ポケお「さ、ここまで来ればもう大丈夫だよ」
アオイ「もういいから放してっ!」
スタート地点より少しはなれた森の中。アオイは掴まれていた手を振り解く。皆があの場から逃げる混乱の中、
ポケおはアオイの手を強引に引いてここまで来ていた。
ポケお「何処行くの?危ないって」
アオイ「
せいやクンの所に行くの!私を守ってくれるって言ったもん」
ポケお「あんな野蛮な奴のとこ行ったら殺されちゃうよ? ・・・いや、
どうせ俺たちは生きて帰れないんだ。だったら最後に女一人くらい好きにしたっていいよな・・・ヘヘヘ」
ポケおはナイフを持ちながらアオイに詰め寄った。
アオイ「え、え?何するの!?」
ポケお「安心しな。肉を裂くわけじゃない。服を裂くだけだからよぉ!」
逃げるように後ずさっていたアオイだが
大きく盛り上がった気の根っこに足をとられて転倒してしまった。
アオイ「いやぁ!来ないでっ来ないで!」
ポケお「遂に夢が叶う時が・・・。これなら死んでもかまわねぇ!」
犯そうと迫るその手がアオイに触れようとしたその時
ポケお「うおっ!?」
何処から現れたのか、ヤミラミがポケおを背後から羽交い絞めにしている。
アオイ「キ、キミは?」
ヤミラミ「オマエのパートナーだよ。ボールが開いたから勝手に出させてもらったぞ」
ぺたんとしりもちをついているアオイは傍らには転んだ拍子に腰から外れた
ボールが落ちていた。
ポケお「こらっ放せっ!」
その小さな体のどこにそんな力があるのか。いくらもがいてもヤミラミはびくともしない。
ヤミラミ「おいアオイ。リュックの中にナイフでも入ってるだろ。
それでコイツを殺せ」
アオイ「そんな・・・無理だよ。私には出来ない・・・」
ヤミラミ「今オレが手を放したらオマエが襲われるかもしれないんだぞ?
はーやーくしろっ!」
アオイ「やだ・・・。そんなこと・・・したくないよ・・・」
ヤミラミ「チッ。しょうがねぇな。アオイ顔を上げろ」
アオイ「え?」
二人の眼が合った瞬間、ぼうっとヤミラミの眼が怪しく光る。
ヤミラミ「さぁ、今すぐコイツを殺せ!」
アオイ「ハイ」
生気の無い瞳になったアオイがナイフを握り、ポケおに歩み寄る。
ポケお「畜生!何とかしないと!」
1.アオイに殺されるなら本望。諦める
2.ヤミラミに媚びる
3.後頭部を思い切りヤミラミに打ち付ける
ポケお「いや~ヤミラミさんってすごく男前ですよねぇ」
ヤミラミ「・・・・」
ポケお「ミカルゲなんざ目じゃないっすよ~。ヘヘヘ」
ヤミラミ「そんな事言ってもアオイはとまらねぇぞ
だから諦め・・・ っ!!」
ポケおを捕らえていたヤミラミが突然飛び退き、ポケおも反動で前方に倒れる。
そして今まで二人がいた空間を巨大な腕が通り過ぎた。
どこからともなく現れた少年とカビゴン。
一度は外したものの今度はアオイとポケおに向かってそのを体で圧し掛かろうとしている。
だがその動きはとても鈍く、アオイは簡単にかわし、ポケおは四つん這いのまま逃げていった。
ポケお「アオイさん!俺が迎えに来るまで生きててね~」
あまりにも情けない格好で逃げていく彼を後目にアオイ達は新たな敵と対峙している。
ヤミラミ「そんなのろまなポケモンじゃ俺たちには勝てねぇぞ?
あの野郎みたいに逃げたらどうだ?まぁ逃がさねぇけどな」
テリー「俺はもうどんな事からも逃げたりしない!!」
俺は今まで自分に不利な状況になるとすぐに逃げ出していた。
手術を恐れずに受ける事を決心したテリ子の姿を見るまでは・・・
テリ子「お兄ちゃん 私頑張るから見守っててね!」
妹の手術は3日後。俺はそれを見守ってやらなければならない。
だから俺は・・・
テリー「生き残って帰るんだー!!」
雄叫びを上げながらアオイに拳を振り下ろす。だが
アオイ「ザンネン」
テリー「ぐがっ!!」
その拳はアオイの左手のナイフで貫かれて止められてしまった。
アオイ「サヨウナラ」
そのままの状態でアオイは右のナイフでテリーの胸を刺し、左のナイフを拳から抜いて喉を切り裂いた。
ヤミラミ「コイツはすげぇ。こんな最初からこんないい動きするとはな」
うつ伏せで倒れたテリーは既に喋れないのか、口をパクパクさせていた。
テリー「(すまないな・・・照り子。俺はもう帰れなくなっちまった。
お前は俺の分まで長生きしろよ・・・)」
アオイ「あれ?私は確か変態さんに襲われて・・・。きゃあ!!何・・・これ・・・」
意識を取り戻した彼女は目の前の惨劇に悲鳴を上げた。
ヤミラミ「よぉ。すげぇなオマエって奴はよぉ」
アオイ「これ・・・キミがやったの・・・?」
ヤミラミ「あ?何言ってんだ。お前がやったんだろ。手を見てみろよ」
アオイ「手? っ!? あ、あ・・・」
アオイの両手はいつの間にか真っ赤に汚れている。同じく赤に染まったナイフを握りながら・・・
アオイ「大丈夫!?ねぇ大丈夫!?」
慌ててナイフを投げ捨て完全に動かなくなったテリーを揺すり呼びかける。
ヤミラミ「大丈夫なわけねぇだろ。オマエが殺しちまったんだからな」
アオイ「ホントに私が・・・殺した・・・」
その場にへたりこんだアオイの足元には温かい水たまりが出来ていた。
最終更新:2009年04月25日 18:24