「ひ…あぁあっ…けえちゃ…んぅうっ…や、やめ…」
甘ったるい喘ぎ声が鼓膜を刺す。俺は構わず魅音の胸をわし掴んで揉みしだいた。
「ああっ…や、だめだってそれ…」
「駄目?駄目って何が?」
「だ、だからぁっ…あんっ…」
俺の両手で、魅音の白く大きな胸が、ふにゅふにゅと柔らかく形を変える。
そしと魅音はその度に甘ったるい声を漏らし、震える。
「もう…!やだって、それ…」
魅音は潤んだ瞳できっと俺を睨む。けれどそこにはいつもの鋭い眼光は無い。
あるのは頬を火照らせて眉根を寄せた、羞恥と快感に翻弄された表情のみだ。
「ちゃ、ちゃんと…子作りしてくれるって言ったでしょ!?」
そう苦しげに言う魅音の裸の太股には、外出しされた俺の精液が飛び散って滴っている。
正直、目眩がした。
それは魅音の一言から始まった。
「圭ちゃん、あのね……お、おじさんと、こっ……子作りしてほしいの」
突然両親が留守中の俺の家に一人で訪ねてくるなり、魅音は紅潮した顔で意を決したようにそう叫んだ。
俺はもちろん耳を疑った。
「はあ!?何言ってんだよ!!」
「い、今園崎家には、男の跡取りが必要なの。
お母さんとお父さんは婆っちゃにずっと催促されてて…でもどうしてか全然子どもが出来なくて…!
それなら次期頭首の私が、子どもを生むしかないって、婆っちゃに頼まれて……!
大丈夫!監督に相談して、初めてでも痛くない薬を貰って飲んできたから!」
ひでえ話だ。それじゃ魅音があんまりにも可哀相じゃねえか。
園崎家に憤りを感じつつそう言うと、魅音は慌てて首を振った。
「しょうがない…しょうがないんだよ。だから圭ちゃん、もし私を可哀相だと思うんだったら……」
魅音がいつものシャツの裾に手をかけて、一気にぐいっと脱ぎ捨てる。
白い肌、淡いレースのレモンイエローの下着に包まれた豊満な胸に、思わず視線が吸い寄せられる。
「私を…抱いてよ……?」
魅音は懇願するように俺を見つめる。
もちろん、拒否するはずが無かった。
正直、魅音との『子作り』は、予想以上に気持ちの良いものだった。
魅音の吸い付くようで滑らかな肌といい、その柔らかく大きな胸といい、脚といい、髪といい、顔といい。
だから魅音の中に初めて挿入した時、
「ぅああぁっ……!圭ちゃんっ…」
と喘いだ魅音の姿を見て、名残惜しさのあまり外出ししてしまった俺を誰が責められよう。
監督、相当強い媚薬を魅音に渡したらしい。
魅音の中から引き抜いて、太股に放出した瞬間、魅音は目を見開いて俺を見た。
「けっ…圭ちゃん、どうして外に出したの!?中に出してもらわなきゃ駄目なのにー!!」
「悪い、魅音。俺あんまり慣れてなくてさ…失敗しちまった。でももう一度やれば大丈夫だろ?」
「ふぇ…もう一度…?」
魅音はぼーっと上気した顔で、はあはあと肩で息をしながらそう言う。
その困惑したような息遣いにさえも興奮してしまう俺は、もうどうしようもないと思う。
「そうだよ、もう一度。今度こそ魅音の中に出すからさ」
「う、うん…分かった……今度はちゃんと、中に出してね?」
魅音は潤んだ瞳でそう俺に縋るように言う。やべえな、こりゃ。
そして俺たちは子作りを再開して、冒頭に戻る。
二回目の外出しの後、さすがに魅音も気付いたらしく、涙を零しながら俺をきっと睨んだ。
「圭ちゃん…ひどいよぉ……」
さすがに心が痛む。まあ下半身の方も、痛いほど興奮していたが。
「意地悪してごめん、魅音。今度はちゃんと中に出すから」
「ほんとに…?」
「ああ、約束する。絶対だ。だから、な?もう一回頑張ろうぜ」
「うん…頑張る」
魅音はこくこくと頷いて、涙の痕が残る赤い顔でよろよろと俺の方に向き直る。
魅音の一糸纏わぬ白い身体。ところどころに俺の精液が飛び散っている。
背中にある
鬼の刺青がまた、どこか危ない香りを誘う。
ああ、やばい。やばいぞこれは。
俺はくらくらしながら、魅音の胸を揉み始めた。
「んうぅ…あぁ…あん」
魅音は気持ち良さそうに身体を反らせる。そして片方の手を俺の肩に回した。
「魅音…魅音」
俺は魅音の名前を呼び続けながら、上を向いた乳首に唇を寄せる。
ねっとりと舌でそれを包むと、俺の肩に回された魅音の手の力が強くなった。
その魅音の可愛らしさに、興奮して息が上がる。
指を魅音の中につぷりと入れると、とろとろに濡れた感触が伝わってくる。
「魅音、いくぞ」
「っ……ん、あ…ぅ」
魅音はきつく閉じていた目をうっすら開いて俺の姿を認めると、ほんの少し安堵したように息を吐いた。
それを肯定と受け取り、魅音の両足を掴んで開かせる。
そしてびしょびしょに濡れたその部分に、俺は自分のモノを押し入れた。
「うあっ…あああぁぁあっ……」
魅音が大きく喘ぐ。
ずずず、ずぷ、ぬちゅ。
粘着質の水音がふたりの間に響く。たまらなく温かくいやらしい感覚が下半身を包む。
俺は身体の奥に灯る熱に促されるかのように、腰を動かし始めた。
「ふあぁあっ…けえちゃ……圭ちゃあんっ…!!」
魅音の唇から熱に浮かされたかのように、ぽろぽろと言葉が零れる。
「きもちいい…きもちいいよぉ……」
魅音の身体がふるふると震える。
ぐちゅぐちゅという音が止まらない。
魅音の締め付けのあまりの気持ち良さに、俺も思わず息を吐いた。
「魅音…気持ちいいぞ、魅音…」
「わ、私も…すごく奥に、圭ちゃんのが当たって……お、おかしくなりそう……」
お互い切羽詰まった声で囁き合う。触れ合う汗で濡れた肌がたまらなく心地よい。
ずぷ、ずちゅ、ぐちゅ。
俺は魅音に腰を打ち付ける。その度に魅音の白い胸がぷるんぷるんと揺れる。
とろんとした瞳から涙が頬を伝ってきらめいていて、魅音はとてもきれいだった。
不意に下半身に痺れを感じる。限界が近い。
「魅音、お、俺、もう…」
「わ、私も…いっちゃう、いっちゃうよぉ……!」
締め付けがよりいっそうきつくなる。たまらないな、これ。
その締め付けに促されるように、腰を打ち付けるスピードを速める。
「ああっ…ふわぁああっ…だめ、もうっ……!」
「魅音、魅音……!」
汗が飛び散って光る。熱の中で、魅音の身体と俺の身体がひとつに溶け合うように思えた。
「魅音、出すぞ!」
「ふぁあっ…出して、圭ちゃんの精液、出して…んぁああっ…」
俺は魅音の奥深くまで押し入れて、その熱い精液を一滴残らず魅音の中に放出する。
「あんっ…あぁ、出てるっ…ふぇ……」
注ぎ込まれるその熱を感じたらしく、魅音はびくびくと腰を痙攣させる。
その震える魅音の姿を見ながら、俺は胸の奥にじんわりと広がってゆく愛しさを感じていた。
その数十分後。
俺たちはひとつの毛布にくるまって、裸のまま寄り添っていた。
隣りの温もりに穏やかな気持ちを感じながら、俺は口を開いた。
「なぁ魅音」
「……何?圭ちゃん」
まだ恥ずかしさが残っているのか、魅音はどこかぶっきらぼうな声で返す。
「ずっと気になってたんだけど…どうして、子作りの相手は俺だったんだ?」
不意に魅音の身体が強張る。
「ば、婆っちゃが、圭ちゃんを骨のある若者だって気に入ってて!圭ちゃんとなら、頭の良い元気で逞しい子どもが生まれるだろうって言ってたから!」
俺は拍子抜けした。
思わず苦笑する。
「そうなんだ…意外だな、そんなに気に入ってもらってたなんて」
「……ごめん、嘘」
魅音はそうぽつりと漏らし、意を決したように顔を上げて俺を見た。
「私、圭ちゃんが良かったの。圭ちゃんじゃなきゃ嫌だったの」
「え?」
魅音は小さく息を吸って、言葉を続ける。
「だって私、圭ちゃんが好きだから」
それを聞いた瞬間、俺は魅音を抱き締めていた。
魅音は小さく驚いたように声を上げたが、やがて照れたように黙り込む。
そうしてぴったりと身体をくっつけて抱き合う俺たちの上には、ただ暗闇のみがあった。
婆っちゃが「子どもを作れ」と言った時はどうしようかと思った。
けれど勇気を出して圭ちゃんに「抱いてほしい」と言い、圭ちゃんがそれに応えてくれようとしたとき、こんなに嬉しいことはなかった。
いっぱいいっぱいだった私に比べ、多少圭ちゃんには、この状況を楽しんでるフシが無かったと言えば嘘になるが、まあそれは気にしないでおこう。
だからお互いの思いを伝え合った後、私はとても幸せな気持ちで圭ちゃんの腕の中にいた。
すると不意に圭ちゃんが言った。
「そういえば魅音、もし子どもができてなかったらどうするんだ?」
「…ふぇ?」
「今日したからって子どもができたとは限らないだろ?仮にできたとしても、女の子だったらどうするんだ?」
「……それは…その…」
何も考えてなかった。ほとんど勢いでここに来たから。
けれど改めて考えてみる。もし今日できていなかったら、それはつまり…
私は思わず口をつぐんだ。顔がかあっと赤くなるのが分かる。
すると私の頭に浮かんだ考えを、圭ちゃんが先に口にした。
「まさか、できるまでずっと子作りするってことか?」
「……多分」
頷くと、圭ちゃんが硬直した。大分ショックだったみたいだ。
そりゃそうだ、こんな恥かしいこと、そんなにしょっちゅう出来るわけ…
あれ。何か圭ちゃんの様子がおかしい。俯きながらも、肩を震わせて、不敵に笑っている。
「……ということはつまり」
「け、圭ちゃん?」
「明日も明後日も、魅音としていいってことだよな!?よっしゃあ!」
圭ちゃんが心底嬉しそうに叫ぶ。っていうか、えええ!?
「あ、明日?明後日!?」
「そうだぞ魅音。子どもができるまで毎日だ。これも全部園崎家の未来のためだ、しょうがないんだ魅音!!」
「いや、毎日する必要は…」
「何言ってんだ魅音!そんな甘っちょろいこと言ってる場合かぁ!!できる限り子作りに励むのが俺たちの使命なんだぞ!!」
「ちょ、ちょっと圭ちゃん落ち着いて…」
私は何とか圭ちゃんを宥めようとした。
しかし、すっかり勢いづいた圭ちゃんは構わず喋り続ける。思わず背筋が寒くなるほどだ。
「しかし子作りと言っても、単調なものではすぐに飽きてしまう!子作りを適度に楽しむためには様々なプレイが必須!
手始めに明日の放課後、コスプレHなんてどうだ!?ネコミミ、スク水、メイド服、ナース服何でもござれだ!
いやむしろ!明日とは言わず、俺は今すぐでもOKだ!」
「ちょっと待って、待ってってば圭ちゃん!」
圭ちゃんが私の両肩をがっしりと掴む。目がやけに爛々と輝いている。
それとは逆に、私は顔から血の気が引くのを感じた。
まさか、まさかまさか、この男…!
「さあ魅音!!俺の子を孕めええぇぇぇ!!!」
「いっ…いやあああぁぁあ!!」
それからしばらくの間、私の苦労が絶えることは無かった。
そしてこの雛見沢で、私の叫び声が途切れる夜も無かったという。
終
最終更新:2007年02月22日 12:22