アップフロント、主役はブランド戦略
テレビ視聴者が減少の一途を辿り、CM視聴率も採用されて二年目となる。
CM枠ブレークのCM価値に疑いの目が向けられている中、ネットワークTVやケーブルは、ブランド要素を番組に入れ込む「ブランデッド・インテグレーション」(以下ブランド戦略)と呼ばれる手法を今年のアップフロントで推し進める傾向が目立つ。テレビ、ケーブル業界にとって、これが広告費のシェアを回復する重要な鍵となっている。
【NBCはGMと】
今年6月から来年8月までの65週編成を打ち出したNBCは、自動車会社のGMとブランド戦略をまとめ、秋の新ドラマにGM車2種を組み込む予定だ。
【エコに積極的なGM】
GMはブランド戦略には積極的だ。ディスカバリーコミュニケーション
が6月4日午後6時から放送開始するエコ関連の新チャンネル「プラネットグリーン」の車分野の独占広告主になる。
同局は看板番組として、昨年5月に竜巻で壊滅したカンサス州グリーンズバーグを市民がエコ・タウンに再建するドキュメンタリー「グリーンスバーグ」(13話)を放送する。俳優のレオナルド・デカプリオの会社が制作する。
GMはCM出稿、GM車の番組使用だけでなく、ディスカバリーと共に慈善事業、環境保全の啓蒙運動も行う。
【CM枠にミニドラマ】
一方、娯楽ケーブルのTNTはクライスラー社のダッジ、AT&Tと手を組み、2分ものドラマ「ラッキー・チャンス」を20話制作する。7月22日に放送するドラマ二本の中にダッジの新車と、AT&Tモバイルを組み込んだこのミニドラマを挿入する。
【ウェブからブランド戦略】
家と庭がテーマのケーブルHGTVは、同社のウェブサイトの人気コーナー「レート・マイ・スペース」をテレビのリアリティー番組に発展させる。
ウェブは自分の部屋の投稿写真を人々が採点するというもの。テレビでは、日曜大工チェーンの「ローズ」がブランド戦略にのった。同チェーンの専門家のアドバイスやひどい点数がついた部屋を改装する。
ウェブから発展したテレビ番組だ。ブランド戦略を展開したユニークな例である。
最終更新:2008年05月30日 08:19