鬼ヶ淵村以来の旧家、雛見沢御三家の一つ。
本家筋は古手神社の神職を担う。
近代までは絶大な力を持っていたが、昭和に入った頃には戦争等の影響で分家筋はことごとく絶え、勢力は減退の一途を辿る。
昭和末期には本家も幼い女の子の頭首一人を残して断絶寸前となっていた。
しかし平成に入ってすぐに状況は一変する。
同じ御三家の園崎家の尽力により、某県を通る高速道路から鹿骨市近辺に伸びる交通路が整備され、更に雛見沢の自然が評価されたことや温泉が発掘されたことで同地が一大観光地に躍進。
そしてこの頃頭首と結婚、古手家に婿養子として迎えられた
新しい頭首の発案により、古手神社が祀る「オヤシロさま」は恋が成就する「縁結びの神様」として大々的にアピールされた。
何故か角の生えた少女を意匠した絵を描いたお守りは、男性層を中心に毎年かなりの売り上げを誇るという。
尚、そのご利益を一番に享受したのが他でもない古手家頭首夫妻であるとも喧伝されている。
二人は口を揃えて、「私たちが結ばれたのはオヤシロさまのお導き」と公言。
更に古手家頭首夫妻と長年の腐れ縁といわれる園崎家頭首も、「ありゃオヤシロさまのご利益としか思えないわ。ご利益なかったら今頃圭ちゃん(古手家頭首への愛称)は古手家頭首じゃなくてウチの婿だったのにさ」などと酒の席等で言っているという。
結婚以来十年以上経っても、二人は村有数のおしどり夫婦と評判で、未だに御三家親族の会合の場などで惚気ることも珍しくない。
そんな時の古手家頭首夫人の口癖が、「百年一緒にいても飽きないのよ」である。
夫妻はこれまでに二男三女を儲け、更に六人目も近いのではと噂されている。
このため、古手家は断絶どころか、平成の大合併後の首長公選制導入で世襲制が廃れたことにより衰退した公由家を凌いで、勢力を大きく回復するに至った。
将来は分祀を行い、分家によってオヤシロさまを祀る新たな神社の建立も構想されているという。
今年十歳となる長女は、三十歳を超えたために巫女を引退する母親に代わって、村最大の祭典、綿流し祭で初めての奉納演舞に挑む。
彼女は、何故か両親からは「私達よりオヤシロさまに似てる」と言われているという。
最終更新:2008年05月08日 18:24