいパイルバンカーを持っている。
「あなたのおかげで本当に助かりました」
血まみれで倒れる羽入に癒しの光を当てながら知恵先生は言った。
「えっと、それにしても、ここはどこなんです? 何で、あいつはこんなことをしたんです?」
そもそも今も絡み合うレナたちをどうして連れてきたのか。圭一にはさっぱり分からない。
「そうですね──ここはあのオヤシロ様と言っていた者の世界です。そして、あれは──」
知恵先生が言おうとしたとき、
「あれは作られたオヤシロ様なのです」
と、羽入が言った。
「羽入! 大丈夫なのか?」
慌てて、圭一は駆け寄る。羽入は血まみれなのだ。
「ボクは大丈夫です。それより、知恵先生、あいつは──」
はあはあと荒い息をついて、羽入は聞く。
「あれなら消滅しました。転生すら敵わないでしょうね」
知恵先生の言葉に羽入は「……そうですか」と、呟いた。
「んで、あいつはなんだっだ?」
圭一の疑問に、
「オヤシロ様です。ただし、雛見沢の住民が作り上げた虚構の神です」
と、言ったのだ。
「蟲毒と言う術があるのです。元は中国から伝わった外道の術です」
蟲毒──それは呪いの一つで壷の中に毒虫や毒蛙や蛇などをぎゅうぎゅうに入れて土の中に入れる。中のものは共食いを始めて一匹だけが生き残る。その力を利用し、さまざまなことを行なうのだ。人を呪い、内臓から腐り果てたり家自体の断絶。蟲主となって、その力で己の家に金を呼び込んだり(ただし、定期的に生贄を提供しないと喰われてしまう。生贄は人でないといけない)本家中国も蟲毒はさまざまな方法があるが、日本でも独自の発達を遂げていた。
「──昔の雛見沢は鬼の住まう地として近隣から怖れられたのです。独自の掟から他と交流することが少なかったのです。だから、たまに起こる交流が激しい偏見と迫害で迎えられる時期もありました。そんな時に自らを守るために作り上げたのです」
今でこそ偏見と迫害は少ないが(とにかく表向きは)かつては、その地に住まう地域ごと区別(差別)していた時期は確かにあったのだ。「一体、どういう呪法です。ほぼ、自分の世界を構築していて、かなりの力の持ち主ですよ」
知恵先生もかなりの力を持つ。並みの術者など比べ物にならない。まして、戦いに特化した術者だ。異端を断罪し、代行し続けてきた。それでも、このオヤシロ様には手を焼いた。少なくても正面からでは戦うのはかなりの厄介だった。幸いにして前原圭一の力を借りて、何とかできたのだが。
「──あまり、言いたくないのです。これを作り上げるのには、それこそ目をそむける所業の数々の果てですから」
羽入が言いよどむのも無理は無い。まさに悪魔の所業と言うか正気では行なえぬ法だった。
簡単に言うとただの蟲毒ではない。虫や蛙。蛇などだけではなく、犬や猫、狐──さらには赤子まで使用していた。貧しき村で次々と生まれる赤子はただの邪魔として始末する場合もあった。さらに近親相姦で奇形の場合も。これらをいくつかの壷で育てたコドクに掛け合わせ純度を高めていった。これはこの雛見沢に生まれた業ではなく他から伝わった秘伝秘術と言われる。
あまりの呪いの強さに持て余し封印し忘れ去ろうとしたモノだった。
だが、沙都子があの日、カラクリ箱を開けたことで封印が解けた。少しずつ現実に侵蝕し呪い己の世界に引き込んでいった。蟲毒は互いを貪り合い箱の中で一つにしかなれない。ある意味で沙都子たちは幸運だった。場合によってはすぐさまにドロリと腐りはてる場合もあるのだ。高められた純度ゆえ、持ち主はある種の正気があったからだ。だが、いずれは溶けて贄となるのだが。
「それにしても、どうやって、あいつの術を解いたのです。圭一は何をしたのです」
羽入は疑問を口にした。ここはあいつのうちの中。いわば主のようなものだ。だが、圭一は暴れ叩き潰した。どうやって?
「ああ、それは簡単ですよ。前原くんの妄想──ではなく、仲間を思う力を利用したのです」
呪いを破る一番の方法は単純である。上まわればいいのだ。鈍感な人は呪いにかかりにくい。呪いを信じず吹き飛ばしてしまうからだ。
不安な予兆から人は怯える。つけこまれる。圭一は何も知らなかった。さらに激しい妄想というか口が達者というか相手を引き込むと言うか、そういうものを持っている。全てをぶち壊してでも突き進む強い心を育ててきたからだ。
「……はあ、なんとも凄いのです」
もう、あきれるしかない。知恵先生は圭一のある方向に特化した強い意志で相手の世界を侵蝕させ隙をつくり叩き壊したと言うことなのだろう。
「ははっ。とにもかくにも解決だな。おーい、いつまでやってんだ? そろそろ帰るぞ」
からからと圭一は笑い、いまだ絡み合うレナたちに声をかける。
「あっ、圭一君だ」
「──圭ちゃん?」
「あらら、圭ちゃんですね」
「圭一さんですか」
「みぃ、圭一、見つけたのです」
うつろな目でにじり寄ってくる。
「えっ?」
うろたえる。
「こらまて、正気に戻れ。と言うかズボンに手をかけるな、お尻触るな、破ける引っぱるな、服っ、服っ、あっ、あー。ていうか、知恵先生、羽入。見ていないで助けろー!」
圭一はレナたちに絡まり飲み込まれていった。あてられいまだ正気でない彼女たちは理性と言うたがを外し圭一にのしかかる。キスをして、あらゆるところを舐めてしゃぶり、己へと導く。
「あらあら激しいですわね」
知恵先生は目をぱちくりとする。
「あぅあぅ、エッチ過ぎるのです」
羽入もおろおろとする。
「でも、どうしましょう?」
主は消えた。けど、世界は崩壊しない。
「……たぶん、残り香があるのです。みんなの中に変質して蔓延してるのです」
と、羽入は答えた。
「んー、そうなると彼女達を満足させるまで消えないわね」
少し考えて、知恵先生は言った。
「──そうなると思います」
羽入も答えた。
「と言うわけで前原くん。みんなを満足させてあげてね。そうすれば出られるから。大丈夫。後のことは何とかしておきますから」
にっこりと微笑んで、知恵先生は言った。
「ああっ、まって。まって。置いて行かないで。あっ、こら、そんな所舐めるな。うわっ、これは──ええい、もうやけだ。みんなまとめて面倒見てやる!」
といって、自ら飛び込んでいった。まず、レナにキスをした。魅音と詩音は圭一の乳首を舐め、沙都子と梨花は怒張する男根を舐めている。脳髄がとろとろに溶けそうだが気をしっかり張って挑む事にした。
誰もがうらやむ修羅のヘブンへと飛び込んだのだった。
次の日、古手神社の境内でみんなが発見された。満足そうに寝ていた。さまざまな着崩れた衣装に身を包み、全身に白くこびりつけたものをつけて発見された。圭一は全裸だった。その後、どうなったかについてはご想像に任せることとしよう。
おわり
-[[コドク箱 裏]]
次の日の午前中、詩音が遊びに来た。はろろ~ん。
「あれ、誰も居ないようですね。おかしいですわね、自転車はあるのに」
呼んでもでてこない。雰囲気からして留守のようだ。ただ、二人の自転車は置いてある。
「うーん。どうしたものでしょうね」
なぜか気になる。何となく嫌な予感がする。さて、どうしたものか。
「ここは一つ、確認するしかないでしょう」
呟きながら、詩音はどこからともなく合鍵を取り出した。どうやって用意したかは追及してはいけない。
鍵を開けて入る。トントンと階段を駆け上がる。そして、降りて来る事はなかった。
「あれ、魅ぃちゃん、どうしたのかな。かな?」
夕方。もう日は傾き空は赤から青く黒く夜に染まろうとしている。レナは鍋を自転車の籠に入れて梨花と沙都子の家に向かう途中、魅音に出会った。
「ああ、レナか」
そういうと、ため息をついた。
「何か、あったの?」
自転車を並べて聞いて見る。
「いやー、詩音が午後から遊びに来るといってたのに、中々こなくてねー。午前中に沙都子たちに会いに行ってお昼を作ってくるといっていたけど──何をやってるのやら」
苦笑いを浮かべて魅音は言った。
「レナはどうしたんだい?」
魅音の疑問にレナは、
「うん、ちょっと料理を作りすぎたからおすそ分けに」
と、言った。
「へぇー、愛しの圭ちゃんでなく、沙都子と梨花にねー」
魅音はそう言ってからかう。
「あはははは。圭一くんの家にはとっくに届けてあるよー」
さらりと返された。「……そっ、そう」苦笑いをするしかない。
「でも、どうしたんだろうね?」
レナは首をかしげる。詩音はちゃらんぽらんに見えて義理固いところがある。自分で言った事は守るほうだ。少なくても約束を齟齬にすることはない。
「うん──実は電話したけど出なくてね。それで、ちょっと不安になって見に来たんだ」
声のトーンを落として魅音は言った。
「それ──何かあったんじゃないのかな?」
レナは目を見開いて言った。
「あははは、そんなこと無いって。無いって。まあ、大方どこか遊びに行ってるんだろう。そろそろ帰って来る頃だと思うしね。レナもいるし、ちと狭いけど、みんなで夜通し騒いでも面白いかもね」
一転してにやりと笑う。
「そうだね。圭一くんも呼んで騒ぐのもいいよね」
レナも笑って、同意した。
「おやー、無粋だな、レナは。こういう時は女の子同士で秘密の話を興じるもんでないの? ──それとも、圭ちゃんを夜に呼んでを何をする気なのかな? 圭ちゃんの限界まで絞る気なのかな?」
からかうように魅音は言う。けど、ちょっぴり意地悪も含んでる。レナと圭一は付き合っているわけでないが、この頃微妙な空気が流れてるような気がする。
「そっ、そんなこと無いって。──ただ、みんなと騒ぎたいだけだよ」
もじもじと赤くなって、レナは言う。
「ふんふん、レナは圭ちゃんと夜通し騒ぎたいのか──何をする気なのかな?」
この言葉にレナは「もー、魅ぃちゃん!」と、ぷんぷんして追いかけ、魅音は「あははは、ごめーん」と、逃げる。
そんな平和なひと時だった。
「誰も居ないね」
日はすっかり落ちている。レナと魅音は古手神社奥の沙都子たちが住んでる家に赴いた。誰も居ない。窓から灯りは見えない。人の気配は無い。だが──
「自転車はあるね」
レナはポツリと呟く。
「ああ、詩音のもな」
少しだけ目を細めて、魅音はいった。狭いとはいえ村の中を移動するのに自転車は必須だ。どこに行ったというのだろうか?
「鍵──開いてるよ、魅ぃちゃん」
レナはドアノブをひねって言った。かすかにドアを開く。
「そうだな」
予感がする。何かがあったと。尋常ではないと。
「──とりあえず、上がってみるしかないかな」
少し考えて、魅音はいった。
「……そうだね。上に行って調べてみようよ」
レナも同意する。
ドアを開き、階段を上がる。その日、レナと魅音が家に帰ることは無かった。次の日も。そのまた次の日も帰らなかった……。
「全く、どうしたんだよ、みんな──」
夏休みの登校日。圭一は一人、愚痴をこぼした。教室の雰囲気は暗い。久しぶりに会う級友たちなのに笑顔は無い。
理由は連続鬼隠し事件だ。梨花、沙都子、羽入、詩音、魅音、レナと全員が行方を消した。もう、一週間はたつ。誰も目撃情報は無い。狭い村だ。何かあればあっという間に広まる。だが、それは無い。本当に神隠し──鬼隠しにあったようにするりと消えている。
詩音、魅音、レナは梨花たちの家に行くと言って消えている。実際に家に向かうという目撃情報はあった。だが、その後はぷっつりだ。梨花たちの家は鍵が開いており事件性が強く指摘されている。
村の重要人物ばかりが消えてるだけに警察は力を入れて捜査している。もちろん、村総出で捜索等も行なった。何の手がかりも無い。
この事件の怪奇性はそれだけでない。梨花たちが生活している部屋には布団が敷いてあった。それはいい。だが、玉串や神社で使う府、鈴や榊など神道の小道具が散乱していた。さらに服も──レナ、魅音、詩音が外出時に着用していた服が下着も含めて散乱していたのだ。さらに沙都子のパジャマ。二人分の巫女服もあった。この特異性が事件をますます浮き立たせていた。
これは一体、どういうことなのか。
分からない。分からないから苛立つ。先の捜索には圭一も積極的に参加した。それでも何の手がかりも無い。村中に不安な空気が漂っている。連日、古手神社にはみんなの無事を願う人たちが列を成している。立ち行く家から読経が絶える事は無い。夏だというのに不快で重い空気がのしかかる。
「あーあ」
空を見上げる。憂鬱になるほどすがすがしく青い。
「ほんと、どこに行ったんだよ」
ぼそりと圭一は呟いた。
「行っても、何が分かるとは限らないけどな」
圭一はいつものように梨花たちの家に向かう。誰も居ない。寂しい。今までみんなと楽しく遊んできた。色んな障害もみんなで相談して突破してきた。今の胸のうちにあるのは虚しい穴。ああ、この雛見沢に来て数ヶ月。充実していた。それこそ百年の時を過ごしたかのように。ここに来て分かった。故郷だ。求め足掻いていた。向こうでは手に入らない虚構の現実。すべてはここにあったのだ。
「さみしいよ、まったく……」
部屋に入る。許可は貰っている。誰も居ない。何も感じない。けれど、ぬくもりが残っている。残照がある。ここにみんながいた。そのはずなのだ。どこに行った? どこに消えたのだ?
「ちくしょー。チクショー。さっさと出て来やがれ!」
圭一の絶叫に応えるものが居た。
「かなえてあげましょうか?」
え? というまもなく圭一は消えてしまった。
永遠に循環する。混濁とした意識。すでに感覚は麻痺している。今はいつなのか分からない。いつ食事を取ったのか眠ったのか分からない。けだるくて緩慢。しびれるほど刺激的。そんなときを過ごした。
生暖かい空間。柔らかくてふわふわしている。安らぎに満ちている。そんな気がする。
「ふわぁっ」
沙都子は啼く。すでにどれだけの刺激を与えられたのか分からない。とろとろ溶けて腐り行く。それでも反応してしまう。誰かが舐めて触る。薄くふっくらとしたムネに刺激を与えられる。とがる乳首を舐めると同時に捻られついばまれる。緩慢なときもあればいたぶられる時もある。共通してるのは常にだ。しかも胸だけではない。耳たぶも首筋も頬も二の腕も指先も脇の下もわき腹もへそも背中も鎖骨もお尻も太ももも肘もひざもふくらぎも足の指もかかとも──優しく激しく咀嚼され続けられる。ああ、ここはどこだ? 母の胎内か。似て非なる世界。空間が襲う。誰かがそこにいて誰も居ない。流れる刺激。責めはてる。
「沙都子、可愛いのです」
梨花が寄り添い、キスをする。どこだろう。甘い唇かもしれない。桜色の乳首かもしれない。まだ早熟な秘裂かも知れない。互いにキスをして慰める。全身に快楽は与えられる。優しく激しく緩慢に。理性というものは奪われ刺激に反応する。沙都子は責められて啼く。否、出来ない。なぜなら、
「うふふ、可愛いですわよ」
くちゅりと詩音にキスされたからだ。やわらかな肢体を沙都子に押し付ける。舌をすすりツバを入れてツバを飲む。大きな乳房を含ませて喘ぐ。ああっ。
絡み合う手と足。指と舌。ぬめぬめと溶ける。
「みぃー、沙都子はボクのものなのです」
無理やり梨花は割り込み、沙都子の唇を奪う。チュウチュウと吸い付いていく。歓喜の声を上げる暇は無い。
「うふふ。梨花チャまもかわいいですわ」
つるぺったんな胸に吸い付く。
「ふぅんっ」
平らだが自己主張激しい胸に吸い付き、片方も捻る。強い刺激を絶え間なく送り続ける。
「ダメです! ダメなのです!」
いやいやと梨花は首を振る。
「何がいやですの?」
沙都子の小さな指が梨花の秘裂に向かう。汗か空間の体液か相手のか己の愛液か。すでに分からないほどぬるぬるしている。指を入れれば熱くとろける。沙都子は詩音の胸に吸い付きながら梨花のあそこをいじる。梨花も沙都子にキスしながら指を詩音の濡れそぼる秘裂を責める。尖る芽を弾いたとき、詩音は甲高く啼いた。詩音は梨花にキスの雨を降らせて沙都子のあそこをいじる。ツルツルで心地よい。互いに責めながらも見えない刺激に包まれる。誰かを責めて責められる。絶え間ない快楽は思考を破壊する。己の赴くままに貪り喰らう。ここがどこなのか。何をしているのか。もはや、そういうことは考えない。
「ふわぁっ」
誰かが啼く。沙都子なのか梨花なのか詩音なのか分からない。とろとろと溶けて交じり合っているのだから。もはや個と他の区別はつかない。ぐつぐつに煮えてきている。
ずるいよ。
どちらが言ったのか分からない。レナが言った。魅音も言った。互いに言いながらキスを交え抱きしめる。
「こんなに大きな胸してずるい」
レナはそういいながらフニフニと魅音の大きな胸を揉む。柔らかくて不和付していていつまで触っていても揉んでいても飽きない。
「だっダメだよ」
魅音はうめく。でも、拒絶はしない。むしろ受け入れる。ぎゅっとレナを抱きしめる。深い谷間にレナの顔は埋もれる。
「でも、ずるいのはレナだよ」
レナの顔をかかげ、魅音はいった。
「もう、キスしたんでしょう?」
レナの赤い唇を見て言った。
「しっ、してないよー」
レナは顔を真っ赤にして否定する。
「うそ」
否定する。
「嘘じゃないよ」
さらに顔を真っ赤にしてレナは否定する。
「なら、体に聞いてみる」
キスをする。唇に吸い付き舌をほじくる。とろとろと熱い空間の中でさらに熱い口の中。蹂躙していく。
「もう、あんっ、だから、つぅ、ふぅー、だっ、だめ。なの」
レナを攻め立てる。小ぶりな胸も、尖る乳首を責めていく。じゅるじゅるすすり、ついばむ。レナは柔らかくて暖かい。どこから攻めよう。耳からか首筋か。うん、やはり胸。柔らかく揉んで見る。
「もう、魅ぃちゃんの方が大きいでしょう?」
喘ぎながらもレナは手を伸ばす。魅音の巨乳を掴み弄り回す。
「あぅっ、ちょっと、レナ。痛い。痛いって」
悶えてみるがレナは止まらない。
「うそ。気持ちいいんだよね」
互いにせめて蕩け合う。緩慢な地獄。誰も居ない中、嬌声だけが鳴り響く。
「もー、お姉ぇーたち、何してるんですか」
「私たちも混ぜるのですわよ」
「みぃー。そうです。このふかふかの胸が欲しいのです」
みんなが集まり絡み合う。誰かの舌が誰かのあそこを舐めて行く。誰かの指が誰かのあそこを掴み捻りいじる責める。今上げている声は自分が上げているのか。他人が上げて行くのか。ああ、トロトロに蕩けていく。小さな世界で溶けて崩れていく。そして一つになるのだ。
「一体、どういうつもりなのです?」
羽入だけは饗宴に加わっていない。誰もが取り込まれもがき苦しみ麻痺し堕ちていった。けれでも羽入は正気を保つ。空間が責め立てる。全身を舐めてしゃぶり啜りたてる。それでも耐える。ここで落ちたらみんなが崩れ去るのだから。
「強情ね」
目の前の人物──羽入は言った。いや、それは羽入なのか? 似ている。けれど、違う。巫女服を着ている。黒く染まった巫女服を。紫色の髪をしている。濁りきってはいるが。角はなくお尻に八本の尻尾が生えている。
「あなたは誰なのです?」
羽入の問いかけに、
「わたしは&italic(){オヤシロ様}よ」
と、言った。
「あなたが本物の神だそうね。うふふ。威厳も何も無いわね」
羽入は全裸で宙に浮いている。手足は動かせない。空間に絡められ攻め立てられている。
「さすがは男を知ってるだけに耐えるわね」
くくくと笑う。
「男は嫌いよ。あいつらは女をただのはけ口にしか見ていない。本当はあの子達をわたしの体験したことをなぞらせようとしたの。でも、あんまりにも可哀想だから、やめたわ。せっかくの客人だもの。少しでも楽しまないと損よね。いずれとろりと溶けて一つになるんだもの。ああ、なんて優しいのかしら」
羽入は息を呑む。目の前の&italic(){オヤシロ様}という者の正体が分かった。
「──そうか、お前は?」
あ、確かに&italic(){オヤシロ様}だ。ただし、違う。自分と同じ鬼である。ただし、同じ一族ではない。あれは人間であるのだから。
「ふふっ。ダメよ。言わなくてもいいわ。あなたがどう思うと遅いのよ。私はそうあり続けた。これからもそうあり続ける。この雛見沢の地が望んだことよ。本当はずたずたに引き裂いてもいいの。ほんの気紛れを。痛みは一瞬。壊れるのも一瞬。面白くないわ。けど──あなたは壊してもいいわよね」
&italic(){オヤシロ様}は黒い巫女服を脱ぐ。裸身を晒す。艶と同時に早熟な香りがする。
「あなたはいつ散らしたのかしら? あの子達はいつ散らすのかしら? 好きな人がいるのかしらね? わたしはいつだと思う? どうしてだと思う? そうなったのは誰の所為だとと思う? あなたは分かるのでしょう?」
うねうねと動く八つの尻尾は羽入に絡む。獣毛は蠢き責めたてる。
「優しく? 激しく? どちらがお好み? 神よ。どうして居るのよ! あなたが居るのにどうしてこうなるの? あなたは何をしていた! 何をしようとしていた! ああ、会えて嬉しい。こうやってくびり殺せるのだから」
それはまさに憎しみだ。八つの尻尾は羽入を締めくびり殺そうとしている。獣毛は針のごとき硬さで突き刺さる。血は流れ落ちる。
「あなたはオヤシロ様。わたしも&italic(){オヤシロ様}。殺して入れ替わるわ。それが雛見沢の望みですもの!」
力を込めていく。「ああっ!」甲高く悲鳴を羽入は立てる。&italic(){オヤシロ様}は笑う。高らかに狂う。いや、違う。狂っていた。作り上げられたときからすでに狂っていたのだ。
「さあ、死ね! 死んでしまえ!」
そう宣言した。
「おっと、そうは行かないぜ」
声が響いた。ヒーロー推参である。
「誰だ!」
振り向くと、一人の少年──圭一が立っていた。
「馬鹿な。どうしてここに? 一般のものが入れるんだ? 私は招待してないぞ?」
驚愕する。自分が呼んだ物以外にここに入ることは出来ない。
「理由? 簡単だぜ、それは」
圭一は宣言する。
「なぜなら、俺が前原圭一だからだ! この前原圭一に不可能という文字は無い! 全てを壊し打ち立てるぜ!」
天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ。もえを語れと圭一を呼ぶ!
「おい、レナ、魅音、沙都子、梨花ちゃんに詩音。さっさと目を冷めろよ──まあ、こういうのも嫌いじゃないけどさ。その──間違っているからな」
全裸のみんなに目をそらしながら圭一は言った。
「なんだと?」
&italic(){オヤシロ様}は唸る。見れば分かる。ただの少年だ。だが、護りを抜けて、ここまで来た。ただの少年ではない。
「そもそもだな。全裸で絡むというのが安直なんだ。ヌルヌルは良い。格闘技の試合に厳禁でも、こういうプレイには欠かせない。男と女よりも女同士の方が映える事は認めよう。だが、全裸とは何事だ? 生まれたまんまの姿が美しい? 貴様、歯を食いしばれ! 違うだろ! 安易だ安易だ安易なんだよ! 男はパンツを見たいんではない。パンチラが見たい! パンツだけを見たくない。パンツに包まれた形を見たい。ああ、そうだ! お前のやったのはただ見せてるだけだ。情緒もへったくれも無い! 知ってるか? テレビチャットですぐ脱ぐ女には客がつかない。ああ、簡単に終わって事を済ませるからな。焦らしとチラリズムを馬鹿にするな!」
とうとうと語り始める。唖然とする。こいつはなんなのか? 誰なのか。分からない! けれど、レナたちは圭一に気付かず溶け合っている。
「よし、全員ブルマ着用!」
驚くことが起きた。圭一の叫びと共に全裸で絡み合うレナたちがブルマを着用したのだ。
「ほら、みろ、これこそが萌えだ。濡れて透きとおる体操服の乳首をかんでしごく。ブルマ越しに責め合う。感覚が鈍り、つい力が入ってしまう。そんな嬌声を俺が見たいんだ。裸の穴を突っ込むより、ブルマとショーツをずらした方が良い。絶対だろ、それは? そもそもブルとは女性の復権のシンボルだったんだ。女の自立の象徴だったんだ。それが今では二次元のみに。情けないとは思わないか? いや、スパッツも良いぞ。張り付くお尻はなんとも言えん。だぶだぶズボンも良いな。ジャージは隠れてしまう。だが、それがいい! 隠れて見えないのを責め立てる。脱いで汗にまみれた素肌を拝む。ううん、燃えて来たぞ。よし、次は水着だ! まずはスク水からだな」
今度は全員がスク水姿になった。
「なんだ? どういうことなんだ? 何で、あいつはわたしの中で自由に振舞えるんだ?」
分からない。&italic(){オヤシロ様}には分からない。前原圭一は何者なのか? どうして自由にここをいじれるのか?」
「分からないのですか?」
後ろから声がした。振り向こうとする。それが最後だった。
激しい音に圭一ははっと気がつく。目の前にはあのオヤシロ様は居ない。代わりに知恵先生が立っている。
「大丈夫でしたか、前原君」
いつものサマーワンピースではない。二の腕などに刺青が見える。手には馬鹿でかいパイルバンカーを持っている。
「あなたのおかげで本当に助かりました」
血まみれで倒れる羽入に癒しの光を当てながら知恵先生は言った。
「えっと、それにしても、ここはどこなんです? 何で、あいつはこんなことをしたんです?」
そもそも今も絡み合うレナたちをどうして連れてきたのか。圭一にはさっぱり分からない。
「そうですね──ここはあの&italic(){オヤシロ様}と言っていた者の世界です。そして、あれは──」
知恵先生が言おうとしたとき、
「あれは作られた&italic(){オヤシロ様}なのです」
と、羽入が言った。
「羽入! 大丈夫なのか?」
慌てて、圭一は駆け寄る。羽入は血まみれなのだ。
「ボクは大丈夫です。それより、知恵先生、あいつは──」
はあはあと荒い息をついて、羽入は聞く。
「あれなら消滅しました。転生すら敵わないでしょうね」
知恵先生の言葉に羽入は「……そうですか」と、呟いた。
「んで、あいつはなんだっだ?」
圭一の疑問に、
「&italic(){オヤシロ様}です。ただし、雛見沢の住民が作り上げた虚構の神です」
と、言ったのだ。
「蟲毒と言う術があるのです。元は中国から伝わった外道の術です」
蟲毒──それは呪いの一つで壷の中に毒虫や毒蛙や蛇などをぎゅうぎゅうに入れて土の中に入れる。中のものは共食いを始めて一匹だけが生き残る。その力を利用し、さまざまなことを行なうのだ。人を呪い、内臓から腐り果てたり家自体の断絶。蟲主となって、その力で己の家に金を呼び込んだり(ただし、定期的に生贄を提供しないと喰われてしまう。生贄は人でないといけない)本家中国も蟲毒はさまざまな方法があるが、日本でも独自の発達を遂げていた。
「──昔の雛見沢は鬼の住まう地として近隣から怖れられたのです。独自の掟から他と交流することが少なかったのです。だから、たまに起こる交流が激しい偏見と迫害で迎えられる時期もありました。そんな時に自らを守るために作り上げたのです」
今でこそ偏見と迫害は少ないが(とにかく表向きは)かつては、その地に住まう地域ごと区別(差別)していた時期は確かにあったのだ。「一体、どういう呪法です。ほぼ、自分の世界を構築していて、かなりの力の持ち主ですよ」
知恵先生もかなりの力を持つ。並みの術者など比べ物にならない。まして、戦いに特化した術者だ。異端を断罪し、代行し続けてきた。それでも、この&italic(){オヤシロ様}には手を焼いた。少なくても正面からでは戦うのはかなりの厄介だった。幸いにして前原圭一の力を借りて、何とかできたのだが。
「──あまり、言いたくないのです。これを作り上げるのには、それこそ目をそむける所業の数々の果てですから」
羽入が言いよどむのも無理は無い。まさに悪魔の所業と言うか正気では行なえぬ法だった。
簡単に言うとただの蟲毒ではない。虫や蛙。蛇などだけではなく、犬や猫、狐──さらには赤子まで使用していた。貧しき村で次々と生まれる赤子はただの邪魔として始末する場合もあった。さらに近親相姦で奇形の場合も。これらをいくつかの壷で育てたコドクに掛け合わせ純度を高めていった。これはこの雛見沢に生まれた業ではなく他から伝わった秘伝秘術と言われる。
あまりの呪いの強さに持て余し封印し忘れ去ろうとしたモノだった。
だが、沙都子があの日、カラクリ箱を開けたことで封印が解けた。少しずつ現実に侵蝕し呪い己の世界に引き込んでいった。蟲毒は互いを貪り合い箱の中で一つにしかなれない。ある意味で沙都子たちは幸運だった。場合によってはすぐさまにドロリと腐りはてる場合もあるのだ。高められた純度ゆえ、持ち主はある種の正気があったからだ。だが、いずれは溶けて贄となるのだが。
「それにしても、どうやって、あいつの術を解いたのです。圭一は何をしたのです」
羽入は疑問を口にした。ここはあいつのうちの中。いわば主のようなものだ。だが、圭一は暴れ叩き潰した。どうやって?
「ああ、それは簡単ですよ。前原くんの妄想──ではなく、仲間を思う力を利用したのです」
呪いを破る一番の方法は単純である。上まわればいいのだ。鈍感な人は呪いにかかりにくい。呪いを信じず吹き飛ばしてしまうからだ。
不安な予兆から人は怯える。つけこまれる。圭一は何も知らなかった。さらに激しい妄想というか口が達者というか相手を引き込むと言うか、そういうものを持っている。全てをぶち壊してでも突き進む強い心を育ててきたからだ。
「……はあ、なんとも凄いのです」
もう、あきれるしかない。知恵先生は圭一のある方向に特化した強い意志で相手の世界を侵蝕させ隙をつくり叩き壊したと言うことなのだろう。
「ははっ。とにもかくにも解決だな。おーい、いつまでやってんだ? そろそろ帰るぞ」
からからと圭一は笑い、いまだ絡み合うレナたちに声をかける。
「あっ、圭一君だ」
「──圭ちゃん?」
「あらら、圭ちゃんですね」
「圭一さんですか」
「みぃ、圭一、見つけたのです」
うつろな目でにじり寄ってくる。
「えっ?」
うろたえる。
「こらまて、正気に戻れ。と言うかズボンに手をかけるな、お尻触るな、破ける引っぱるな、服っ、服っ、あっ、あー。ていうか、知恵先生、羽入。見ていないで助けろー!」
圭一はレナたちに絡まり飲み込まれていった。あてられいまだ正気でない彼女たちは理性と言うたがを外し圭一にのしかかる。キスをして、あらゆるところを舐めてしゃぶり、己へと導く。
「あらあら激しいですわね」
知恵先生は目をぱちくりとする。
「あぅあぅ、エッチ過ぎるのです」
羽入もおろおろとする。
「でも、どうしましょう?」
主は消えた。けど、世界は崩壊しない。
「……たぶん、残り香があるのです。みんなの中に変質して蔓延してるのです」
と、羽入は答えた。
「んー、そうなると彼女達を満足させるまで消えないわね」
少し考えて、知恵先生は言った。
「──そうなると思います」
羽入も答えた。
「と言うわけで前原くん。みんなを満足させてあげてね。そうすれば出られるから。大丈夫。後のことは何とかしておきますから」
にっこりと微笑んで、知恵先生は言った。
「ああっ、まって。まって。置いて行かないで。あっ、こら、そんな所舐めるな。うわっ、これは──ええい、もうやけだ。みんなまとめて面倒見てやる!」
といって、自ら飛び込んでいった。まず、レナにキスをした。魅音と詩音は圭一の乳首を舐め、沙都子と梨花は怒張する男根を舐めている。脳髄がとろとろに溶けそうだが気をしっかり張って挑む事にした。
誰もがうらやむ修羅のヘブンへと飛び込んだのだった。
次の日、古手神社の境内でみんなが発見された。満足そうに寝ていた。さまざまな着崩れた衣装に身を包み、全身に白くこびりつけたものをつけて発見された。圭一は全裸だった。その後、どうなったかについてはご想像に任せることとしよう。
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おわり
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