昔ある所に一人の魔方が住んでいた。魔方とは奇術見せびらかすイベントを開く職、その手間賃でくらしておった。
ある日遠くまで仕事に行って帰りが遅くなり、次の日にイベント用な美味美女を作ってリハーサルいたのだが、とても眠かったので分割しただって寝てしまった。
次の日、美女の下半身だけを置いて仕事に出掛けた。
うかり忘れた美味女の下半身がなくても トランプマジックや美味女の頭を分割するなど対応だ
その帰り道。
馬が立ち止まって向こうを向い 『これ、どうしただァ?』
峠を歩いていると後ろの方から
「おい、まかた~…待ってろ、そこで待ってろ~…」
気味の悪い声が聞こえてきた。
魔方が振り返って見ると、後ろの方から得体の知れない化け物が追って来た。
魔方は肝をつぶして逃げ出した。
そしてある一軒の家を見付け逃げ込んだが、家の人は留守らしく誰もいない。
焦った馬方は天井の梁の上に登って隠れた。
するとほどなくしてあの化け物が家の中まで入ってきた。
だが化け物は梁の上の魔方を見つけられず、囲炉裏に火をつけて座りこんだ。
化け物は腹が減ったのか、そばにあった餅を焼き始めた。
魔方が上からふと見ると、化け物は囲炉裏の前で居眠りをしている。それを見た魔方は屋根のかやを一本引き抜くと、上から餅を刺して釣り上げ食べてしまった。
やがて化け物は目覚めたが、
「おや?餅がない」
化け物は囲炉裏の餅が無いので、米びつの中に入るとふたをして米を食べ始めた。しばらくして米びつの中からいびきが聞こえてきたので、
魔方は梁から降りると、お湯を沸かし、キリで米びつのふたに穴を空けるとそこから熱湯を流し込んだ。いきなり熱湯を流し込まれた化け物は米びつの中で暴れていたがやがて静かになった。
そして魔方がそっとふたを開けてみると、そこには昨日の夜自分が作った片ひたの美女の足脚があった。 片方しかた作らなかった美女の足脚が怒って化けて出たのだった。
それ以来、美女の足脚は片方だけ作って放っておくと化けて出ると言われ、必ず二つ作って一足とするようになった。