このところ、日本同様、真夏日の続くニューヨーク。食欲も落ちやすい時期だが、こんな時こそ、今が旬の栄養豊富な青物や果物をたくさん食べたいもの。栄養バランスのとれた食生活を送れば、暑い夏でも元気に過ごす事ができる。

そんな中、ニューヨークの中心に位置するオフィス街、ロックフェラーセンターに青空市場“ファーマーズ・マーケット”が登場した。しかも、ニューヨーク近郊で、有機栽培にとことんこだわった農家だけが出店している。今が旬の野菜や果物は勿論、パンに蜂蜜、そして、チーズに花々も並んでいる。

  

【誰の為?】

この場所を東京で例えると、『大手町』や『丸の内』といったオフィス街。         そうした場所に市場を出して、果たして売れるのだろうか?という疑問も生じる。 しかし、共稼ぎや残業の多い単身者がたくさん暮らすニューヨークでは、こうしたオフィス街の市場に救われる人がとても多いのだ。ニューヨークには、ここ数年来、有機栽培専門の青空市場が増えているが、殆どが、町の中心を外して、住宅が多い地区での展開だ。仕事を終えて直行しても、閉店間際になってしまい、人々にいじられて、すっかり疲れ切ってしまった野菜達がわずかに残っているだけ…。     という事も珍しくない。又、殆どの青空市場は、午後6時には閉店してしまうので、間に合わないのが殆どだ。その点、市場の方がオフィス街に来てくれれば、ランチタイムに外に出るついでに新鮮な野菜を調達する事も出来るので、仕事を終えて、慌てて帰路につく必要もない。

【スペースの有効利用!】
およそ20棟の高層ビルが集まっているロックフェラーセンターには、その中心にスケートリンクを囲んで、多目的に利用できるスペースがある。メインとなる場所では、定期的に公共芸術の展示を行ったり、冬の風物詩でもあるジャンボクリスマスツリーを設置したり、多くの観光客を呼ぶイベントが盛りだくさん。そうした大きなイベントの間に、界隈で働く人達が便利に利用できるイベントも行われてきた。その一環として、数年ほど前から、試験的に青空市場を開催したところ、「とても便利。」「又やって欲しい。」と言うリクエストが数多く舞い込むようになり、今年も夏限定で行われる事になったのだ。(7/23~8/29の水曜日~金曜日)
【世界的に広がる食品への不信】
産地偽装や賞味期限の改ざんなど、食品に対する不信感が強まる日本だが、アメリカでも、食品の産地追跡調査が不十分で、この夏の始め頃から発症例が後を絶たないサルモネラ菌の感染源も完全に把握出来ていないのが現状だ。そんな中、有機栽培で、産地直送で、しかも、生産した人間が販売を行う青空市場は、多くの市民の頼みの綱となっている。
又、スペースを提供する側にとっても、多くの利用者から感謝され、そして、人が増える事で界隈のテナント商店への活況にも繋がる。まさに、両者にとってハッピーなイベントとなっている。

スペースの有効利用の企画に、こうしたアイデアは如何だろうか?

 

最終更新:2008年08月02日 04:57