双方向CMに期待するケーブル・衛星業界
ケーブルや衛星放送は、最近、双方向CMのテストに力を入れている。「双方向」はインターネットの強みであったが、影響力の強いテレビに双方向性が備われば、そして視聴者の正確な広告視聴のデータなどがあれば、広告費をインターネットから奪い取ることは可能である。
【カヌー・ベンチャーズ】
今年6月、主要な米ケーブル会社6社が連合で「カヌー・ベンチャーズ」という双方向CM推進と、システムの互換性を統一化するプロジェクトを立ち上げた。
広告主はこれまでケーブル会社によってCMの納入の仕方が異なったため、異なった技術や基準をとらざるを得なかったが、統一されれば、広告主も楽になる。ケーブル側にも広告営業のチャンスが拡大されることになる。
【双方向が未来の波】
ケーブル&テレコミュニケーションズ協会の調べでは、現在米国の3800万世帯(ケーブル世帯の60%)が双方向デジタル・ケーブル・セットトップボックスを所有している。
ケーブル業界の広告担当は、「双方向CMが未来の波である。いまその波が立ち始めたところだ」と語っている。
【ネットより高い反応】
双方向テレビの宣伝調査会社ブライトライン社の話では、双方向テレビのCMでリモコンをクリックする人の平均は3~6%で、インターネットでの1%を上回っている。
現在双方向CMに注目しているおもな広告主は、ナイキ、バルトーリ(伊の食品会社)、ディズニートラベルなどである。
【両方使えば相乗効果】
前述のブライトライン社は、双方向テレビもインターネットも敵対関係ではないことを強調し、賢い広告主は両方に広告を出して相乗効果を狙っていると語る。
【プライバシー問題も】
双方向のターゲットCMには、視聴者の住所、電話、いつ何を見たかという個人情報も使われる。ケーブル会社は、広告主には統計と匿名のデータしか渡していないことを強調しているが、個人情報問題が生じる危険性はある。
最終更新:2008年07月12日 07:19