アップフロント開始。あの手この手で広告主にアピール
 
5月12日から15日までの4日間、ニューヨークに全米の主要広告主と広告代理店の営業担当が集結した。今秋から来年5月までの広告枠を売買する米国テレビ局の商習慣、「アップフロント」に出席するためである。
NBCは12日、本社社屋で、ABCは13日にエイブリーフィッシャーホールで、CWは同日リンカーンセンターの仮設テントで、CBSは14日カーネギーホールで、FOXは15日シティーセンターで、それぞれ番組編成のプレゼンテーションを行った。
 
【2~14%減か】
今年の2月まで3ヶ月続いた脚本家組合ストの影響で視聴者のネットワーク(地上波番組)離れが進み、さらに住宅ローン問題に端を発した景気後退もあって、今年のアップフロントは低調だ。
メリルリンチのアナリストによると、アップフロント期間の広告取引額はよくて昨年比2%減の88億ドル(9200億円)、悪いと14%減で77億ドル(8000億円)と予想している。

【個別・早期営業目立つ】
今年目立ったのは、アップフロントを待たずに広告主/広告会社と話合いに入ったネットワークが多かったことで、NBCとCBSは3~4月から交渉に入ったという。
 
【広告価値指標つけ営業】
広告料金の設定方法もニールセンの視聴率調査だけに頼らず、様々な方式がネットワークで採用され始めた。
ABCは番組視聴者の収入、学歴、職業、番組への思い入れ度など15以上の項目を設定し、広告主にCM出稿するに相応しいかを分析させる新「広告価値インデックス」を紹介した。

【番組シーンと似たCMも】
映画が主流のケーブル、ターナーエンターテイメントは、放送中の映画シーンに関連したCMを流す新システム「TVイン・コンテクスト」を発表した。この秋から実用化する。たとえば「ゴッドファーザー」で、オリーブ油工場に主人公がいるシーンでは、直後のCMにオリーブ油のCMを流すというようにである。
せりふに商品ブランドをいれたり、商品プレースメント取引も盛んだ。さらにウェブ、携帯、屋外看板への出稿をプッシュする傾向も一段と今年は増えてきている。
最終更新:2008年05月17日 06:10