…いつからだろう。
この胸がずきずきとした痛みを訴えるようになったのは。
…いつからだろう。
些細な事で、安らぎを感じるようになったのは。
気がつけば、私の中心にはあなたが居た。
けれど、あなたの中心には誰が居るの?
尋ねようとする度に、いくじのない私が表へ出てくる。
すっかり臆病になってしまった私をみて、貴女は笑うかしら?
それとも…。
……引き当てたのは、小さくてとても大きなきっかけ。
その日のゲームはクラス全体で行うようになって恒例のくじ引きで罰ゲームが決定するものだった。
一人、また一人と脱落者が生まれるたび、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。
下級生は過激な罰ゲームを平気でくじのなかに混ぜ込んでくる。
女子はさすがに懲りるという事をしっているためか、罰ゲームの内容はおとなしくなる傾向があるが
男子は負けず嫌いな事が災いして次こそはとやや過激な罰ゲームが組まれることが多い。
大体は自分で引いて自爆しているようだが。
そして、私も何とか部活メンバー相手に善戦をしていたが、ここに来てとうとう罰ゲームの対象者に
なってしまった。
こうなってしまってはあきらめてくじを引くしかない。
自分の書いたものは自分に被害が無く、且つ相手に絶大なダメージを与えるようなものを選ぶ。
それが基本的な鉄則。
ただし、それを引き当てられるとは限らないのだ。
覚悟を決めて一枚の紙を引き抜く。
中身があらかじめ見えないようにすべておなじ四つ折にしてある紙を開いていく…。
『好きな人に口付けをする』
内容はもちろん公開しなければいけない。
しかし、公開しつつも何度も文章を読み返してみる。
そして、見つけなければいい一文を見つけてしまう。
『注:唇に。ディープに』
ビシッ
まるで空間が凍りついたような気がする。
足元から冷気が全身に絡み付いて体温を奪われていくような錯覚。
この文字を見るからには魅音の気がする。
おそらくは圭一か自分が罰ゲームになったらこれを引いて、
不可抗力という事で関係を進めてしまおうという作戦のように思える。
前回のデートで味を占めたのかもしれない。
「さーて、梨花ちゃん、その様子だとかなりごっつい罰ゲームを引いた見たいだねぇ
くっくっく…、さあて。どんな中身なのか、発表してもらうよ!」
あ、と思うまもなく魅音が中身を確認する。ニヤリ、と笑みを浮かべて内容を読み上げる。
狼狽する私が冷静になる間もない。
「あー。これは梨花ちゃんにはちょーっとはやいかもねぇ。
じゃあ、引きなおしってこと…「やりますです」」
引き直しをさせようとする魅音にきっぱりとした口調で割り込む。
周りからみれば、顔は真っ赤になっているかもしれない。
「え…でも…いいのかな?」
「…これはボクが引いた罰ゲームなのです。
ボクだけ特別扱いで引き直しをするわけにはいかないのです」
そう、これは罰ゲームなのだ。自分に言い聞かせる。
私はすぐに一人の人物の顔を思い浮かべる。
この罰ゲームをするなら…。
圭一しか居ない。
単純な消去法だ。
同世代のクラスメイトは真っ先に消去。
そういうことをするならもともとの部活メンバーがいい。
レナはお持ち帰りされてしまいそうなので却下。
魅音はこの手のことには弱そうだし却下。
沙都子は…受け入れてくれるかもしれないけれど
「親友」でありそういう対象に見たくない。
だから残るは圭一なのだ。
それに魅音がこんな手を使おうとしていたのはなんだかとても腹立たしかった。
自分でもなんでこんなに腹立たしいのかわからないけれど。
どきどきする心臓を押さえるようにして一度周囲を確かめて圭一の位置を確認する。
『これからキスをする』
そんな事を考えるとまともに顔を見られなくてすぐに視線は足元へ落ちてしまう。
一歩、足を踏み出すたびに緊張は高まっていく。
そして、圭一がここに居ることを確かめるように視線を上げて、にぱーと笑みを浮かべ…。
「え…、梨花ちゃ…」
「これは、ボクのファーストキスなのですよ…。だから、責任、取って欲しいのです」
小さく言えば、圭一に飛びつくように唇を重ねる。
魅音が後ろで「あーっ!あーっ!」などわめいている気がするけれど気にしない事にする。
心臓が早鐘を打っていてとても恥ずかしいけれど魅音にはむしろ見せ付けてやろうと、
そんなことすら考えてしまう。
どのくらいの時間の経過が過ぎ去ったのか、わからないくらいの間の後。
私はゆっくりと圭一の唇から離れる。
そして、目の前の圭一の顔を見る。
驚きと、困惑がありありと浮かぶ表情。
はっ、として全身がまた、冷気に包まれていく。
こんなことをして、圭一に嫌われたらどうしよう。
いや、圭一の事だ。
嫌うことはしないだろうけれど、今までのように馬鹿を言い合えないかもしれない。
そんなことになったら、と思うと体が震える。
熱が引いていくのと同時に、胸の痛みと、恐怖がどんどんわきあがっていく。
「り、梨花ちゃん…」
呆然とした圭一の呟きが、さらに体を寒くしていく…。
そして、私はこの場から…逃げ出した…。
梨花ちゃんが走り出していった背中を、俺はしばらく呆然と見送るしかなかった。
普段の梨花ちゃんなら冗談だという一言もいってにぱーって笑って。
そして狼狽する姿を見る。そう思っていた。
でも、今日の反応はまるで違った。ということは少なくても冗談…は入っていたかもしれないけれど
それだけではないということ。
頭が冷えて冷静になってくると梨花ちゃんを放っておくわけには行かないと、教室を飛び出していく。
正直どんな顔をして応えればいいか俺にはわからない。
けれど、あのまま放っておくのはもっと拙い。
梨花ちゃんならこんなとき、どこに行く?
考えろ、今の梨花ちゃんの行動を…。
いつもの冗談で済ませなかったのだから、
……圭一…
耳に残る声…、どこかで聞いたことがあるような…。
だけど、以前はこの声に導かれて梨花ちゃんを見つけた。
今度も…そんな気がする…と声に導かれるように走っていく。
体育館裏の水のみ場。
俺が今から向かう先にはそれがある。
「梨花ちゃん!」
水のみ場のところでうずくまっていた梨花ちゃんを見つけたところで、
俺は思わず声をかけてしまった。
驚いたような、悲しそうな、そんな表情で俺を見て…、また逃げようとしている!?
させるわけには行かない、と梨花ちゃんにしがみついて体を抑える。
細い体を抑えるも、意外とある力で振りほどこうとされてしまう。
「梨花ちゃん、落ち着いてくれ」
「いや、離して、圭一っ」
どうしてこんなに必死でつかもうとしているのか。
ここで梨花ちゃんを離したらどこかに行ってしまいそうで俺も必死で抱きしめる。
ええっと、こんな風に暴れているときってどうすれば…
……キスでもしてあげればおとなしくなりますです。
また、頭の中に声が響くような気がする。
このまま梨花ちゃんの体力が尽きるのをまつ余裕もなく。
反射的に、抱きしめた梨花ちゃんの唇を奪う。
途端にびくん、と体が震えたのがわかった。
少しずつ落ち着いてきたのか力が抜けるのを感じた俺は、
ゆっくりと梨花ちゃんから離れる。
「…梨花ちゃん」
梨花ちゃんの顔は涙でぬれていて、そして纏う空気が変わっている事に気が付く。
「…圭一、おかしいわよね。
今まで、ずっと生きてきて、こんなことは無かったのに。
いつもみたいに、笑おうとしたら怖くなって…。
もし、圭一になんとも思われてなかったらって、それを確かめてしまうみたいで。
自業自得なのに…」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、梨花ちゃんの告白を聞いていく。
今まで気が付かなかった、いや、気が付こうとしていなかった心を聞いて、
自分の心にも気が付く。
「ごめんなさい。圭一。
こんな形で気持ちを押し付けて。
ごめんなさい、ごめんなさい…」
逃げるのをやめた代わりに涙をこぼす梨花ちゃんの体をゆっくりと抱きしめる。
梨花ちゃんも逆らわず、ゆっくりと抱き返してくる。
「…寧ろ謝るべきは俺のほうだと思う。
誰かを選ぶことを無意識に避けてきたと思う。
きっと、誰かを選んでしまったら、もう、戻れないから…」
「…圭一、多分、それは圭一の本心じゃない。
ただ、私が今、自分で勝手に暴走して、思いを打ち明けて、同情的になっているだけ。
圭一には魅音もいる、沙都子やレナもいる。
だから…だから…」
梨花ちゃんがゆるく首をふる。
でも、その体は震えている。体温を分けるように抱きしめたまま。
腕の中のこの少女を幸せにする。
「俺は、梨花ちゃんが一番好きだ。
レナも沙都子も、魅音も好きだけど、一番は梨花ちゃんなんだ。
これはうそじゃない、信じて欲しい…」
他の皆には残酷に突き立てられる刃となりえる、選ぶ、という事。
「…圭一、わ、私…、私…」
体の振るえが大きくなっている。
しかし、離れようとせずにぎゅぅっと力を込めて抱きしめてくる。
「ごめんなさい、圭一。
私、あなたにとてもひどい事を言わせたのに。
それなのに、嬉しくて…」
梨花ちゃん顔の顔がこちらを向く。
「圭一、愛しています。こんなにひどい私を受け入れてくれますか?」
俺はその問いかけに口付けで応えた。
「け、圭ちゃーん…」
びくっ!
二人が驚いたように声のした方をみる。
夢中で気がついていなかったが、やや離れたところにクラスメイトが勢ぞろいしていた。
昼ドラも真っ青な場面を全員に目撃された事になる。
血の気が引くとはまさにこの事か。
梨花ちゃんと慌てて距離をとるも、目の前には魅音、レナ、沙都子の三人…。
まず、レナの音速の一撃がほほを思いっきりひっぱたき、
魅音の平手が反対側の頬を倍加した威力でひっぱたかれ、
止めに沙都子の三段盥が頭を直撃する。
「圭一っ!?」
片手で梨花ちゃんを制止する。
激痛にもがいている俺に冷たい瞳をしたレナが…。
「…ね、レナの言ったとおりだったでしょ…?」
そのレナの瞳がやさしくなる。
「まさか、ここまで露骨な展開になるとは思いませんでしたわ」
「へ…?」
きょとん、としている梨花ちゃんと俺。
「いやー。熱かったねぇ。おじさんは半信半疑だったけどね。
おじさん振られちゃったか…」
「…どういう…ことなのです?」
ふふふ、とレナが笑いながら。
「梨花ちゃんと圭一くんに素直になってもらう作戦だったんだよ。
ここ何日かの二人を見てたらね。レナ気がついちゃった」
「ただ、私たちも圭一さんが好きでしたし。
諦めるにしてもきっかけが必要でしたわ」
「だから、一計を案じて二人にくっついてもらおう、って事だね。
おじさんたちを振った代償はでっかいよ~?
後で、エンジェルモートフルコースをご馳走してもらうからね!」
頬と、頭がずきずきと痛むが、レナたちの行動に目を点にしている俺たち。
ここで俺が殴られるのは仕方がないとも思ったが…。
「いいのか?」
少し、まじめな口調で問いを三人に向ける。
「もしも、二人が素直になったらこうしようって三人で決めてたからね」
レナが代表して口を開く。
沙都子も、魅音も同意するように頷き。
「と、言うわけで二人には誓いの言葉を述べてもらおうかね!」
「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!」
顔が沸騰したのがわかった。
この、クラス全員の前で言うのか!?
いわなくちゃいけないのか!?
そう思って狼狽しているところに、梨花ちゃんが俺の手を握ってくる。
顔が、真っ赤になっているがこれは俺も変わらないだろう。
「あの、圭一…。ボクは、圭一のことをあ…愛して…います、です。
これからも、側に居てくれますか?」
…梨花ちゃんは覚悟を決めたらしい。
ここで覚悟を決めなきゃ男じゃない!
「…俺も、えーと、その、なんだ。
梨花ちゃんの事、あ…あ…愛してる。
ずっと、幸せにするために側にいる」
「それじゃ、誓いのキスをしてくださいませ!」
「「なっ!?」」
俺と梨花ちゃんの声が重なる。
お互いの顔を見合わせてさらに赤くなる。
「あーら、先ほどは情熱的な口付けを交わしていたでは在りませんの。
さきほどとなんら変わりはありませんでしてよ」
にやにやとした視線を感じる。ええい、ままよ!
なかばやけくそ気味に梨花ちゃんを抱き寄せ、そのまま唇を重ねる。
ぎゅっと抱きしめあう俺たちに、クラスの皆の歓声が上がった…。 皆の前での告白とお互いの気持ちを確かめ合ったその日の夕方、
俺と梨花ちゃんは古手神社の高台まで来ていた。
家は正反対だが、「送っていって」と言われたのは、
ゆっくり二人きりになれるようにレナたちが気を使ってくれたのだろう。
沙都子は悟史が静養している北条の実家へと帰っている。
「……圭一、本当によかったの?」
梨花ちゃんが俺を見上げて問いかけてくる。
帰り道は二人とも話さず、重い沈黙、というわけでもなく。
一緒に居るだけでも良い、そんな空気だった。
「何がだ?梨花ちゃん?」
「…その、私を選んで…。
レナや魅音みたいにスタイルがいい訳じゃないし…」
視線を合わせられないのか、ふらふらと視線がさまよい、
夕日でより顔が赤くなっているように見える梨花ちゃんに笑ってやる。
「魅力なんて体型だけじゃないだろ。
それに、俺が一番好きになったのが梨花ちゃんだった。
それでいいだろ?」
「~~~~」
赤くなって何か言おうとしているが、いえない。
そんな顔も愛しいと思う。
「…それなら、圭一…。
スタイルが関係ないのなら…、今、抱いて…」
囁く様に漏れた言葉に、今度は俺が固まる。
梨花ちゃんの瞳は明らかに期待が込められている。
「私も、好きな人に抱かれたい。
私が今ここで生きていて、続いている事を証明して欲しい…」
梨花ちゃんが胸の中に抱きついてくる。
肩に手を置くと震えているのがわかった。
「わかった。
じゃあ、梨花ちゃんの部屋が近いし、梨花ちゃんのへ…」
「っ!? それはいやっ、いやいやいやっだめだめだめだめっ!!
私の部屋、片付けてないし散らかったままだしっ…」
真っ赤になってぶんぶんとものすごい勢いで否定された。
「じゃあ、どこで…」
「…このまま、じゃ…だめ…?
今日は集会もないし、誰か来る予定もないからここでしても、誰も気がつかないわ」
そう言って梨花ちゃんは俺から離れると、服を脱ぎ始めた。
圭一が、私を一番に選んでくれたこと。
現実感が薄いまま、一緒に古手の神社まで来た。
ここに来ても圭一が消えてくれないということはこれは幻でもなんでもなく、
現実なんだろう。
嬉しいと思う反面。どうして、とも考えてしまう。
だから、つい、圭一には意地悪な質問をしてしまう。
圭一が期待通りの答えをしてくれると、安心が体に満ちていく。
慌てたのは圭一が私の部屋で、と答えたこと。
今まではそれほど気にしていなかったのに、
圭一のことを気にし始めたら、とたんに恥ずかしくなった。
だから、必死で否定して…。ここですべてを晒し始めた。
とても、とても恥ずかしいけれど。
全部をあなたのものにして欲しくて。
全部であなたを感じたくて…
「梨花…ちゃん…」
梨花ちゃんが胸をはだけていく。
緊張しているからか、何度も失敗しながらはずしていく。
前のボタンを外しきったところで、俺は梨花ちゃんの手をつかんだ。
「圭一…?」
はだけた服から梨花ちゃんの肌が覗く。
ブラは付けていないようだった。
「梨花ちゃんの気持ちはわかったからな。
任せっぱなし、ってはしたくない」
手をつかんだときは震えていて、頬を朱に染めていて。
そんな梨花ちゃんの体を引き寄せながら肌蹴た胸へと口付けを落とした。
「ひゃっ…」
びくっ、っと梨花ちゃんが腕の中でやや、大げさに反応する。
「大丈夫か…?」
「…うん、大丈夫…。ちょっとびっくりしただけ…。
だけど、たっていられるかわからないから…」
梨花ちゃんは茂みに仰向けになるように座り込む。
「…来て…圭一…もっと、圭一を感じたい…」
俺は梨花ちゃんの上に覆いかぶさるような格好で近づいて、唇を重ねる。
唇を重ねるだけじゃなく、梨花ちゃんの口の中へと舌を差し入れていく。
最初はびくっとして驚いていたようにしていたけれど、すぐに舌を返すように絡めあう。
梨花ちゃんの指が俺の服をはだけようとしているのがわかったのでそのまま肌蹴させていく。
肌に直に触れてくる梨花ちゃんの指が気持ちがいい。
お互いに肌の感触を確かめるように指をゆっくりと這わせていく。
鏡合わせのようにお互いの肌の感触を指で感じ、お互いの肌で指の感触を感じていく。
高まる鼓動にあわせるように肌を撫でるほどに興奮は高まっていく。
「…ふぁ…圭一の指が…気持ちいい…」
「梨花ちゃんの指も気持ち良いぜ」
お互いに服を脱がせるために肌を触れ合わせながら、
俺は梨花ちゃんのショーツを、梨花ちゃんは俺のズボンを手にかけ、脱がせていく…。
「「あ…」」
声が上がるのも同時。
俺は梨花ちゃんのショーツがかなりの湿り気を帯びていることに、
梨花ちゃんは俺のが、大きく固くなっていることに、
驚きの声を上げた。
「圭一…すごく、大きい…」
「梨花ちゃんが綺麗だからな。
梨花ちゃんこそ、すごく濡れてるぜ…」
「……だって、圭一に触られてるだけで…、その、すごく、気持ちが良くて…」
真っ赤になってもじもじとしている梨花ちゃんのそこへ手を伸ばす。
「あ…圭一の指っ…ひゃぅっ…」
触れただけで、くちゅり、と水音が聞こえた。
調子に乗って、柔らかな下の唇を指でゆっくりと開かせていく。
胸よりもずっと熱くなって、湿り気を帯びているその場所を指でほぐしていくほどに、
梨花ちゃんの瞳が潤み、呼吸が荒くなっていくのがわかる。
私は壊れてしまったのだろうか。
「圭一ぃ…はぁっ…指だけじゃ…もっと、もっと触って欲しい…」
熱で浮かされたような頭は圭一に触って欲しい、ということだけが浮かぶ。
圭一に触られるたびに体に何かが駆け巡り、もっと欲しくなってしまう。
「ぁ…、そんな…圭一…」
首筋に圭一の口付けが落ちるほどぞくっと背中に走ると同時に敏感なところへの刺激。
それだけで、頭が真っ白になっていく。
勝手に腰が震える。
はしたない声が口から漏れる。
でも、それをとめる気はない。
私がこんなに圭一に触られて嬉しいんだって伝えたいから、
「圭一にも、お返し…」
圭一の首筋へ舌を這わせて舐めていく。
驚いたような圭一の顔。
「……ふふっ、え、あ、きゃぅっ…ふぁぁぁぁっ!?」
してやったり、と笑みを浮かべたところでもっと大きな衝撃が訪れて、大きな声が上がる。
わけがわからなくなっているところに、胸に濡れた感覚が訪れる。
びくびくと体が震えているところに胸までされて、
ただ、声を上げるしかなくなってしまう。
それでも、圭一と離れたくない、という思いから、圭一の頭を腕で抱きこむようにしてしまう。
このままだと何もわからなく…。「あっ、ふぁっひゃぁぁぁぁぁっ!?」
ひときわ大きな嬌声が梨花ちゃんの口から漏れた。
はっとして我に返る。
梨花ちゃんの体にのめりこんでいて、かなり遠慮なく指を動かしていたかもしれない。
腕の中でぐったりとしている梨花ちゃんから慌てて離れようとしところで以外に強い力で引き寄せられた。
「梨花ちゃん、大丈夫か…?」
梨花ちゃんはこくこく、と頷きながら荒くなっている息を整えようとしている。
もしかして、これがイッたというやつなんだろうか。
「は…圭一、このまま、最後まで…ぁ…」
耳元で梨花ちゃんが囁いてくる。
俺のはすでにかたく、どうしようもなくなってる。
「梨花ちゃん、痛いだろうけど、我慢してくれよ」
「ええ、圭一のためなら、どんな痛みでも耐えてみせる…」
ここで引く、という選択肢はもう残っていない。
覚悟を決めればそのまま先ほどの愛撫で開ききっている梨花ちゃんのソコへ、俺のものを宛がい…。
ずるっ…
「あ、あれ…」「ふぁっ…」
すっかりと肉棒は硬くなっているのにすべる。
二度、三度と繰り返しても同じ。
だんだんと気が焦ってきたところで唇にぬくもりが伝わる。
「圭一…。落ち着いて。
私も、圭一と結ばれたくてたまらないけど、我慢するから…」
その一言で深呼吸をひとつ。
改めて梨花ちゃんの顔を見れば梨花ちゃんの自然な笑みがこぼれた。
今度は、としっかりと場所を確認してから、梨花ちゃんの中へと進んでいく。
「うっ…ぐっ…ぃっ…」
ぎゅぅっと歯を食いしばって、中もぎゅぅっと締め付けられて、それでもその中に突き進むようにしていく。
これ以上進まない、というところまで進んだところで腰の動きを止めた。
はぁ。はぁ。と二人とも大きく息をする。
涙目になっているけれど、笑みを浮かべている梨花ちゃん。
梨花ちゃんの腕の力がこもり、口付けを求めてくるように感じる。
唇へ軽く口付けをして、そして互いに舌を伸ばし、求め合う。
「圭一…、圭一ので満たされてるのがわかる…」
「梨花ちゃん、梨花ちゃんが包み込んできてる」
薄暗くなってきているところでよくはわからないけれど、おそらく赤いのだろう。
色のついた液体がおれのの隙間から零れ落ちていく。
梨花ちゃんの中をうがつ心地よさに我慢できずに腰を抜き差しを始めていく。
「ふぁっ…ぁ…圭一…、動いていいの…私で気持ちよくなって欲しい…」
「梨花ちゃん、ごめん、我慢できない」
梨花ちゃんを押し倒すような格好のまま、腰が動き始める。
始めはできるだけゆっくりと思っていたけれど、すぐにとまらなくなる。
「あっ…圭一、何っ、頭、しびれっ…」
狭くてきついはずなのに絡み付いてくるような錯覚。
もっともっと求めている、と思えば思うほどに未成熟なはずの体を十分に味わいたくなる。
「梨花ちゃんっ」
「圭一っ…圭一っ」
どんどん、獣のように梨花ちゃんの体を求め始めていく。
梨花ちゃんも最初こそ痛がるような様子を見ていたけれど…。
「圭一の、中っ強くこすられてっ、おかしくなるっ。
圭一に満たされて、圭一だけのものになるのっ…」
梨花ちゃんを全部自分の色に染めたいとおもう。
そのためにこみ上げていくるものを我慢することは今の俺には考えることはできない。
「も、もう我慢できないっ…梨花ちゃん…くぉぉぉっ!!」
「圭一っ、お願い、全部全部おねがいっ…。圭一だけのものにしてっ!!」
こらえ切れなかった物を梨花ちゃんのなかへ思いっきり精を注ぎ込む。
びくびくっ、と全身を大きく震わせて強く俺に抱きついてきた後、ぐったりと全身の力が抜けていく。
「梨花…ちゃん…大丈夫か…?」
抱きついてはいるものの、息も荒く動かない梨花ちゃんへと心配をして声をかける。
顔を上げてにこり、と笑みを浮かべた梨花ちゃんの表情にほっとする。
「はぁ…はぁ…圭一…暖かい…」
半分ぬげた服と触れ合う肌と。
梨花ちゃんはまだつながったまま俺の胸に顔を埋める。
ここに自分が居る、という事を主張するように俺も梨花ちゃんのことを抱きしめていく。
梨花ちゃんの体の柔らかさを感じていたら、また…。
「ふぁっ…け、圭一…まだ…」
満足していないの?というように見上げてくる視線。
「本当に圭一はけだものになっちゃったのですね」
それでも、いや、と言われることはなく。そのまま身を任せてくれる。
その晩、二人ともくたくたになるまで思う存分に求めあった…。
…翌日。
「…何なのですか、これは…」
「なんなんだ、これは…」
お昼。みんなでいつものように机をくっつけてさあ、食事、というところで出てきたのはお赤飯の山。
お赤飯だけだと食べにくいことを考慮してか比較的水気の多い煮物が別についている。
二人で結ばれた、ということは事実としてあったがあまりにもタイミングがいいので思考がとまる。
「圭一くんと梨花ちゃんが結ばれたお祝いだよ?」
「いや、それにしたって…」
早すぎだろう。と。確かに昨日、お互いの気持ちを確かめ合ったが、ソコから先に進むなんて…。
…三人の視線がどこか、にやにやしている気がする。
どうやら梨花ちゃんも同じものを感じているようだ。
「へっへっへ…実はねぇ…、圭ちゃんと梨花ちゃんがしっかり昨日やっちゃってるの知ってるんだよ。
いやー、熱いねぇ…」
ぼんっ、と擬音が聞こえた気がする、俺も梨花ちゃんもおそらくは真っ赤だ。
「「な、な、な…」」
「野良仕事の帰りに古手神社に寄った人が居たらしいんだよ。
そこでばっちり見ちゃったんだって。
…ちなみに、このことはもう、村のみんなの連絡網で行き渡ってるんだよ」
「「(くちをパクパクさせている)」」
「おーほっほ、ちなみに、今頃古手神社では盛大にお祝いの準備開始してますわー!
そうそう、梨花、梨花今は一人暮らしですし、いっそのことこのまま圭一さんの家にご厄介になっては如何ですの?
朝はおはようからお弁当を作ってあげて夜はひとつのベッドできっと寝かせてもらえませんわよー」
「……圭一と…、いいかも…」
ぼっと頬をくれないに染めたままだが、梨花ちゃんが何気に乗り気な気がする。
…いや、朝からエプロンと制服の組み合わせで起こしに着てくれる梨花ちゃんはとんでもなく魅力的なんだが。
なんとなくお互いに視線が絡み合って…。
がんがん!!
空から落下してきた盥が仲良く俺たちの脳天を直撃する。
「ちょ、ちょっとお二人とも。
からかったのにそこでお惚気始めないでくださいまし!
まったく、こっちが恥ずかしくなりますわ…」
笑いが広がる。
おそらく古手神社では今頃大騒ぎだろう。
「はいはい、ただ、未成年なんですから、お付き合いは節度を持ってくださいね。
前原さん、ヤりたい盛りでしょうから無理には止めませんけれど、
避妊はちゃんとするんですよ。
古手さんにこの年で子供を生ませるわけには行きませんからね」
その言葉に、また赤くなる。
……今日、家に帰ったら自分の服を何着か纏めよう。
そして、圭一の家に押しかけてやるんだ。
圭一の両親はびっくりするだろうか。
圭一の父には歓迎されそうな気がする。
圭一の母には苦笑いされつつも受け入れてくれる気がする。
圭一が自立したときに、圭一と一緒にまた神社の母屋に住もう。
お母さんの思い出が辛いけれど、あの家も両親が私に残してくれたものだ。
私の目の前には未来がある。
時には暗く、辛く、さびしい闇がおとずれるかもしれない。
でも、きっと、私はもう大丈夫。
すぐ隣にまぶしいくらいの赤い炎があるのだから。
最終更新:2007年04月03日 22:43